インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2016年12月18日

天津感冒片のトローチ的使用による節約方法

2010年12月18日の茶トラのボクちん(6歳)
2010年12月18日の茶トラのボクちん(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

 常連さんやお馴染みさんたちだけに伝授している天津感冒片のトローチ的使用による節約方法、といっても条件が揃えば効果抜群。

 たとえば、今朝、寝ているときに布団を蹴っていて、少しだけ寒い感じを覚えていたが、悪寒や悪風というほどでもないので放置しておいたが、しばらくして咽喉がムズムズとこそばゆくなって軽い咳が出るようになった。

 そこで天津感冒片を1錠、トローチかわりに嘗め尽くしたら、5割程度は軽減したので、通常ならこのまま治りそうなものだが、インフルエンザが流行している模様なので、もう一錠追加してトローチがわりに嘗め尽くすと、これでほとんど咽喉のむず痒さは消滅して、朝食後は軽度の寒さも消滅した。

 本来なら、これに板藍茶(板藍根のエキス製品)も味わいながら咽喉に付着させるように飲用するのが常套手段だが、面倒なので省略しようかと思ったが、これを書きながら、杜撰なことをしてまたぶり返したらみっともないので、やはり板藍茶も追加した(苦笑。

2010年12月18日の茶トラのボクチン(6歳)
2010年12月18日の茶トラのボクチン(6歳) posted by (C)ヒゲジジイ

タグ:天津感冒片
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2014年04月20日

3月4月になって久しぶりに遭遇した麻黄湯証2例

2008年8月22日のボクチン4歳
2008年8月22日のボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母

 3月下旬だったか、北陸地方の常連さんが悪寒が強い明らかな麻黄湯証を呈し、これを服用後に高熱が直ぐに解熱できた。
 
 そうこうするうちに4月に入って愚妻が夕方から強い悪寒を訴え8度4分の発熱があった。
 連日多忙な毎日で週末に疲れが出て免疫を落としたのが原因だろうと、最初は参蘇飲プラス板藍茶を服用していたが、それにしても悪寒が強いので、久しぶりに麻黄湯プラス板藍茶に切り替えたところ、直ぐに悪寒が取れて7度前後に落ち着いた。

 あくる日にはやや熱化したので麻黄湯は中止して、症状に応じた天津感冒片(銀翹散製剤)に辛夷清肺湯に板藍茶などを服用して微熱もほとんど取れるに至ったが、その後は気管支炎が残ったので竹葉石膏湯プラス五行草茶や板藍茶プラス白花蛇舌草に切り替えた。

 それにしても麻黄湯証に遭遇したのは久しぶりだったが、服用後の翌日には直ぐに熱化したので半日だけ大いに役立った後は中止。
 その後は温病系の方剤に変更しているものの、個人個人で病状の推移は大きく異なるので、日毎に変化する証候に応じた適切な方剤を選択することが必要であり、このような綿密さを必要とするのが中医漢方薬学の特徴であり、実に面倒な部分でもある。

2008年8月23日のボクチン4歳
2008年8月23日のボクチン4歳 posted by (C)ボクチンの母


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2012年06月20日

インフルエンザには麻黄湯と決め込む日本漢方の救いようがないレベルの低さ

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IMG_3990 posted by (C)ヒゲジジイ

 日本漢方というか、病院の保険漢方が、というべきか?
 このレベルの低さはもはや如何ともしがたい。

 インフルエンザに麻黄湯と決め込んむこの幼稚さを如何にセム。

 「インフルエンザ 漢方」と打ち込んで検索すると、出るわ出るわ、麻黄湯のオンパレード!

 麻黄湯証と的確に診断できる医者がこの日本にどれだけいるのか知らないが、もしも診断を誤って温病に使うべき銀翹散証(天津感冒片や涼解楽)であるべきところに誤投与しようものなら、大発汗させてロクなことはない。

 それにしても、ネット上ではインフルエンザの漢方薬は麻黄湯というのが定説になっているようで・・・ああっ、クワバラくわばらっ。

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IMG_4024 posted by (C)ヒゲジジイ

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2010年10月12日

既に黄色い鼻汁が出ているのに葛根湯を処方する医師たち

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DSC_9404 posted by (C)ヒゲジジイ

 実際に病院勤務の内科医さんに直接聞いたお話し。

 風を引いて受診した医院で処方された漢方薬が葛根湯。
 これは日本全国満遍なくワンパターンに近いようだが、既に黄色い鼻汁が出ているにも関わらず葛根湯を処方する医師があとを絶たないという。

 もちろん効果はないどころか、むしろ風邪をさらにこじらせて転医してやって来られるという。

 だからその内科医さんは、すでに黄色い鼻汁が出ている場合に葛根湯を服用するのは間違いだからと説明して・・・このような漢方医学の基礎の基礎が分かってない臨床医が日本国中に五万といるらしい。

 あるいは五万以上かもしれない(苦笑。

 ところでその内科医さんは、葛根湯を使用すべきでない情況をよくご存知だが、自分は漢方の専門家ではないからと、滅多に漢方薬を処方することはないという。

ハクセキレイ
ハクセキレイ posted by (C)ヒゲジジイ



タグ:葛根湯
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2010年01月25日

葛根湯証からはじまる常連さんやお馴染みさんの風邪や新型インフルエンザ

ハイイロチュウヒ(メス)
ハイイロチュウヒ(メス) posted by (C)ヒゲジジイ

 めずらしく当方の常連さんやお馴染みさんの風邪や新型インフルエンザが、初発から葛根湯証を呈しているケースが続いている⇒葛根湯証から始まる風邪や新型インフルエンザに遭遇する機会が続く

 要するに、弁証論治の原則を忘れてはならない、ということだ。

オオタカ(幼鳥)
オオタカ(幼鳥) posted by (C)ヒゲジジイ

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2009年09月10日

2009年08月30日

新型インフルエンザに対する漢方薬の可能性について

オシロイバナの雄蕊
オシロイバナの雄蕊 posted by (C)ヒゲジジイ

 新型インフルエンザに対する漢方薬の可能性について、他のブログでも書いています。

2009年08月29日 新型インフルエンザに対する漢方薬

ヤマトシジミ
ヤマトシジミ posted by (C)ヒゲジジイ
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2009年08月26日

現在急速に拡がっている新型インフルエンザの予防策

やっぱしウミネコ
やっぱしウミネコ posted by (C)ヒゲジジイ

 ここでは手洗いやうがいなど、一般常識的なことを述べるつもりはない。

 当方の地元近隣の会社や学校などでは新型インフルエンザ患者が続出する中、さいわいにも中医学的な予防方法を従来から実行されている常連さんやお馴染みさんたちの中には、いまだに感染者が出て来ない。

 現時点の情況を自慢げに書くと、そろそろどなたか感染した報告が出て来るやもしれないが、すでにこのブログでもしばしば記した銀翹散製剤の中でも最も優秀だと考える天津感冒片の少量を、中医学世界では常識中の常識である板藍根エキス製品の板藍茶で服用する。

 天津感冒片(銀翹散製剤)の効能は、

かぜによるのどの痛み・口(のど)のかわき・せき・頭痛。

 と記載されているが、一般の風邪はもとより各種インフルエンザにも、咽喉腫痛を伴うものにはよく奏功することが多いので、少量を常用することで予防に使用することも出来るのである。

鳶(トビ、トンビ)
鳶(トビ、トンビ) posted by (C)ヒゲジジイ



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2009年01月18日

葛根湯が適応するときの絶対的な条件

 風邪の初期に葛根湯証を呈する人もいるにはいるが、葛根湯が使える初期症状には絶対的な条件が二つある。

 首の真裏を自分で揉んでみて「気持ちがよい」ということと、その「首の真裏を温めると気持ちがよい」という二つが揃わない限りは使用しても無意味だから、使用すべきでない。

 人に揉んでもらうと気持ちがよい、というのはあてにならない。必ずみずから揉んでテストすることっ!

 どちらか一方だけしかないのに葛根湯を用いても効果がないどころか・・・

 たとえば、もしも首の真裏を揉んで気持ちがよくとも、そこを冷やしたほうが気持ちがよい場合に間違って葛根湯を服用しようものなら・・・

 合成医薬品ほどは怖くは無いとはいっても誤治であることに間違いない。
 軽度の副作用が出る可能性も大いにあり得る。

 また、咽喉腫痛を伴いながらも葛根湯証を呈する人も多いが、この場合に日本漢方でよく行われる葛根湯加桔梗石膏ではややピントがずれていることが多い。

 この場合は、葛根湯とともに適量の天津感冒片や涼解楽などの銀翹散製剤の適量(多過ぎてもまずい)を加えるのが順当であろう。板藍茶(板藍根エキスのお茶)で服用するのが、昨今では常識的になっているのではないだろうか。

 いずれにせよ、素人療法は禁物で、漢方薬に詳しい(といっても中医学や中草薬にも明るい)専門薬局などで相談して用いるべきである。
 素人療法は大怪我の元である。
posted by ヒゲジジイ at 20:26| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月02日

筆者13年ぶりの高熱体験記←もしかしてインフルエンザ?

 先週にも湿疹や蕁麻疹で通っておられる女性達一家が、それぞれインフルエンザに罹患して、片方の一家はタミフル投与の応諾し、もう一方のご家族は謝絶した話しを当の女性達から直接話を聞いていたばかりである。
 まさか、彼女等からうつされたインフルエンザだとは思いたくないが・・・
 以下は、漢方と漢方薬の質疑応答集と村田漢方堂薬局の近況報告の3月31日投稿のブログからの引用である。
 いくら忙しくたって遣り甲斐のある仕事ばかりではないので、時々この辛気臭い本業にウンザリする。
 そんな一週間が終わった土曜日、やけに寒いな〜と思いつつ完全に気力喪失状態で下らぬテレビを眺めながら厭世観にひたっているとけだるくてしょうがないのでひと寝入り。

 夜八時頃起こされて体温を測ると38度4分。節々は痛いし筋肉痛もある。咽喉周辺はひりひりとへばりつくような痛みと咳嗽。
 咳嗽の発生源が胸の中央付近で胸痛を伴う肺炎の手前を思わせるようないやらしい乾燥咳である。

 咽喉のへばりつくような疼痛は「温熱の病邪は口鼻より入る」の温病学の考えから断然、銀翹散(ぎんぎょうさん)製剤でもシャープな効果を特徴とする涼解楽である。
 節々の疼痛や筋肉痛および悪寒を考えれば、とうぜん日本古方派なら麻黄湯を考えるところであろうが、ひどい食欲不振を考えれば絶対に使用したくない。

 まずはひとい胸痛と胸に響く咳嗽を楽にしたいので涼解楽と小陥胸湯加減方剤に滋陰降下湯で咳嗽が一気に楽になる。安心して寝入り翌朝の日曜日を迎えると7度4分に下がっていた。(実際の服用薬には排尿痛と小便の出渋りもひどかったので猪苓湯も加えている。)

 そこで安心して、遣り残した雑事を片付けていたらまたぞろけだるくなって寝入る。夕方3時頃まで寝入って目が覚めたときには何と8度9分、頭はガンガン、トイレに行くのもふらふら。咳嗽も胸痛もかなり軽くなったが節々と筋肉が痛む。僅かな寒気がどうしても取れない。熱感もあまり感じない。(いかにも麻黄湯証である。)

 やっぱりこれは風寒束表に対する配合が明かに不足しているように思われる。といってもこのひどい食欲不振をどうするか?
 愚娘などは高熱を発すると決まって食欲旺盛になっていた。関係ないけど・・・。
 「虚に乗じて邪が侵入」したのであるから、常々 漢方と漢方薬は風邪・流感(インフルエンザ)に本当に有効か? というブログにも書いている通りに上記方剤に参蘇飲を加えることにした。

 涼解楽と小陥胸湯加減方剤に滋陰降下湯に参蘇飲・猪苓湯

 すると半時間も経たない間に7度5分まで下がる。少し食欲がでたが下痢をした。どうにも僅かな寒気が取れないのはカッコウショウキサン証の合併だったかと得心してさらにこれを追加服用。

 この時点で気がつくと咽喉のへばりつくような疼痛や胸痛も咳嗽などほとんど消失。
 熱も軽度になったが高熱のあとだけに身体がだるい。症状から見てもまるでインフルエンザのようだが身近に医者がいないので検査もできない。
 夜、昨夜からジュース類以外は咽喉を通らなかったのが梅干ご飯にお湯をかけて食べれた。体温も37度以内36度までを上下。

 夜は涼解楽と小陥胸湯加減方剤にカッコウショウキサンと参蘇飲・猪苓湯で寝る。
 月曜日は鼻声を残してまったく平熱。食欲が俄然沸く。
 幸い、1日中、送り注文とお馴染みさんが来られるばかりで、最も神経を使う新人さんが無かったのが幸い。

 夜の今現在の服用は、念のために涼解楽とカッコウショウキサンと参蘇飲・猪苓湯。
 こんな華奢?な身体に麻黄湯を使用していたら、どうなっていたか分からない(苦笑)。

追記: 当然、板藍茶や白花蛇舌草は常時併用しているはずが、時に熱に浮かされ服用を忘れているときもあった。高熱時に地竜や牛黄製剤も使用したが初日の土曜日にはまだ寒気が強い時だったためか、有効性はほとんど感じられない。
 翌日の8度9分の時にも使用したが、この時は一気に熱が下がったのは地竜と牛黄製剤のおかげかもしれない。

 なお、終始寒気が伴っていたので暖房で強烈に室内を暖めていた。
posted by ヒゲジジイ at 00:02| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月09日

強烈な悪寒(寒気)から始まる風邪でも温病のことが多い現実

 先日、運動を終えた後に強烈な悪寒に襲われ風邪を引いたと思ったので葛根湯製剤(葛根と麻黄と甘草の比率が4:2:1)を服用して就寝したが、朝になって咽喉腫痛が伴って熱気を感じ、寒気は少なくなっていた。さらに葛根湯製剤を服用したが、足が冷えるのに上半身は熱気で熱く、発熱もはじまったがどうしたらよいだろうとのご相談があった。

 葛根湯は現時点の風邪治療には逆効果となるので止めてもらい、直ぐに天津感冒片(銀翹散製剤)と板藍茶の併用に切り替えてもらった。

 この女性の場合、過去、関節リウマチを患っており、しばらく寛解していたところで一ヶ月前に両手首の関節部分から再発を疑わせる疼痛が持続するようになり、弁証論治により、葛根と麻黄と甘草の比率が4:2:1とした葛根湯製剤の服用ですっかり症状が消失していた矢先の風邪引きであった。

 もともと咽喉が弱いほうで、風邪を引くと直ぐに咽喉をやられる方だが、リウマチに使用した葛根湯製剤が手元にあるので、素人判断で直ぐに使用したものの、関節痛を治した時のようには風邪には効果を示さず、結局は銀翹散製剤(天津感冒片)を使用せざるをえなかったわけである。

 このように初期に強烈な悪寒に襲われる風邪やインフルエンザの場合でも、傷寒と思って麻黄の配合された傷寒系の方剤を使用すると、一気に温病の本来の姿が出現する場合が多いので要注意である。
 長年の経験ではほとんどがこのケースである。
 このような場合には即、葛根湯などの麻黄配合方剤は中止して銀翹散(ぎんぎょうさん)製剤、天津感冒片や涼快楽などに切り替えなければならない。
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2008年02月08日

東海地方のA型インフルエンザ流行地区からのおたより

女性薬剤師さんからのおたより「A型インフルエンザ流行地方からのおたより」からの抜粋引用
前略  こちらでは、A型インフルエンザがとても流行しています。
先日、いやいやながらも、薬剤師会の当番で、休日救急医療センターに当直した折りの感想です。

 A型インフルエンザが流行っており、狭い待合室の密閉された空間は、何だか臭いまでムとウイルスの存在を感じさせるようで、いつインフルエンザを引いてもおかしくない、イヤな状況です。
 毎年、この時期の当直で、体調を崩すことが多いので、この日は完全防備ででかけました。

 前日の夕食を、一汁一菜の和食で腹七分、当日の朝は、韮の温裏粥を少々食べました。

これは、先日、安保先生にお逢いしたとき、インフルエンザを吸い込んでも、発病する人としない人の違いは、マクロファージの段階で処理できるか否かの問題で、飽食によりマクロファージがその処理に疲弊していると、ウイルスを食べられず、リンパ球等を動員してくると、熱が出て、発病に至る・・・とのお話をされていたためです。
 村田先生が、いつもおっしゃるように、腹七分は万病の予防です。

 急患センターに到着すると、相方の薬剤師、ドクター二人と顔合わせし、皆さんインフルエンザをもらわないように、全員マスクをして、気合いを入れました。
ちなみに、朝の体調は全員良好でした。

 私は、患者さんと話をするたびに、タンポポ茶でうがいをして、時折、銀翹解毒丸を飲んでいました。昼は、自宅から玄米のおにぎりを持参。
 相方の薬剤師は、にぎり寿司、ドクター二人はトンカツ定食を食べておられました。

 ところが、夕方4時を回るころ、相方の薬剤師は、激しい悪寒、頭痛、節々の痛みを訴えました。どうみても傷寒証の症状です。舌をみると、胃腸も冷えていました。
 私は、ポケットに、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、銀翹解毒丸を忍ばせていたので、相方に麻黄湯を一服渡しました。

 時を30分くらいずらし、トンカツを食べておられた1人のドクターが、”麻黄湯なんてないよね?”
 と言ってこられるので、”どうされました?”とお聞きすると
”2人とも(ドクター)喉が痛く、熱感がしてきてるから・・・やられたみたい。薬剤師さん、麻黄湯ってどうよ?”
 とおっしゃるわけです。(ちなみに、この日は患者さんにはタミフルがバンバン出てました)

 漢方の真髄をご存じないドクターに、弁証論治がどうの・・といってもラチがあかないので、私からみて、お二人とも、まちがいなく温病の証で、湿熱体質とみてとれたため、持っていた銀翹解毒丸を飲んでいただきました。

 こうして、2時間後の終了時には、相方もドクターも回復に向かっていました。
 このとき、私が思ったのは、同じインフルエンザに暴露され、体内に取り込んでも、その人の体の状態(寒、熱、湿・・・など)により、反応が違うのでは?ということです。
 体に湿や熱をためていれば、ウイルスの増殖も早く、温病型の証を呈してくるのかもしれないし、体が冷えていれば、傷寒証を呈してくるのかも・・・?
 同様に、内湿が多ければ、湿邪にやられやすいし、乾燥した体質であれば、湿邪は有り難い・・ 後略
posted by ヒゲジジイ at 09:21| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月28日

風邪で発熱して最初から治るまで葛根湯証が継続するケースもある

 近頃、東北地方や北陸地方の人達の風邪の漢方薬治療の相談を受ける機会が増えている。いずれも一度は当方の薬局(山口県下関市の村田漢方堂薬局)へ、慢性病のご相談で数日の日程で直接来られたことのある人達ばかりである。

 寒い冬に風邪を引かれたときにもメールなどでご相談を受けたが、諸症状から寒気が継続して項背部の凝りを訴え、発熱して以後も首の真裏を温めると気持ちが良く、頭痛が激しい。
 発熱して以後も変わらないので、葛根湯製剤を主方剤として銀翹散製剤(天津感冒片)の少量をトローチ代わりに使用してもらってあっさりと治癒されている。
 同様なケースのご相談も最近受けたばかりであるが、このようなケースは当方の地元近辺(山口県)では稀なことである。

 確かに初期には葛根湯証を呈するかに見えても、直ぐに温病特有の症候があらわれ、銀翹散製剤(天津感冒片や涼解楽)を主方に板藍茶の併用で治るケースがほとんどであるが、東北地方や北陸地方の人達の風邪の実体を知るにつけ、寒さの厳しい地方では葛根湯や麻黄湯が主方になることが意外に多いのかもしれない。

 ところが、関東や東海地方、および関西、山陰地方の人達のご相談を受ける限りでは、殆どが早期に温病特有の風邪症状を示しているので、当方の地元近辺の状況と、ほとんど変わるところがないように思われる。

 この違いは、やはり地方性の問題が関連しているに違いない。
posted by ヒゲジジイ at 21:00| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月08日

新聞記事「インフルエンザに麻黄湯が副作用もなくタミフルなみにきく」というのは本当か?

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
簡単なご住所 : 近畿地方
ご意見やご質問をどうぞ : 先日新聞でインフルエンザに麻黄湯が副作用もなくタミフルなみにきく、と読みましたのでいろいろ検索していて、こちらのHPにきました。
 ところが、こちらではインフルエンザ時期に麻黄湯を飲むのはだめとのこと。

 実は数年前から天津感冒片、ばんらん茶は常備しており、引き始めは葛根湯、熱がでたら天津感冒片を服用し、まずまず風邪は撃退できてはいるのですが、今年は受験生がおりますので、新聞記事のようにインフルエンザが2日で麻黄湯で熱が下がったとみますと悩むところです。

 麻黄湯と天津感冒片を同時に飲む、というのはアリなのでしょうか。私が購入している薬局では葛根湯と天津感冒片を同時はokといわれたのですが。

 それと予防には天津感冒片を一個×3回とありますが子供だったら寝る前に一個でも効果はありますか?長々とすみません。回答いただけると助かります。

お返事メール:風邪を引くと必ずノドをやられるタイプの人では、予防には天津感冒片を1錠齧るようにしてマズイ味を咽喉に染ますように飲み込むと効果的です。一日3〜4回、板藍茶とともに服用することです。大人も子供も同様です。シバシバ罹る大人では2錠使用することもあり得ます。

 ところで実際にインフルエンザに罹ったときですが、それを新聞に出ているように麻黄湯だけに限定してしまうのは無謀です。
 そもそも漢方薬は急性疾患であっても、その人の体質と病状に合わせて処方されなくてはなりません。

 当然、体質によっては麻黄湯や大青竜湯という麻黄(エフェドリンの製剤原料)の配合された処方が適応する人もあり得ることでしょう。
 といっても、現実には果たしてどうかと言えば、皆が皆、麻黄湯が合うとは限らず、体質と病状によっては逆効果となり、副作用が出てしまう人もあり得るのです。

 ですから、インフルエンザの漢方薬は麻黄湯だと決め込むような幼稚な考えの専門家にはかからず、真の漢方薬に習熟した専門家に直接ご相談して適切な処方を得るべきです。
 その人の体質も病状も分からない段階から、急性時の処方をあらかじめ麻黄湯と限定するのは、あまりにも無謀です。

 咽喉腫痛を伴う風邪であれインフルエンザであれ、多くは天津感冒片や涼解楽などの銀翹散製剤を主体に使用するのが、中医学では常識ですが、諸条件によって併用する漢方薬も異なります。
 購入されている薬局さんを信頼して、直接指導を仰ぐのが無難かもしれません。

【編集後記】 参考文献:2007年04月05日 タミフルの使用を控え、かわりに麻黄湯が注目されているといわれるが・・・

posted by ヒゲジジイ at 01:52| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月05日

傷寒論医学の危うさについて

お便り:東海地方の漢方専門薬局経営の女性薬剤師

 本日はお忙しいのにお便りをいただき、ありがとうございました。
 本当に寒くなり、こちらは今夜は雪の気配です。
 歳とともに寒さに弱くなり、冬は苦手な季節となりましたが、唯一の喜びは、猫が、こたつがわりに一緒に寝てくれることです。

 ところでこれから3月頃まで、私にとっては最もやっかいな季節です。
 と申しますのは、過去に大きな失敗をやらかしているからです。
 2年前の11月に、その年はひどく体力が落ちていたのか、肺熱〜肺陰虚の症状で悩まされ、声も出なくなり、患者さんから”先生、どうぞお大事に!”と言われる大失態がありました。

 さらにこりもせず、今年3月、銀翹散製剤が最もよく出ていた時期なのに、自分の症状を見間違えてしまいました。

 悪寒がひどく、とにかく寒くて、いてもたってもいられないのと、頭皮や皮膚の表面がとても痛くこわばっており、舌も白く冷えていました。
 これはどう考えても麻黄湯を使わざるを得ないと思い、麻黄湯を飲んだのですが、これが効いたときのような爽快感はなく、あいかわらず寒けがたまらず、しかもどんどんと身体痛がひどく、あっという間に足腰が痛くて立てなくなりました。
 しまった!と思ったときにはすでに肺熱症状が出てきました。

 麻黄湯で温めたのが災いして、倍以上の早さで温病に入り込まれてしまったようです。

 慌てて銀翹散系の処方、積雪草、白花草など清熱剤を取り入れて治しましたが、骨がくだけるようにしんどかったことを覚えています。(骨仙人)

 インフルエンザが流行る時期は、どんなに風寒の症状があろうとも、麻黄湯関連の方剤は御法度に近く、決して単剤で用いてはならないことを肝に銘じました。

 もうひとつあります。
 10年ほど前、小学生の一人娘を危うくダメにするところでした。
 これも何の因果か麻黄湯!

 そのときも風寒の症状が強く、こんなときに子供によく麻黄湯を処方していたので使用したのですが、情報の伝達不足で、家族が市販の総合風邪薬を飲ませていたらしく、麻黄が重複してしまいました。(これは後になってわかったことです)

 しばらくすると、娘は夢遊病者のように立ち上がり、冷蔵庫から牛乳を出してきて、自分のベッドにまき始めました。”お母さん、すだれのようにキレイ〜”とニタニタと笑いながら、おかしな幻覚が見えていたようです。
 慌てて病院へ連れていったところ、”脳炎の疑い”とのことで、髄液の検査等をされ、娘にとても辛い思いをさせてしまいました。

 さいわい、翌日には娘は正気にもどり、病院では”原因不明”と言われましたが、明らかに麻黄の過量投与による幻覚と脳炎様症状であったことに気がつきました。
 とんでもない母親です。

 市販の子供用の風邪シロップなどには必ず麻黄系統の薬剤が入っており、いい加減に飲ませているお母さんも多いようです。
 インフルエンザ時の座薬などについては、注意が呼びかけられていますが、麻黄については一向ないものです。
 高熱時に麻黄を使用するのはとても注意が必要かと思います。

 長々と、とんだ恥かき話をしてしまいました。
 漢方というと、風邪には葛根湯!と安易に考えて購入される方も多いので、書かせていただきました。


お返事メール:●●先生

 冬到来の時節柄、時宜にかなった貴重なご体験のご報告、まことに ありがとうございます!!!
 是非ともブログに転載させて頂きたいのですが、ご許可頂けるでしょうか?

 ヒゲジジイ自身もとんでもない最悪の体験をしています。

http://ryukan.seesaa.net/article/16609596.html

 二十数年前とは言え、傷寒論医学の無力感を身をもって体験し、そのことが今日の中医学導入のきっかけの一つともなっていると思います。
 小生の場合は、医師の往診まで依頼する始末だったのですから悲惨でした。

 ご許可を得られましたら、早急にブログへ転載させて頂きたい、時節柄もグッド・タイミングですので、小生の上記の悲惨な体験 http://ryukan.seesaa.net/article/16609596.html も同時に併記してブログにと思っていますので・・・・。


【編集後記】 貴重な体験のお便り頂いた先生は、ヒゲジジイのメインブログ 漢方と漢方薬の質疑応答集と村田漢方堂薬局の近況報告 で時々御出場頂いている同業の漢方専門薬局経営の先生です。
posted by ヒゲジジイ at 20:13| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月03日

風邪や流感予防の漢方薬

 風邪の予防方法は様々だが、長年試してもらってみて最も評判がよいのが、銀翹散製剤の中でも服用量を加減しやすい錠剤の天津感冒片の少量を常用する方法である。
 特に毎回咽喉腫痛や咽喉の違和感などから始まるタイプの人達にはうってつけのようである。

 天津感冒片を1回に1錠〜2錠、多くは1錠でも十分なようだ。これを1日3回くらい、必ず就寝前にも服用しておくべきである。夜中に口を開けて寝るタイプの人には極めて有効である。

 同時に板藍茶や白花蛇舌草を併用されている人が多い。

 実際の漢方相談業務においては、もっと詳細なコツをそれぞれの体質に応じて個別的にアドバイスしている。
posted by ヒゲジジイ at 13:47| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月30日

銀翹散製剤の製品名は天津感冒片(てんしんかんぼうへん)や涼解楽(りょうかいらく)

 銀翹散製剤もメーカー間で精度が微妙に異なるが、当方ではイスクラの「天津感冒片」と「涼解楽」を使用している。板藍根エキスも同社の「板藍茶」が濃度が高く安上がりである。

 天津感冒片は錠剤だから、分量を加減するにはとても便利であり、涼解楽はエキス顆粒で溶解速度が速いので、重症の時や、なるべく速効を得たい時には重宝である。

 一昨日、小生自身が寒気と透明な鼻水が微量続くので、涼解楽と板藍茶・白花蛇舌草を同時に飲んで翌日には治っていた。
 咽喉腫痛もなく、僅かな寒気と軽度の咳嗽を伴っていた。

 一見、巷でささやかれる「青い風邪」のようであるか、実際には「赤い風邪」なのである。その見分けは強い悪寒はなく、僅かな寒気である。ゾクゾクする寒気ではなかったので、透明な鼻水が続いても温病系の風邪であることを類推することが出来るのである。
posted by ヒゲジジイ at 01:34| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月20日

風邪でも体質によっては葛根湯証が継続し続ける人もある

 現代社会では明治時代などの寒さが厳しい時代と異なって「風邪を引いたら葛根湯」というのはほとんど神話にちかく、悪寒が強いほんの初期だけに適応するだけだ、というのが本ブログの主張であったが、もちろん例外はある。悪寒・項背部の凝りなどの葛根湯証がしばらく続く人もある。

 日頃から肩こり・頭痛などの持病をかかえ、葛根湯証が日頃から持続している人達にあっても、咽喉腫痛を伴う風邪を引いた場合は、銀翹散製剤(天津感冒片など)の温病系の方剤が主体となることが多い。このことには変わりないが、一部の人では、悪寒に伴った項背部の凝りと冷え、頭痛や肩こりなどの葛根湯証が継続したまま咽喉腫痛が継続する場合もある。あるいは咽喉腫痛が消えても黄色い鼻汁を伴っているなども同様である。

 このような場合は、日本漢方では葛根湯加桔梗石膏を処方するのが通り相場だが、現実的には葛根湯を主体に銀翹散製剤を適量加えることで十分に対処出来るのである。もちろん板藍根があれば併用した方がよいのは言うまでもない。

 上記に類似した病状の人が最近、東北地方のお馴染みさんで現実に遭遇したばかりなので、敢えてここに記すのである。
 要するに、風邪やインフルエンザの傾向と対策はあるていど規定することは出来るが、実際には個人個人の体質はかなり異なるので、あくまで個別的に綿密な弁証論治に基づいて、臨機応変の対応をしなければならないのが漢方医薬学の現実でありかつ、原則である。
posted by ヒゲジジイ at 12:57| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月08日

雨に打たれて風邪を引き桂枝麻黄各半湯証

 今時、麻黄湯証や桂枝麻黄各半湯はないだろう〜〜〜と思っていたら、愚妻がやってしまった。
 連休中に薬草畑の雑草刈りの最中に、急な雨にあってずぶぬれになった。明くる日は咽喉腫痛の割には左手が筋を引いたように痛いとおもいつつも、定石どおり銀翹散製剤(天津感冒片)と板藍茶などでお茶を濁して治ったつもりでいたが、昨日の月曜日、<休み明けゆえに店頭も電話注文も重なってテンテコマイ。
 黄色の鼻汁が出ていたはずが、いつの間にかわずかな隙間風に感じてくしゃみとともに透明な鼻水に変化した。
 往来寒熱のように、ぞくぞくと寒くなって服を沢山着込んでいると、こんどは暑くなるが発汗がない。薬局を閉じたあと夕方6時半、体温が7度9分。
 温病的な病証から傷寒的な病証に明らかに変化している。

 そこで手っ取り早く、麻黄湯製剤と桂枝湯製剤を同量服用、すなわち桂枝麻黄各半湯のつもりである。
 すると一発で気持ちよく発汗して解熱した。

 本日はまだ鼻声が残っているが、幸いに仕事量も昨日の半分程度であったから完全に解熱して体力も回復した模様。咽喉腫痛が残っているので、天津感冒片の微量を齧りながら、麻黄湯製剤と桂枝湯製剤も併用して治療を徹底した。

 いまどき麻黄湯や桂枝湯かよ〜〜〜と言いたいが、現実に愚妻の病状であったのだから仕方がない。
 ときにはこんなこともあっても不思議はない。

 悪寒発熱・咳嗽・くしゃみと希薄透明な鼻水・強い悪寒がしたり急に暑くなったり、というのが自他覚症状の目だったところであった。
posted by ヒゲジジイ at 21:59| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月20日

葛根湯の評判

 相変わらず葛根湯使用経験者の体験談インタビューを継続している。
 風邪に素晴らしく良く効いたという印象を述懐される人は、相変わらず稀である。
 引き始めの極初期に使用して良かったと言う人は折々に遭遇するが、それ以上のものではない。

 葛根湯と鋏(はさみ) にもあるように、頚椎症などの様々な慢性疾患に応用範囲は極めて広く、葛根湯証を呈する慢性疾患に対する有用性ははかり知れない。
 ところが、本命の風邪やインフルエンザに対しては、多くの場合、ピンとはずれや空振りに終わることも多い現実がある。

 それらの理由は、これまでにもこのブログ内で縷々述べてきたはずである。
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2007年04月05日

タミフルの使用を控え、かわりに麻黄湯が注目されているといわれるが・・・

 タミフルの使用によって異常行動のみならず突然死の事例も多いと噂されることから、タミフルの替わりに麻黄湯を処方する医師が増えているという。
 合成医薬品におけるタミフルに代わるものは、リレンザかアマンタジンであるが、吸入薬である使用の不便さのあるリレンザ、中枢神経系の副作用の心配があるアマンタジンは敬遠されることが多いと言われる。

参考文献:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200703/502873.html

 このようにタミフルの代替としても麻黄湯は、解熱作用においてタミフルを上回るというデーターもあるらしいが、今度は麻黄湯の乱用によって、証を間違って投与された場合の虚証患者に対する副作用の出現が心配である。
 発汗過多による心臓衰弱など、適用を誤ると漢方処方の中ではかなり作用の激しい部類に属する麻黄湯である。
 明らかな傷寒として発病した場合、強い悪寒とフシブシの疼痛や頭痛が顕著で無汗など、条件がしっかり揃った表寒・表実証であれば副作用は生じる可能性は極めて少ない。

 ところが、昨今しばしば見られる悪寒よりも熱感が目立ち、咽喉腫痛を伴って、最初から汗ばんでいるような風熱表証を呈する場合に、誤って麻黄湯を使用するとかなり危険である。発汗過多によって一気に体力を消耗する恐れが強いのである。この場合は明らかに誤治であるから麻黄湯を即刻中止しなければならない。
 実際にはこのような咽喉腫痛を伴う風熱表証では銀翹散製剤を用いるべきである。
 高熱を早く下げたければ板藍根と地竜を加えれば速効が得られることも多い。

 タミフル騒動のお陰で、今後、医療界では保険漢方による麻黄湯が乱用される恐れ無きにしも非ず。くれぐれも弁証を誤らないことを祈るばかりである。
posted by ヒゲジジイ at 20:42| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月14日

抗インフルエンザウイルスの漢方薬(中草薬)

 昨年、NHKテレビなどで葛根湯やその主成分である麻黄(まおう)がインフルエンザウイルスに有効であるとした番組が組まれていたが、現実にはインフルエンザに罹患した折に、葛根湯ではほとんど太刀打ちできない事実と矛盾することに誰も疑問を呈さないのだろうか?(実はここに大いに疑問を呈している者がいるわけだが・・・

 むしろ極めて現実的でインフルエンザにもかなりな威力を発揮するのは銀翹散製剤を主体に、中国では板藍根などが加味されるわけだが、それだけに同じ抗インフルエンザウイルスの研究を行うなら、これら銀翹散製剤や板藍根であろうと思われるのだが、この国の漢方研究の方向性は、一体どうなっているんだろうと大いに怪訝である。

 この国ではこのような正論を大声で叫ぶことも書くことも憚られる風潮があるのだから、長州藩生粋の保守派の末裔である愛国心旺盛な小生でも、安倍さんよ〜〜〜、なんとかしてくれよ〜〜と叫びたくなるのだった。
posted by ヒゲジジイ at 23:58| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月17日

風邪・インフルエンザ初期の漢方薬

 年の暮れに近づきつつある昨今、常連さんたちの風邪予防兼治療薬(すべて漢方薬)の補充に余念が無い。毎日どなたかが必ずご家族一家のために銀翹散製剤(天津感冒片・涼解楽など)・参蘇飲製剤・板藍茶・白花蛇舌草などの補充である。だから、例年当方の常連さんでは滅多なことで風邪をこじらせることがないし、滅多なことで高熱を発することがない。
 皆さん、過去の苦い経験から予防も治療も上手になっている。
漢方薬による風邪・流感(インフルエンザ)の治療法
 これを参考にして分からなくなったら必ず電話がかかる。

 ところでタイトルの「風邪・インフルエンザ初期の漢方薬」について、長年の経験と中医漢方薬学理論にもとづく実際を披露しておこう。

 悪寒が強い初期には、項背部の凝りが伴えば葛根湯というのが常識であり、抗インフルエンザ作用が現代医学で証明されたとて、鬼の首でも取ったかのように喧伝されているが、葛根湯くらいでインフルエンザが治ることは滅多にないのは常識である。いくら科学的に証明されても現実に風邪やインフルエンザが治らないのでは殆んど無価値に等しいのである。

 悪寒が強い初期、既に咽喉腫痛の前兆が出ていることが多いので、多くは参蘇飲に銀翹散製剤および板藍根で対処し、悪寒が8割取れた時点で参蘇飲のみ中止。(胃弱の人では悪寒が取れても引き続き併用しても構わない。)

 免疫力が充実していれば風邪やインフルエンザに罹るはずはないのだが、罹ってしまうからには一時的にせよ虚証に陥っている証拠である。
 つまり、虚に乗じて邪が侵入したのであるから、初期から攻補兼施・扶正去邪法を採用しても当然であろう、という考え方から参蘇飲と銀翹散製剤の併用があり得るのである。
 実際にこの方法を長年採用して好評である。初期に悪寒が軽微な場合は参蘇飲を省略する。
 
 筆者が経営する漢方薬局において、多くの漢方ファンを獲得している秘策がこれなのである。
 いまだに葛根湯レベルの抗ウイルス作用を云々して大きく報道される現代社会とは、一体、何なんだろうと不思議でならない。(本音を言えば、おめでたいと思っている。
posted by ヒゲジジイ at 01:57| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月16日

肺経気分の病変に対する白虎湯系列の方剤

 近年、これまで以上に肺系統の病変に注意が必要となった原因は、全国的に空調設備が行き届いたことにあると思われる。
 空調設備により、年間を通じて温熱の病毒(ウイルス)が撒き散らされているだけでなく、秋・冬の乾期においては空調設備によってさらに室内の空気は乾燥し、湿潤・多雨の春・夏においても室内だけは空調設備によって乾燥され、これらの吸入によって常に肺系統の損傷を免れない生活環境は異常であり、多かれ少なかれ、昨今の日本国内に共通した状況であると思われる。

 あらゆる疾病は、究極的には五臓六腑のアンバランスによって生じるものであるから、アンバランスの状況に応じた適切な配合方剤により、正常なバランスを回復させてやれば治癒することができる。
 それゆえ、中医学は西洋医学のように部分だけを見て全体を見ない非科学的な方法とは根本的に異なっており、部分と全体をともに重視した合理的な医学・薬学であるが、全体における部分としての病変の主体がどの部位であるかという「病位」の把握は、特に重要である。

 ここでちょっと専門的な話をすれば、気分熱盛の白虎湯証は陽明気分の病変ではなく、手太陰気分の病変であり、つまりは白虎湯は肺経気熱を清する主方である。
 この分析は「中医病機治法学」における陳潮祖先生の卓見であり、近年日本国内で肺の病変が密かに蔓延しつつある現状に対して、示唆するところは決して少なくないはずである。

 参考文献:陳潮祖著「中医病機治法学」より〔・・・〕の注記入りの拙訳でピックアップ
気分熱盛・辛寒清気

 気分熱盛 = 温邪を上に受けて衛分から気分に転入し、あるいは寒邪が裏に入って化熱し、熱邪が気分にある病機を指す。
 辛寒清熱 = 気分熱盛の病機にもとづいて考案された治法である。
 本証では高熱・汗出・煩渇〔激しい口渇〕・洪脉が主症となることが多い。

 肺は呼吸を司っているので、温疫の邪気は極めて容易に肺系に侵入して病変をもたらす。肺は皮毛に合し衛に属し表を主っているため、気候の異常変化によって容易に表衛失調を引き起こし、循経して臓に伝入し、鬱結化熱による病態を呈する。このように、温邪を上から受けても寒邪に表から侵入されても、最初に肺が被害を受けることになり、邪気が肺衛を犯した早期に治療しなければ、転化して気分熱盛を形成し得るのである。

 かくして邪が気分に転入すれば、@邪が熱化するために高熱を呈し、A津は熱迫によって外越散熱するために出汗し、B汗出によって傷津し、熱盛によって耗液し、津液が損傷・消耗され、おのずと水分補給の欲求が高まるために激しい口渇を生じて冷飲する。C脉象は熱在気分〔熱邪が気分あること〕を示す洪大の脉を呈する。

 「熱なるときはこれを寒す」の治療原則にもとづき、石膏・知母・竹葉・芦根などを用いて方剤を組み立て、辛寒清気法を体現した治療を行えば本証に適応する。
 〈代表方剤〉 白虎湯。

 気分熱盛では「傷津」を特徴とすることが多いので、本法では辛寒清熱薬を中心に用い、「辛はよく走表し、寒はよく清熱」する性質を利用して熱去津回〔熱を除いて津液を回復させる〕の目的を達する。白虎湯証に身体の重だるい痛みを伴うときは熱邪挟湿・熱盛湿微の証候であるから、白虎湯に蒼朮を加えて燥湿醒脾すべきである。
 〈代表方剤〉 白虎加蒼朮湯。

 熱勢が猖獗(しょうけつ)を極め、津液が虧損されて臓病及腑〔臓の病変が腑に波及〕により、腸中の燥結を誘発した場合は、芒硝・大黄などを配合した瀉下通腑を併用し、臓腑同治の法則を体現した方剤が適応する。
 〈代表方剤〉 白虎承気湯(第六章「二臓同病」の肺脾同治の項を参照)。

 白虎湯証とともに脉が洪大で中空、甚だしいときは虚散を呈する場合は、邪熱熾盛によって心肺の気虚を併発しているので、清気の方剤に人参の配合により益気強心して心肺機能を回復させるべきである。
 〈代表方剤〉 白虎加人参湯。

 熱病の後期に、熱勢は減退しても傷津が著しい場合は、沙参や麦門冬などを加えて養陰増液すべきである。
 〈代表方剤〉 竹葉石膏湯。

 このように、麦門冬を配合した竹葉石膏湯などは、養陰と清熱併用の配合法則を体現したものである。
 衛気営血弁証においては、辛寒清気法が熱在気分を治療する基本法則であるが、実際の臨床では証候にもとづいて、
 @辛涼解表法と併用して清熱透邪する銀翹白虎湯。
 A清営涼血法と併用して気営両清する化斑湯(二臓同病、心肺同病の項を参照)。
 B涼血熄風法と併用して気血両清する犀羚白虎湯(二臓同病、肝肺同病の項を参照)。
などの方剤を組み立てる。このような各種の治法を併用した配合の工夫により、本法の応用範囲を拡大することが可能である。

 白虎湯証に対し、歴代の傷寒論の注釈家は、風寒の邪が陽明経に伝入して熱化し純熱無実〔陽明経の熱証という無形の熱邪のみで、陽明腑実という有形の実邪は形成していない〕の病態であると解釈しているが、子細に検討してみると、これは間違った解釈と思われる。筆者は以下に述べる五つの理由から、白虎湯証を肺の病変であると認識している。

 (1)仲景の原書〔傷寒論〕において、白虎湯証が一番最初に見られるのは太陽病篇である。太陽病は表証を呈する外感風寒初期の総称であり、肺は気を主り外は皮毛に合して表を主るので、表証が化熱すると気分熱盛を呈するのが無理なく自然な伝変法則である。さらに、本方の名称から考えると白虎は西方の神であり、内は肺に対応している。それゆえ、白虎湯と命名された所以は、本方が肺経気熱を治療する主方であることを示すためであり、肺経の治療方剤とみなすことが仲景の考えに、より近いものと思われる。

 (2)諸気はみな肺に属し、気が鬱すれば化熱する。それゆえ、気分熱盛を清する主方である白虎湯を肺経の治療方剤とみなすことは、本証の病理機序によりふさわしいものと考えられる。

 (3)呉鞠通は白虎湯を《温病条弁》の上焦篇で太陰温病の治療方剤として記載し、独自の卓見によって敢えて従来の通説を覆したが、白虎湯証を肺の病変とみなすことは、このような呉氏の卓見に沿うものである。

 (4)白虎湯証は呼吸器系の伝染病で多く見られることからも、本証を肺臓の病変とみなすことは臨床的な説得力を持つ。さらに、大青竜湯・小青竜加石膏湯・厚朴麻黄湯・越婢湯・越婢加半夏湯などの肺の病変を治療する諸方剤を見てみると、いずれも石膏を用いているが、胃熱の治療方剤で石膏を用いることは少ないことからも、白虎湯の作用は肺熱を清する方剤であって胃熱を清するものではないことを裏付けている。

 (5)衛気営血の伝変法則から分析すると、気分の熱邪は少陽三焦をルートとして陽明に順伝して裏結するか、心営に内陥して気営両燔を呈するか、または完全に営分に伝入してしまうかのいずれかである。このように、気分熱盛の白虎湯証を肺の病変とみなせば、伝変法則が理解しやすくなる。


  方剤例

〔一〕白虎湯(《傷寒論》)

 【組成】 石膏一五〜六〇g 知母一〇〜二〇g 甘草六〜一〇g 粳米一〇g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 気分熱盛。
 【治法】 辛寒清熱。
 【適応証】
 熱在気分による高熱・汗出・舌燥・煩渇引飲〔激しく口渇して飲みたがる〕・脉は洪大で有力あるいは滑数。

〔二〕白虎加桂枝湯(《金匱要略》)

 【組成】 石膏一五〜六〇g 知母一〇〜二〇g 甘草六g 粳米一〇g 桂枝一〇g
 【用法】 水煎服用。汗が出れば治癒する。 【病機】 気分熱盛。
 【治法】 辛寒清熱・和営通絡。
 【適応証】
 温瘧〔内に伏邪があり、夏季に暑熱を受けて発病する瘧疾の一種〕で、脉は正常・悪寒はなく発熱・骨節煩疼〔関節部の激しい疼痛〕・時に嘔吐。

〔三〕白虎加蒼朮湯
             (《活人書》)

 【組成】 石膏一五〜三〇g 知母一〇〜一五g 甘草六g 粳米一〇g 蒼朮一〇〜一五g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 気分熱盛・湿微。
 【治法】 清熱除湿。
 【適応証】
 湿温〔湿熱の邪を感受して発病する熱性病の一種〕で、憎寒壮熱〔激しい悪寒と発熱〕・口渇・全身の疼痛。

〔四〕白虎加人参湯
             (《傷寒論》)

 【組成】 石膏一五〜三〇g 知母一〇〜一五g 甘草六g 粳米一〇g 人参一〇g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 気分熱盛・津気両傷。
 【治法】 辛寒清熱・益気生津。
 【適応証】
 気分熱盛により、大熱・大渇・大汗・脉は大で虚。

〔五〕銀翹白虎湯(験方)

 【組成】 金銀花三〇g 連翹一五g 大青葉三〇g 板藍根三〇g 石膏三〇g 知母一五g 甘草六g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 暑温初起・熱在気分。
 【治法】 清熱解毒。
 【適応証】
 暑温〔暑熱の邪を感受して発病する急性熱病の一種〕の初期で熱邪が気分にあり、高熱・汗出・口渇・脉は洪大で有力。

〔六〕竹葉石膏湯(《傷寒論》)

 【組成】 竹葉一〇g 生石膏三〇g 半夏一二g 人参六g 麦門冬三〇g 甘草六g 粳米一〇g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 熱病後期・余熱未清。
 【治法】 清熱降逆・益気生津。
 【適応証】
                
 (1)熱病の後期で余熱が残り、羸痩(るいそう)・少気〔言語に力がなく呼吸が微弱で短い息切れ状態〕・嘔気・咽の乾燥・口渇・舌質は紅・舌苔は少ない・脉は虚で数。
 (2)傷暑により口渇し、脉が虚で熱があるとき。
 (3)胸中がほてりイライラして眠れず、脉が虚数の場合。
posted by ヒゲジジイ at 01:39| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月05日

銀翹散製剤の長期連用の是非についての御質問

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
御職業 : 公務員
具体的な御職業 : 看護師
簡単なご住所 : 関東地区
ご意見やご質問をどうぞ : いつも、風邪を引いたら、喉から始まり、最後は、喉の腫れだけが残ります。
 風邪引いて、2週間くらいたち、喉腫れだけ残ってますが、、銀翹散製剤は、2週間も経つと、あまり効かないのでしょうか?
 また、銀翹散製剤は、長期の連用はよくないのでしょうか?


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 咽喉腫痛を伴う風邪には、常にブログに書いていますように、ほとんどのケースが、銀翹散製剤が最善・最適な方剤です。御質問では2週間経つとあまり効かないのか、とありますが、通常、そのようなことはありません。
 例えば、ブログ「漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱」の「小青竜湯誤投与の典型例」のご質問者は、
御意見や御質問をどうぞ : はじめまして。●●に住む38歳の主婦です。
 私は慢性気管支炎(乾燥した咳で痰が出ません)と咽喉痛で苦しんでいます。病院で検査をした結果「気管支炎と咽頭炎です。繰り返しますよ。」と言われました。医師に処方してもらう消炎剤や咳止め薬は効きません。
 昨年7月から1年間漢方薬を続けてきましたが思うように治りません。
 その漢方薬局では、「体の冷えが原因です。」と言われまして小青竜湯を中心にした漢方薬を服用していました。
 現在、咳の症状は軽いのですが、口がカラカラに乾いて咽喉痛や咽喉から胸にかけて不快症状(痛痒い)が続きます。

 以上、典型的な小青竜湯の誤投与の文面である。
 肺寒停飲の証候を呈するのであれば、確かに小青竜湯は素晴らしい効果を発揮するが、昨今の社会風潮では「肺寒停飲」を確かめもせず、あるいはその基礎理論に無知なまま、不適応者に対する鑑別能力のないまま、あまりにも乱用が目立ち過ぎるのである。
 今回のケースはたまたま漢方薬局で出されていたが、小生の地元ではもっぱら医療用漢方での誤投与が顕著で、言葉は悪いが、その尻拭いばかりをさせられている。(今年は珍しく、ほんの数例に減少している。)
 また、昨今ブームの「冷えが原因」とする余りにも短絡的な病因論も大いに問題である。ネコも杓子も「冷え」に帰するというのだから、稚拙極まりない論法である。
 最初の原因が何でアレ、炎症性疾患を抱えている場合に、過度な温熱的治療方法は逆効果になることを知る専門家が、意外に少ないのに些か驚いている。
とあるように、4年以上もの長期に亘って強烈な咽喉の痛みに悩まされ、おまけに一年間は逆効果の小青竜湯を投与されていたとんでもない事例ですが、この御質問の直後に、関西から直接一泊二日で当方に来られました。

 このような長期間、咽喉痛に悩まされている人にも、主薬は銀翹散製剤で、規定量を直ぐに服用してもらったところ、明くる日には4割の疼痛が減じたと言われていました。その後も規定量を齧るようにして咽喉に染み込ます服用方法で、二ヶ月間で7割緩解。三ヶ月間で8〜9割、つまりほとんど疼痛を感じなくなっています。この時点で服用量を規定の四分の一量に減らし、予防量として継続することにしています。

 この方は慢性気管支炎も持っており、秋の乾燥に反応して咳嗽が一時出現していた為に、この銀翹散製剤の服用量を減じるとともに、養陰清肺湯と滋陰降下湯を併用することで咳嗽もほぼ緩解状態を持続しています。

 実際には、その他にも適宜、板藍根や白花蛇舌草など、あるいは体質改善の基礎としての三点セット(村田漢方中西医結合論)を併用するなども行っていますが、咽喉腫痛に関しては、もっぱら銀翹散製剤により、長年の継続的な咽喉腫痛が3ヶ月間の連用で8〜9割は緩解しているわけです。
 (この方の場合は、なお数年以上の体質改善が必要で、春になると毎年きまって新たな風邪を引き、激しい気管支炎が当分続くというのが恒例行事になっているということですので・・・。)

 なお、銀翹散製剤には甘草が多く含まれていますので、長期間連用の場合は、高血圧の人や浮腫みやすい人などは注意が必要です。(偽アルデステロン症の問題など)その場合は量を減じて、その他の適切な漢方処方の併用を考える必要があると思います。

 以上、簡単ながらお返事まで。
               頓首

ヒゲ薬剤師 拝
posted by ヒゲジジイ at 20:08| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月03日

風邪の予防には日頃から銀翹散製剤を少量連用するのが最も効果的

 風邪を引くと決まって咽喉腫痛から始まるタイプでは、という条件付だが、風邪や流感の予防を漢方と漢方薬で行うには、銀翹散製剤(天津感冒片や涼快楽など)の少量を常用しておくのが最も効果的であると断定してよいのではないかと思われる。

 常連さんの中でも合成医薬品に弱い虚弱だった人達の長期観察によれば、上述の銀翹散製剤を少量、常用しておくのが最も効果的であることはほぼ間違いない。多くは日本では健康食品扱いの板藍茶や白花蛇舌草なども併用しているケースが多い。

 中医学の教科書的な記載では、玉屏風散に六味丸の併用などが風邪を引きやすい体質改善の筆頭のように上げられる場合が多いが、現実は水際で防ぐ銀翹散製剤の少量使用が最も効果的であるということだ。

 のみならず、常連さんの場合は、風邪予防の目的以外に、それぞれに適した体質改善の漢方処方も常用されており、内容はそれぞれに異なっている。
これら個別性に応じた体質改善漢方処方の併用も、裏方として大きな支えとなっていることは想像に難くない。
posted by ヒゲジジイ at 09:23| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月29日

しばしば咽喉腫痛を伴う風邪を繰り返す人は、やっぱり慢性副鼻腔炎の持病がある人ばかり

 そろそろ風邪やインフルエンザの季節に入って来た。本日も県外の常連さんのご子息が、咽喉腫痛を伴う風邪を8月から繰り返し、気管支炎を併発しては抗生物質投与を受けるが、一旦、治ったかに見えてまた10月になって繰り返す。実際には8月から完全には治ってないようだということだった。
 案の定、子供の頃から副鼻腔炎で耳鼻咽喉科に通い詰めたことがあり、最近もシバシバ黄色い鼻汁が出ており、僅かな後鼻漏も認められる。

 このように咽喉腫痛を伴う風邪をしばしば繰り返す人の多くは、慢性副鼻腔炎患者さんたちであろうことは、このブログでも再三再四のべた事と思う。
 だから、蓄膿症を徹底的に治せは風邪を引きにくくなるということではあるが、この蓄膿症を根治させるのは容易な業ではないのである。耳鼻咽喉科に多年の通院にもかかわらず、あるいは手術を繰り返したところで、結局は根治せずに、持病となっている人はとても多いのが現実で、だから漢方薬でもということになるのだが、漢方薬の有効性は間違いないにしても、根治となると些か覚束ない。

 現実問題として、現象的には根治したように思える段階まで、正確な弁証論治にもとずく漢方薬の配合によって、長期間、数年に渡る連用によって可能ではあるが、根治となると3人に一人くらいのもので、多くは8割程度の緩解ではないかと思えるのである。
 だから、必然的に副鼻腔炎関連の方剤、辛夷清肺湯を基礎に猪苓湯や白花蛇舌草などとともに必須の中医方剤が銀翹散製剤となる。

 常に水際で咽喉腫痛を伴う風邪を防ぐには、この銀翹散製剤に勝るものはない。三十数年間に、風邪引きの常習者を相当数体質改善に漢方薬を提供してきたが、慢性副鼻腔炎が8割程度治ってからも、予防的にどうしても銀翹散製剤の少量を折々に使用しておかなければならない。
 こうすることではじめて、滅多なことで風邪を引くなくなり、たとえ引いても、銀翹散製剤を中心にした配合によって、速やかに治癒しやすい。

 これは副鼻腔炎患者さんに限ったことではなく、長年の慢性疾患というのは、漢方薬を徹底的に用いても、真の意味で根治するのは一部の人に限られ、三分の二以上の人が8割緩解というレベルであるはずだ。

 慢性疾患の多くが漢方薬で真の意味の根治を成し遂げることが出来るとしたら、理屈上、人間様はほとんど死なないことになるので、真の意味の根治は、風邪や食べ過ぎによる腹痛・下痢くらいの日常よく見られる急性疾患に限られるように思えてならない。

 だから、西洋医学でも不可能だった各種慢性疾患に、漢方薬が優れた効果を発揮することは日常的にシバシバ経験することだが、多くは8割緩解、言い換えれば蓄膿症のように8割緩解であれば、1〜2割の微妙な弱さが残っているのが現実であろうということだ。
 それでも、上述のような蓄膿症の場合でも、結果的には風邪を引きにくくなり、たとえ引いたとしても、すかさず銀翹散製剤で対処すれば、多くの場合、比較的速やかに治るようになり、蓄膿症の8割適度の緩解によっても、明らかな体質改善効果が発揮されるのである。
posted by ヒゲジジイ at 04:03| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月11日

鼻の調子が悪くなって微熱

 風邪を引いた時や、鼻の調子が悪くなった時だけ、つまり急性期の病状を呈した時のみやって来られるお馴染みさん。
 今回は、風邪を引いた訳でもないのに、鼻の調子が悪くなったと思ったら7度4分の微熱を伴ってここ二三日のことだが、また以前のように病院に行っても必ずよけいに悪化し、一月以上経過してこじれにこじれて、結局は漢方薬のお世話にならないと治らなかった過去の繰り返しの経験から、最近は調子が悪くなるとそのまま漢方薬を求めて来られるのが習慣となっている。

 今回は銀翹散製剤と辛夷清肺湯に補助的に白花蛇舌草の三種類。風邪を引いて急性副鼻腔炎が誘発されたのではないので板藍根は省略した。

 このようなケースでは、西洋医学ではエリスロマイシン系の抗生物質とムコダイン類の併用が一般的で、よく奏功する人と、意外にまったく奏功しない人もある。
 これについてあらためて一昨日、身近な内科医(耳鼻咽喉科医ではないのが残念だが)に確認したところ、奏功しない場合の次に打つ手は五里霧中となるのが本音のようであった。最終的には手術ということらしい。

 ともあれ、上述の人は毎回上記の配合でほぼ一週間以内で治るものの、体質改善を徹底的に行えない事情もあって、それゆえ急性再燃時だけでも、こじれる前に早めに漢方薬で手を打つことで、急場を凌いでいる。
 幸いにいつも即効が得られている。

posted by ヒゲジジイ at 10:15| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月06日

犬の夏風邪にもカッコウ正気散

 常連さんのワンちゃんは、昨年来の下痢続きで、獣医さんでの治療も空しく、人間様用の筈の胃苓湯製剤の毎朝の連用によって治っていたのが、先日またぞろ激しい下痢が再発した。

 また、クシャミ・鼻水?も連続して、夏風邪を引いたみたいだという。

 飼い主の常連さんのたっての願いに、かっこうしょうきさんを渡しておいたところ、即効的に治って喜びの報告を昨日5日にもらったばかり。

 夏は、かっこうしょうきさんが人間様はもとより、動物界でも重宝することが分かりましたね。
posted by ヒゲジジイ at 00:27| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月04日

猛暑が続きクーラー病の風邪症候群には・・・

 猛暑が続いて職場のクーラーが何とも頼もしいが、このために空気は乾燥し、クーラーからはホコリや細菌を撒き散らされて、咽喉部が乾燥していがらっぽくなる。
 暑いので冷たいものばかり摂るので胃の動きが悪くなり食欲不振。

 なんだか夏風邪を引いたみたいで急にだるくなった。暑いけど寒い。矛盾した身体の違和感。

 銀翹散製剤を服用し、同時にかっこう正気散(カッコウショウキサン)を服用して回復した。

 ありきたりなパターンで、クーラー漬けになる夏場に最も多い。

 実は筆者の昨日の姿であった。
posted by ヒゲジジイ at 23:58| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月13日

ベテランの常連さんでも勘違いする「夏風邪」用のかっこう正気散

 「夏風邪」に効くとて、昨今有名になりつつあるかっ香正気散(かっこうしょうきさん)であるが、この「夏風邪」というのが曲者で、たとえ夏であっても通常の咽喉腫痛を伴う風邪には、やはり多くの場合、銀翹散製剤が中心になる。
 かっ香正気散を風邪に用いる時に適応する病機は、あくまで「外感風寒・内傷湿帯」の状況においてであり、この条件下であれば、本方の「芳香化湿・昇清降濁」の作用を発揮して、比較的速やかに軽快するものである。

 ところが、昨日、二十年以上の常連さんで、合成医薬品に過敏な漢方愛好者で、ご自身の身体に対する適切な漢方処方の使用にかけては、常連さんの中でもピカイチにマスターされていたはずの女性が、常用方剤類の補充の注文に電話がかかって来たのはいつものことながら、ガラガラ声を発している。

 その声は一体どうしたんですか、と訊ねると、数日前に外出先で軽い風邪を引いたみたいだったので、夏風邪によいと書かれているかっ香正気散を服用して元気なんですよ。食欲も大いにあるし、声だけが変なんですよ、とのたまうのであった。

 とんでもない、その声はいつもの銀翹散製剤を少量続ければよいものを、吐き下しや内臓の冷え込み症状を感じるのでもなければ、いくら夏でもかっ香正気散を何日も続けるものではありませんよ、即刻中止するように、と強くアドバイスする始末。

 いくら食欲がつくからと言っても、このかっ香正気散は、かなり強力な燥性を持っているのだから、声枯れを誘発するほど連用してはならない。
 夏の暑さに負けて、ビールをはじめ冷たい飲み物やアイスクリーム・氷類が過ぎて、胃腸を壊したり、食欲不振を生じたり、ひどい時には吐き下しが生じた時には、かなりな即効性のあるかっ香正気散ではあるが、必要に応じて臨機応変に使用すると随分便利な方剤であることは確かではある。

 いつも繰り返し述べているように、風邪を引いてなくとも、冷房病による頭痛・吐き気・鼻水などには即効が得られることが多いもので、これを連用していると食欲増進すること請け合いではあるが、次第に粘膜組織を乾燥させてゆき、気がつくとガラガラ声になっているということは珍しくもないので、不必要な連用は慎むべきですよ、ということなのである。
posted by ヒゲジジイ at 21:25| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月20日

冷房による頭痛に「かっこう正気散」

  とうとうエアコンによる冷房が欠かせない季節になってしまった。
 高齢の常連さんの中で、数年に一度は奇妙な頭痛を訴えて、さては脳卒中の前兆かと恐れおののかれる女性がおられるが、何のことはない、職業上、和服を着て正座し、長時間冷房のよく効いた室内に滞在することが多いので、冷房による血行障害から頭痛を来たすのである。

 このような時に欠かせない方剤が、かっこう正気散(かっこうしょうきさん)なのである。

 というのは何も「夏風邪」ということに拘る必要はなく、つまり特別に夏風邪を引いたという自覚がなくとも、冷房による様々な症状に欠かせないのが、このかっこう正気散なのですよ、ということなんですよ。

 また当然のことながらシツコイ夏風邪を引いた時などには、本方剤を中心に考えるべき時がとても多く、さらには猪苓湯を加えるべきときも多いので、特に留意すべきだ。
 これについてのお勉強には、差し当たりは
漢方薬:かっこうしょうきさん合猪苓湯の応用に書いている。
posted by ヒゲジジイ at 23:53| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月16日

黄連蘇葉湯証の病機(肺胃不和に対する宣通肺胃法の代表的方剤)

   ●黄連蘇葉湯証の病機

 黄連蘇葉湯は、黄連と蘇葉の僅か二味で構成される漢方処方である。それだけに、とても興味深く、大いに研究応用する価値の高い方剤である。 

 王孟英編著《温熱経緯・薛生白湿熱病篇》の、
 
十七、湿熱証にて、嘔悪止まず、昼夜差(い)えず死せんと欲するは、肺胃和せず、胃熱は肺に移り、肺は邪を受けざるなり、宜しく川連四分、蘇葉二三分を用うべし、両味の煎湯、呷下すれば即ち止む。
 【自注】 肺胃和せざれば、最も嘔を致し易し。けだし胃熱は肺に移り、肺は邪を受けず、環りて胃に帰す。必ず川連を用いてもって湿熱を清し、蘇葉をもって肺胃を通ず。これを投じて立ちどころに癒ゆるは、肺胃の気は蘇葉にあらざれば通ずるあたわざるをもってなり。分数の軽きは、軽剤をもって恰も上焦の病を治するのみ。

 これに対して医歯薬出版社発行の『温病学』では、
 
本条は、肺胃不和による嘔悪不止の治療を述べている。
 肺胃の気は下降するのが順であり、相互に助けあっている。湿熱の邪が胃を犯すと、胃気が上逆して肺を上犯するが、肺気が正常である場合には肺が邪を受けず、邪が肺気の粛降によって胃に帰り、胃気をさらに上逆させるために、胃気上逆が甚だしくなって昼夜にわたって悪心・嘔吐が続く。これが肺胃不和である。
 黄連・蘇葉ともに止嘔の効能をもち、黄連で胃の湿熱を清し、蘇葉で肺気を開宣し、邪を表外に達させて、胃に帰さない。薬量が非常に少ないのは、軽剤により上焦に薬効を及ぼすためである。

 とて、原書の王孟英編纂《温熱経緯・薛生白湿熱病篇》の条文・自注の要約と解釈を行っており、とても理解しやすい説明である。
 ところで、このような原書に沿った解釈に対しては異論もあり、とりわけ人民衛生出版社発行の『温病学』における「解析」は、かなり参考価値が高いと思われるので次に紹介する。
 
本条は、湿熱の余邪が胃に残存して悪心・嘔吐を生じたときの証治を検討したものである。
(一)症候と病機
 嘔悪不止が主症である。湿熱病で湿熱の余邪が胃を犯し、胃失和降を生じて気が上逆したために、嘔悪不止となったものである。原文中の「昼夜差えず、死せんと欲っす」とあるのは、悪心・嘔吐の激しさを形容したまでのことで、決して危篤な状況を意味しているわけではない。実際には胃における余邪の残存による症状にすぎず、病勢・病位は比較的軽くて浅い。
 薛生白氏の述べる「肺胃和せず、胃熱は肺に移り、肺は邪を受けず」にもとづいて本証の病機を解釈するのは、適切でないように思われる。悪心・嘔吐を生じる病変機序は主として胃気上逆であり、肺との関連は少ないので、敢えて肺を関連させて解釈する必要はない。
(二)本証に対する治療用薬
 本証は湿熱の余邪が胃に残留したために胃気が上逆して生じたものであるから、清熱燥湿の川黄連で胃火を清熱降火し、蘇葉で通降順気(通順降気)するのである。わずか二味で薬用量も極めて少量であるが、適切な配合であるから、病邪が強烈でない限りは優れた効果が得られる。
 薛生白氏による【自注】に「軽剤をもって恰も上焦の病を治す」とあるのは、本証の病位が比較的上部であるので、軽剤を用いるべきことを説明したものである。しかしながら、本証の病変が上焦にあるものと限定するのであれば妥当性を欠く結論であり、実際には胃気上逆による中焦の病変なのである。

 なお、王孟英氏は本方を妊娠悪阻に用いているが、胎火上逆や胆熱胃火上逆による嘔吐にも適応するからである。また、いうまでもないことかもしれないが、寒飲中停や脾胃虚弱などによる悪心・嘔吐には適応しないので、その点には注意が必要である。
posted by ヒゲジジイ at 00:52| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月11日

秋燥病の特徴と鑑別

 ちょっと専門的になるとやっぱりクリック数が激減しましたね失恋
 それじゃ〜〜、どこまでクリック数が落ちるか、今回も専門的な「秋燥病」つまり燥邪傷肺の病機(病理気序)を中心に、やってみよう〜〜〜exclamation

  燥邪傷肺は、主に秋季に発病することから「秋燥」と呼ばれ、西洋医学的には一般の感冒やインフルエンザ・急性気管支炎などが含まれる。
 秋燥は温燥と涼燥の二種類がある。

 燥邪は口鼻から侵入して、まず上焦の肺経を犯すので、秋燥の初期症状は邪気が肺衛を侵犯したときの一般的な外感表証のほか、必ず口・鼻・唇・咽の乾燥および乾性の咳嗽などの肺系の津液乾燥の症状を伴う。燥邪はもともと津液を消耗させる性質があるので、化火するとさらに陰液を灼傷し、甚だしいときは血絡も損傷する。
 つまり、初期に速やかな清解を行わなければ肺燥化火を引き起こして肺陰を消耗し肺絡を灼傷して出血を生じるのである。後期には燥熱が消退しても肺陰損耗が直ぐには回復できずに肺燥による乾性の咳嗽が残り、肺と大腸の表裏の関係から、肺燥によって大便が乾燥して秘結を伴いやすい。

 このように、秋燥病は上焦肺経の病変が主であり、治療が適切であれば内伝することなく治癒に向かう。

 秋燥病の基本的な特徴は、発熱悪寒・頭痛・少汗・鼻や咽の乾燥・乾性の咳嗽・無痰かあるいは少痰・舌苔は薄白で乾燥傾向・脉は浮などである。
 「温燥」に限定していえば、発熱が重くて悪寒は軽い・口内が乾燥・口渇・咽部の乾燥あるいは疼痛・乾性の咳嗽・無痰・舌の辺縁と尖が紅・脉は浮数などの特徴がある。

 「涼燥」の場合では、悪寒が顕著で発熱は軽い・口内や鼻が乾燥するが口渇はない・咳嗽・少痰・舌質は正常・脉は数ではないなどの特徴がある。
 本証は年齢・性別に関係なく秋季に多発し、一般に症状は軽く、逆伝したり遷延することも比較的少ない。(涼燥というのは実際にはほとんど風寒感冒にとても近い親戚である。)
 なお、涼燥に罹患した場合でも、体質が熱証傾向にあるものでは、熱化して温燥に変化しやすい。
 秋燥病は、風温や風寒感冒との鑑別が必要である。

 (一)風温
 風温は、風熱が肺衛を侵襲して発病し、出現する症候は秋燥病の温燥と類似しているが、温燥では発病の初期には肺衛の症候のほか、必ず口・鼻・唇・咽の乾燥と乾性の咳嗽・無痰など肺燥による症状を伴い、疾病の経過中には肺燥傷陰によって肺絡が損傷されやすいが、心営に逆伝することは少ない。温燥は一般的には風温よりも病状が軽く、発病時期も秋に限られる。風温の初期は熱証が比較的重いが、一般的には清竅の乾燥や乾性の咳嗽など肺燥の症状はそれほど認められない。風温の疾病過程では痰熱阻肺や逆伝心営を生じやすく、発病時期も四季を通じて発病するが、冬と春に多発する傾向がある。

 (二)風寒感冒
 風寒感冒は四季を通じて発病する。初期には風寒が束表して肺衛が宣発できなくなり、臨床症状は涼燥に類似しているが、涼燥の初期では必ず唇の乾燥・鼻の乾燥・咽の乾燥などの清竅の乾燥症状を伴い、発病時期も秋に限られる。

 以上は『実用中医内科学』(上海科学技術出版社発行)の秋燥の項にもとづいて検討・補足したものであるが、昨今の日本の生活環境では、冬季においてもエアコンや電気ストーブ・石油ストーブなどの使用により、あるいは昨今流行の温め療法とやらによって年間を通じて燥邪傷肺の症候が観察される。
 それゆえ、秋季のみならず限定的な四季を問わずに一年間を通じて、一般の外感疾患の治療に「宣肺潤燥法」を組み入れる配慮が必要なこともある。


 このことが言いたかったために、「秋燥病」をダシに延々とここまで考察してきたのだった。ひらめき


 クリック数がイヨイヨ落ち込むことだろうモバQ
posted by ヒゲジジイ at 16:35| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月07日

暑邪傷肺の病機に対する宣肺滌暑法の考察

 いつものように一般向けに砕いた話ばかりはしておれない。
 時には、専門的に深く掘り下げた考察も投稿しておこう。殆どの人が理解できないだろうし、専門家でも中医学派でなければ理解困難な話題である。
 
 まずは、私淑する陳潮祖先生の『中医病機治法学』における「暑邪傷肺・宣肺滌暑」の項の拙訳で引用させて頂き、その後に小生の考察を少々長く付け加えたい。


暑邪傷肺・宣肺滌暑

 暑邪傷肺 = 暑熱が肺衛を侵犯した(という)病変機序を指す。
 宣肺滌暑 = 暑邪傷肺にもとづいて考案された治療法則である。
 暑は六淫の邪であり、人体を侵犯すると肺衛が真っ先に影響を受ける。肺は気を主っているので、肺が暑邪に犯されると、暑邪によって気が損傷されるか、暑湿によって気が阻遏されて、病態を呈することとなる。
 葉天士の《臨床指南》には「暑熱は必ず湿を挟む。吸気して受け、先ず上を傷る。ゆえに仲景の傷寒、先ず六経に分かつも、河間の温熱、須らく三焦を究むべし。おおよそ暑熱は気を傷り、湿著〔暑湿〕は気を阻む。肺は一身周行の気を主り、位は高く、手の太陰たり」と述べられており、暑病に関する四つの問題を提出している。
 @暑邪が侵襲する部位
 暑は「吸気して受け、先ず上を傷る」ことにより、肺系統が先ず影響を受ける。
 A暑邪の特性
 「暑は必ず湿を挟む」。
 B暑邪傷肺の病理変化
 二種類の転帰があり、一つは暑熱傷気であり、一つは湿著阻気〔暑湿阻気〕である。
 C暑病の伝変法則
 暑は熱病の範疇にあり、傷寒六経分証とは異なるもので、三焦の論治にもとづく必要がある。
 このように、暑邪は「吸気して受け、先ず上を傷る」と述べた葉氏の見解は、手太陰の病位概念であり、六淫が人体を侵犯したときの一般法則と合致する。肺は呼吸を司り、外は皮毛に合するので、六淫の邪は上から受けるかあるいは表から侵入され、いずれの場合も肺衛を直接侵犯するのである。
 暑は必ず挟湿する理由については、邵新甫氏が詳細明確に述べている。
「天の暑熱(が)一たび動けば、地の湿濁はおのずと騰る。人は蒸淫熱迫の中に在りて、正気(が)もしもあるいは隙あるが若くあれば、すなわち邪は口鼻より吸入し、気分(が)先ず阻まれ、上焦に清粛は行らず、輸化の機は常度を失し、水穀の精微はまた蘊結して湿をなすなり。人身は一小天地なり。内外は相応ず。ゆえに暑は必ず湿を挟むとは、すなわちこの義のみ」と。
 暑病は臨床上、暑熱傷気により津液が熱灼を受け、純熱無湿で「汗出で悪寒し、身熱して渇す」の白虎加人参湯証ばかりでなく、暑邪挟湿により、有形の水が皮毛を鬱遏して汗液を閉じ込め「身熱・疼重」を呈する黄連香じゅ飲証も見られる。
 葉氏自身も、本病〔暑病〕には暑熱傷気と湿著阻気の二種類の病変があると述べている。その趣旨を敷衍すれば、暑熱が傷気すると津液を損傷・消耗することが多く、肺気が痺阻されてはじめて暑湿の病変が生じるのである。それゆえ、「暑は挟湿することが多い」といえても、「暑は必ず挟湿する」と決め込むことはできない。暑病の伝変は上から下であり三焦の論治に従うべし、とされることについては、本病の伝変法則にあてはまっている。
 暑邪が太陰を侵犯すると、初期には主として頭痛・悪寒・身体が重くて疼痛がある・顔面紅潮・口渇・身体の熱感・無汗などの症候が現われる。肺が暑邪に干されると宣降機能が失調し、陽気と暑邪が結合して蘊結化熱し、湿凝気阻によって陽気が発越することができなくなり、遂には悪寒・身体の疼痛・壮熱〔高熱〕・無汗・顔面紅潮・口渇などを生じるのである。
 暑邪が太陰気分を侵犯した初期で「表寒裏熱」の証候を呈するときは、《温病条弁》の「辛温復辛涼」の治療原則にもとづき、寒温併用して清軽宣発し、熱を透達させてそう理を開くと、暑熱はおのずと解消する。それゆえ、本法では常に辛温の香じゅ・かっ香・蘇葉、辛涼の薄荷・青蒿・連翹・竹葉に、淡滲の芦根・滑石などを配合して処方する。
 〈代表方剤〉 新加香じゅ飲・加味香じゅ湯・清絡飲など。
 これらの方剤は、宣肺滌暑法を体現している。
 暑邪が上焦を侵犯した初期に、遷延させて治療が遅れたりあるいは誤治すると、個体差(体質条件)によって以下の転帰をとる。
 @陰虚火旺の体質では、邪は熱化して純熱無湿となり、気分熱盛の白虎湯証、気耗津傷の白虎加人参湯証や生脉散証、暑邪入営・営分熱盛の清営湯証、逆伝心包・蔽阻清竅の牛黄丸証や紫雪丹証などを呈し、温病の衛気営血の伝変法則をたどる。
 A陽虚湿盛の体質では、邪は湿化して暑湿混合し、上焦暑湿の天水散証、手・足太陰同病の蒼朮白虎湯証や杏仁滑石湯証を呈し、上から下に向かう三焦の伝変法則をたどる。
 方剤例
〔一〕新加香じゅ飲(《温病条弁》)
 【組成】 香〓六g 金銀花九g 鮮扁豆花九g 厚朴六g 連翹六g
 【用法】 水五杯で煎じて二杯を取り、まず一杯分を服用し、汗が出れば服用を中止する。汗が出なければ再度服用し、全部を服用しても汗が出ないときは、再び湯液を作って服用する。
 【病機】 肺受暑熱。
 【治法】 宣肺滌暑。
 【適応証】
 肺が暑熱に犯され、見かけは傷寒に似ており〔つまり悪寒があり〕、右脉は洪大・左脉はかえって小、顔面紅潮・口渇するも汗が出ないもの。
〔二〕加味香じゅ湯(経験方剤)
 【組成】 香じゅ一〇g 厚朴一二g 扁豆一〇g 青蒿二〇g 金銀花一五g 連翹一五g 滑石二〇g 甘草三g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 暑傷肺衛。
 【治法】 解表滌暑。
 【適応証】暑湿感冒。
〔三〕清絡飲(《温病条弁》)
 【組成】 鮮荷葉辺六g 鮮金銀花六g 西瓜翠衣六g 鮮扁豆花一〇g 絲瓜皮六g鮮竹葉心六g
 【用法】 水二杯で煎じて一杯を取り、一日二回服用。
 暑邪が肺経気分を犯した軽症のものに用いることができる。
 【病機】 暑傷肺絡。
 【治法】 辛涼清絡。(辛涼芳香法)
 【適応証】
 (1)手の太陰暑温で、発汗後に傷暑による症候はほとんど回復したが、頭が少し脹り、目がスッキリせず、余邪が残存しているもの。 (2)暑熱傷肺で、身熱や口渇は激しくないのに、頭や目がすっきりしない・昏眩〔立ちくらみや頭のふらつき〕・頭が少し脹るなど。
〔四〕黄連香じゅ飲(《活人書》)
 【組成】 香じゅ一二g 黄連(酒に漬けて炒る)三g 厚朴(生姜で製する)六g
(原方の分量は過少ゆえ、二倍量として記載)
 【用法】 水煎して熱服。
 【病機】 傷暑偏熱。
 【治法】 清熱�去暑
 【適応証】
 傷暑で、大熱〔非常に暑がる〕・煩渇〔激しい口渇〕・舌質は紅・舌苔は黄膩・脉は濡数など。


 以上が、陳潮祖先生の解説である。以下はヒゲ薬剤師による考察。

 ●滌暑法の考察

 本書の著者である陳先生と李先生、周先生による『中医方剤与治法』(四川科学技術出版社)のうち、清熱滌暑法を担当された周訓倫先生の解説、および『実用中医内科学』(上海科学技術出版社)の「暑温」の項などを基礎資料とし、私見を交えて滌暑法を考察してみたい。

 暑は陽邪で熱性が強烈であり、発病は急激で伝変も迅速である。表より裏に入り、衛気より営血に入る一般の温病の伝変過程と同様であるが、衛・気・営・血の各段階の伝変過程を明確に区別することは困難なことが多い。初期に肺衛を侵襲する順序通りの伝変とは限らず、いきなり気分から始まることが多く、あるいは突然心包に逆伝して痙厥閉脱など危篤の証候を呈する。

 暑病が温病と異なる点は、天の炎暑が地上に迫って地面の湿気を上蒸するため、暑邪は湿邪を伴って暑温挟湿の証候を形成することが多い。また、暑邪は熱性が強烈ゆえに容易に気津を損耗させるため、暑証においては気陰の損傷を伴いやすい。

 暑邪を基本病因とする場合の治法は、暑熱を滌蕩すべきであるから、金銀花・連翹・竹葉・西瓜翠衣・石膏・黄連などによって清熱滌暑法を行う。暑湿に表鬱を兼ねれば、去暑解表法により新加香じゅ飲などで治療する。暑熱が気分にあれば、清気去暑法により白虎湯などで治療する。気液虧損を兼ねれば、清暑の方剤中に人参・麦門冬などを配合して益気生津し、たとえば温熱経緯の清暑益気湯などで治療する。暑湿の証候では、清暑利湿法により六一散などで治療する。

 滌暑法を行うときには、以下の注意が必要である。
 @暑邪が強く湿邪が弱いときは、湿邪が熱化しやすいので津液の損傷をさけるため、温燥の薬物は慎重を要する。
 A湿邪が強く暑邪が弱いときは、熱邪が湿邪によって阻遏されやすいので、邪を留まらせないよう、甘寒滋膩の薬物は慎重を要する。
 次に、今回の「暑邪傷肺」に対する「宣肺滌暑法」の代表方剤、新加香じゅ飲と清絡飲を中心に検討を加える。

〔1〕新加香じゅ飲(『温病条弁』)

 【組成】 香じゅ六g 金銀花九g 連翹六g 扁豆花九g 厚朴六g
 【用法】 水煎服用し、三回に分けてまず一回分を服用し、発汗があればその後は服用せず、発汗がなければさらに服用し、発汗があるまで繰り返す。
 【主治】 上焦の暑熱が寒邪に阻遏され、悪寒発熱・無汗・頭痛・身体の疼痛・胸悶心煩〔胸苦しくいらいらする〕・顔面紅潮・口渇・小便が濃くて出渋る・舌苔は白膩・右手の脉が大。
 【分析】 暑熱の時期に納涼・冷飲してしばしば一時の快感を求めると、暑邪を寒邪が阻遏する証候を次第に形成する。暑熱を上焦に感受したうえに、納涼により外は寒邪を感受し、熱邪を寒邪が阻遏して水液が失調するために、主治で述べたようような寒熱錯雑した症候が生じるのである。
 寒邪が表を犯すと衛陽が鬱遏され、そう理が開かないため悪寒・無汗を生じ、肌そう(肌肉〔筋肉〕の紋理や間隙)に湿が滞るために頭痛や身体の疼痛を生じる。暑熱が内鬱して泄越することができないために、発熱して胸苦しい・顔面紅潮・口渇などを生じる。暑湿が内鬱して胸陽不宣となるため胸中に煩悶を生じる。上焦の熱鬱によって上源不清となれば流濁するので、小便が濃くて出渋るようになる。舌苔の白膩は、湿滞の反映である。

 以上の症候は、上焦の暑熱が寒邪に阻遏されたことが原因であり、傷寒に似ているが傷寒ではない証拠に、右手の脉が大なのである。
 【病機】 上焦の暑熱が寒邪に阻遏される。
 【治法】 清宣暑熱・温涼併用。
 【方意】 辛温性薬物は化燥助熱するので一般的な温病の治療には禁忌であるが、暑邪挾湿で、初期に寒邪が表を閉鬱する場合は、逆に辛温薬によって散寒・化湿して閉鬱を疏開し、辛温復辛涼法を行う必要がある。つまり、暑邪を寒邪が閉鬱する発病初期では、辛によって疏散し、涼によって清熱する必要があるので、辛涼性の金銀花・扁豆花・連翹によって清熱去暑し、辛温性の香じゅによって表寒の疏散と同時に金銀花・連翹を助けて上焦の鬱熱を宣達する。裏湿の停滞には苦温芳化(苦温芳香性薬物により化湿すること)を必要とするので、芳香性の香じゅで湿濁を化し、さらに苦温性の厚朴を配合して理気燥湿する。湿は陰邪であり、温薬でなければ化すことはできないので、香じゅ・厚朴の温性が適応する。以上の諸薬により、寒温併用の方剤となる。
 【応用】
 (1)弁証ポイントは以下の三点である。
 @夏季に発病し、過度な納涼・冷飲が誘因となる。
 A暑熱(暑邪)が表寒に阻遏され,発熱・煩悶・顔面紅潮・口渇など暑熱による症候とともに、悪寒・無汗などの寒邪外束による症候を伴う。
 B表裏ともに湿邪が併存し、身体が重く舌苔は膩である。
 (2)扁豆花がなければ扁豆皮を用いてもよい。暑熱が強いときには青蒿・滑石を加えるか、方剤例〔四〕の「黄連香じゅ飲」を使用する。湿邪が強いときは新加香じゅ飲にかっ香・芦根を加える。
 (3)新加香じゅ飲と黄連香じゅ飲の区別は、外寒と暑邪が同程度が前者で、後者は裏の暑湿が比較的強い場合に適応する。
 (4)訳者の村田は、エキス剤で代用するときには、「かっ香正気散合銀翹散製剤」で対応しており、夏季の感冒の常用方剤として繁用している。

〔三〕清絡飲(『温病条弁』)

 【組成】 鮮荷葉辺六g 鮮金銀花六g 西瓜翠衣六g 鮮扁豆花六g 絲瓜皮六g 鮮竹葉心六g
 【用法】 水煎服用。
 【主治】 暑熱の軽症、あるいは暑温で発汗後に余邪が残り、身体の熱感・軽度の口渇・頭や目がすっきりしない・軽度に頭が脹って
ふらつく・舌質は紅・舌苔は少ない。
        きょうぞう
 【分析】 肺は嬌臓(ひ弱な臓器)ゆえに、最も邪を受けやすい。暑邪を感受した場合、重症であれば高熱・顔面紅潮・汗が出る・激しい口渇などを生じるので、白虎湯や白虎加人参湯などの重剤を用いて清熱滌暑する必要があるが、軽症の場合は本方証のように熱邪が肺絡にあるのみであり、あるいは発汗後に余邪が残って肺絡に鬱滞する程度のものであるから、出現する症候は、暑熱の鬱蒸により、身体の熱感・軽度の口渇・頭目の昏脹などを生じるのである。
 【病機】 暑傷肺絡。
 【治法】 清熱滌暑。
 【方意】 『温病条弁』に「既に余邪と曰うは,重剤を持ちう可からざること明らかなり。ただ、芳香軽剤を以て肺絡中の余邪を清すれば足る」とあるように、本方証では暑熱を軽清宣泄する程度にとどめ、過度な薬物投与によっていたずらに正気を損傷すべきではない。それゆえ、本方では辛涼芳香の薬物の軽揚辛散作用により、肺絡中の暑熱を清解するのである。
 西瓜翠衣は甘涼清熱・生津利尿し、生津しても湿滞のおそれがなく、利尿しても正気を損傷しない。鮮金銀花・扁豆花・竹葉心の辛涼・清熱・淡滲により、西瓜翠衣の滌暑の作用を増強する。荷葉にはすかすがしい香気があり、暑熱を清するだけでなく、化湿・昇清(清陽を昇発〔のぼらせる〕)の効能がある。佐薬の絲瓜皮は、肺絡の熱邪を清する。
 以上の諸薬により、消暑解熱すれば諸症はおのずと癒える。
 【応用】
 (1)本方の薬力は穏和で軽度に清熱するので、暑熱の軽症および暑病の発汗後で余邪が残り、身体の熱感・軽度の口渇・頭目がすっきりしない・軽度の咳嗽などの症候に適応する。
 (2)暑熱傷肺により、乾燥性の咳嗽で喀痰がなく、咳嗽時に金属音のような清んだ高音を発するものにも使え、知母・麦門冬・甜杏仁・桔梗・甘草などを加味して清潤宣肺するとよい。

 エキス剤で対処するときには適量の銀翹散製剤に、かっ香正気散や滑石茯苓湯(猪苓湯)などの配合を考えれば十分に対処できると愚考している。

posted by ヒゲジジイ at 23:47| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月06日

夏の感冒・暑さによる食欲不振に効く「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」だが・・・

 すでに
漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記 :藿香正気散(かっこうしょうきさん)で書いているが、梅雨から夏にかけて増えるのが、暑さによる食欲不振やクーラー病というか、暑さに負けて身体を冷やしすぎて誘発する夏風邪である。

 こんなときに重宝するのが、この藿香正気散であるが、夏に限らず胃腸型感冒には無くてはならない漢方処方である。
 胃腸型感冒や、生冷物の過飲過食によって起こる吐き下しには、かなり即効的な効果を発揮する。
 
 しかしながら、咽喉腫痛を伴う場合は、多くの場合、銀翹散製剤を併用する必要があるなど、様々なバリエーションがあるので、必ず専門家と相談して使用すべきである。

 この方剤は胃腸に良く効き、食欲増進としても働くが、調子に乗って長く連用すると、粘膜を乾燥させすぎる場合もあり得るので、あまり長期に使用する方剤ではない。

 体内の強力な乾燥剤というイメージがあるが、単独使用ではバランスが悪いこともあるので、一定の弁証論治に基づいて私用すべきである。

 胃や肺が冷え込んでくしゃみ・鼻水を連発するとき、あるいは花粉症の場合などでも、肺寒停飲に適応する小青竜湯を使用しなくとも、多くの場合、藿香正気散で止めることが出来る。但し、対症療法である。小青竜湯が効く場合でも、対症療法であるから、胃弱な人にはまず前者を使って対症療法をしたほうが安心である。

 但し、小青竜湯のように喘息や咳嗽には効かない。あくまで無色透明な鼻水・クシャミに効果を発揮するが、あまり連用すると、乾燥しすぎる場合があることは既に述べたとおりである。

 いずれにしても、あまり素人療法はしないほうがよい。専門家に相談しながら使用すると、止めるタイミングや、もしも効かなかった場合の次の手段を直ぐに判断してもらえるはずである。

 やや専門的な参考文献:藿香正気散
posted by ヒゲジジイ at 22:31| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月25日

再び13年まえの参蘇飲・銀翹散・葛根湯の考察

 これも同じ『和漢薬』誌の平成6年新年号(通刊488号)の巻頭随筆「新春漫談 中医漢方薬学」の中の一部に当時の風邪に対する漢方薬の問題を取上げている拙文を発見した。
 当時から一般の人でも敏感な人は、風邪に葛根湯という常識はまったくアテにならないことに気がついていたのだ。
  風邪に参蘇飲・銀翹散

 暖房設備や食生活など、生活環境の変化にともなって、日本国民の体質傾向が異なって来るのは当然とはいえ、数年前まではアトピー性皮膚炎に対して、ほとんど必要性を認めなかった補中益気湯類が、今や本州末端のわが薬局でも繁用方剤となっている現状は、政治経済の急速な変化と呼応しているようです。これと同様なことが、最もありふれた疾患「風邪」においても見られるようで、

 @「風邪を引くといつも病院では葛根湯や麻黄湯とか、小柴胡湯なども一緒に下さるのですが、一向にスッキリと治ったためしがありません。」

 A「風邪薬を求めて薬局に行くと、昨年まではどこの店でも大抵、葛根湯を出されていましたが、不思議なことに、今年からは一般の新薬類しかすすめられなくなりました。確かに葛根湯よりも、普通の風邪薬の方がマシみたいでした。」

 B「風邪を引いて以後、一ヶ月も病院に通っているのですが、一向に微熱がとれず、寒くて元気が出ず、咳も続いています。」

 C「風邪を引いて一ヶ月、病院の薬も一般の薬局の薬も、何を飲んでも激しい咳き込みが止まりません。」

 以上は、風邪の漢方薬を求めて来局される場合の代表的な四例ですが、Bは柴胡桂枝乾姜湯、Cは麦門冬湯など、風邪の後期の症状として対処できます。
 問題は@Aのように、風邪の初期段階の治療に、葛根湯が無効な事例が増えていることで、昨今は気虚感冒の参蘇飲や、外感風熱の銀翹散の適応例が圧倒的に増加しているようです。流感などでは、参蘇飲合銀翹散が適応する症例も増えているようです。

 水様性鼻汁の分泌が甚だしいアレルギー性鼻炎にしても、小青竜湯証であることは少なく、参蘇飲が適応する症例が増加しているようです。一般薬局や病院から辛温発散作用の強烈な小青竜湯が出され、過度な連用によって辛夷清肺湯証を誘発しているケースが多々見られます。

 つまり、アトピー性皮膚炎のみならず一般の風邪においても、昨今は肺・脾の虚が内在しているケースが急速に増加しており、このために邪実に対する配慮ばかりでなく、正虚に対する十分な配慮を必要とする脆弱・華奢な時代を迎えているに違いなく、サッカーのW杯アジア最終予選の悲劇と、まんざら無縁ではなさそうです。
posted by ヒゲジジイ at 10:26| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月24日

やっぱり微妙に異なる13年前の風邪・インフルエンザに対する漢方処方

 次は1994年1月(通刊488号)の『和漢薬』誌に書いた拙論である。
 時代の変遷と言おうか、環境変化に伴い、風邪やインフルエンザに対する現在の漢方処方繁用パターンとは微妙に異なる記述がある。
 時代が13年近く異なっていることを前提として考えれば、参考価値は高いと思われるので、一部下記に引用する。
 ●銀翹散・参蘇飲・葛根湯

 
 日常的に遭遇する「風邪」の治療に、温病理論の応用は不可欠であり、同時に西洋医学的な発想からも、抗箘・抗ウイルス作用をもつ軽質・芳香性の清熱解毒・疏散風熱薬「金銀花」や「連翹」などに注目すべきである。方剤としては銀翹散が重要であるが、近年エキス製剤が市販されているおかげで、日本漢方では不可能に近かった流感でも、インスタント漢方によって容易に対処できる時代である。
 風邪の初期治療は、筆者のところでは近年、参蘇飲・銀翹散・葛根湯の三方剤によって解決することが多い。こじらせてやって来た場合は、柴胡剤や麦門冬湯など多彩な方剤を使用することになるが、一般的な風邪から流感まで、初期段階ではこれら三方剤のエキス製剤の組み合わせで対処できることが多いのである。
 @参蘇飲+銀翹散、A参蘇飲、B葛根湯、C銀翹散、D葛根湯+銀翹散、E銀翹散+他方剤、という順の使用頻度であるが、特に流感については@DECの順であり、AやBの単独投与は殆どあり得ない。
 また、これら三方剤の組み合わせは、アレルギー性鼻炎にそのまま有効である。たとえば、日本流で小青竜湯証とされている鼻炎の中には、実際には参蘇飲証やカッコウ正気散証であることが多く、鼻閉が強い場合でも参蘇飲+葛根湯加辛夷川キュウや、参紫蘇+辛夷清肺湯などで十分に対処し得るのである。
 近年問題になっている花粉症などでは、参蘇飲や銀翹散を主体に、参蘇飲+銀翹散など、上記の感冒治療の方法がそのまま通用することも多い。蓄膿症などでは、銀翹散+辛夷清肺湯や、銀翹散+葛根湯加辛夷川キュウなど、銀翹散の応用範囲も広い。

 参蘇飲は、皮毛より寒邪を感受した一般的な風邪に適応者が多く、水様性の鼻汁を伴うクシャミの頻発などの鼻炎症状には特に著効がある。銀翹散を併用すれば、外は風寒に侵襲されて口鼻からは温熱の病毒(流感ウイルス)の吸入を伴った流行性感冒に適応する。さらには、他方剤の併用により、喘息やアトピー性皮膚炎にも応用できることを経験している(参蘇飲+辛夷清肺湯など)。また「肩が冷える肩こり症」にも単方で著効を得ることが多い。

 銀翹散は、口鼻から温熱の病毒を吸入して発病する流感のみならず、急性および慢性扁桃腺炎・化膿性皮膚疾患・花粉症・急性結膜炎・アトピー性皮膚炎などに適応があり、抗生物質的な使用も可能である。
 従来、日常的によく見られる急性疾患には葛根湯が代表的な方剤であったが、現代は参蘇飲と銀翹散の有用性が目立ち、これら三方剤の時代と言えそうである。

 現在からみれば、たとえば参蘇飲のところで「水様性の鼻汁を伴うクシャミの頻発などの鼻炎症状」とある部分は、むしろ「カッコウ正気散」のことではないの?と言いたくなるところである。

 胃腸虚弱な人のアレルギー性鼻炎や花粉症では、小青竜湯が強すぎて胃障害などを生じる人には断然「かっこう正気散」の方が無難である。
 但し、かっこう正気散は胃腸によくても、小青竜湯と同様に乾燥させる作用が強力なので乱用は慎みたい。

 肺は嬌臓(きょうぞう)であるから、つまりとてもデリケートな臓器であるから、偏った刺激は好まないということである。

 過ぎたるは及ばざるが如し、って〜〜〜こってす。
posted by ヒゲジジイ at 16:20| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月22日

13年前の月刊『和漢薬』誌486号に掲載されたインフルエンザの漢方薬

 しばらく前にも引用した以下に転載する拙文は13年前のものであるが、現在の考えとそれほど大きく変わるところがない。
 異なるところがあるとすれば、昨今では葛根湯を使用する機会が激減しており、使用する場合も明らかに項背部が凝って悪寒が強い場合の一日限りで中止してもらうことが多い。(ただし、風邪には使用することは激減していても、頚椎関連や眼精疲労などには頻繁に応用できるのが葛根湯系列の方剤である。
 
●流行性感冒に対する経験

 冬期の流行性感冒に対しては、たとえ初期症状が傷寒に見える場合でも、温病理論にもとづく外感風熱に対処する治療方法を参考にしなければ治療困難な場合が多い。つまり、流感に対しては葛根湯や麻黄湯・大青竜湯などでは治療が困難で、西洋医学的な発想から銀翹散などのように強力な抗箘・抗ウイルス作用のある方剤を必要とすることが多いと考えている。

 たとえば、今年の流感では一般の西洋医学治療では略治するまでに一週間はかかった者が多く、そのために例年になく漢方を求める流感患者が多かった訳であるが、参蘇飲合銀翹散により数日で略治したものが八割以上を占め、そのほかは葛根湯合銀翹散などで短期間で略治したのである。

 筆者が扱った今年の流感患者を分析すると、気虚体質の者や一時的に気虚に陥った者が、皮毛より寒邪を感受して気虚感冒に罹患するのと同時に、口鼻からは温熱の病毒である流感ウイルスを吸入して発病し、悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽痛を生じ、体温も比較的高熱を示したものと考えられる。それゆえ、気虚感冒に対する参蘇飲と抗ウイルス作用の強力な銀翹散の合方にて良効が得られたものと解釈している。
posted by ヒゲジジイ at 00:21| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月18日

現代の風邪やインフルエンザの概括的考察

 あくまで小生の長年の経験から割り出した概括的な試論である。

 現代社会における典型的な風邪やインフルエンザは、中医学的には多くの場合、
 狭義の傷寒と温病の合併症であると認識するに至っている。

 そこで試論として、

 一時的に衛気不固(衛気の虚)に陥った者が、その虚に乗じて皮毛より寒邪を感受し、同時に口鼻からは温熱の病毒(ウイルス)を吸入したために悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽喉腫痛などを生じる。これ即ち傷寒と温病の合併証である。

 としている訳だが、だから悪寒がする初期には一時的に銀翹散に参蘇飲などを併用することはあっても、多くは銀翹散主体の適応証であると主張するものである。

 また、このことを物好きにも
漢方と漢方薬の真実:5月13日のみならず、

漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記 :現代の風邪やインフルエンザには、銀翹散製剤が主役となる理由をもう一つ突っ込んで考えると!?
 でも書いてみたり、ますますエスカレートしてしまいそうである。

 最初の出発点は本ブログの

13〜14年前のインフルエンザに対する拙論

 がきっかけで、その13〜14年前に『和漢薬』誌に発表しておいたものを読み直す機会があって、自身で書いたものなのにあらためてメカラウロコ、どこまでエスカレートするかしれませんね(笑)。

 といっても、そろそろ湿潤の季節が到来し、それゆえにかっこうしょうきさん・カッコウショウキサンの出番がやって来る季節なのですよexclamation
posted by ヒゲジジイ at 22:33| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月14日

高等医薬院校教材『温病学』における「風温」

 二十年近く前の拙訳をそのまま引用するので、あまりにも訳文が硬直しているが「風温」に対する当時の中医学の教科書『高等医薬院校教材 温病学』の「風温」の記事を下記に引用する。
 
 その前に、やや紛らわしい「春温」については、昨今の教科書では「風温」と「春温」はまったく異なる概念であるが、
中医学の文献中において、春温の概念はすべて一致しているわけではない。春季の各種温病を「春温」で概括している場合がある。例えば邵仙根は《傷寒指掌》の中で“春温病は両種あり。冬に寒邪を受けて即病せず、春に至りて伏気発熱する者は、名ずけて春温と曰う。若しも春令太だ熱し、時邪を外受して病む者は、此れに感じて即発するの春温なり。”と述べているが、「感じて即発するの春温」とは実際には風温に属するものである。
とあるように、現代中医学でいう「風温」と同じものを「春温」と表現していた時代もあるということだ。

   8  風  温

  風温は、風熱の病邪を感受して引き起こした急性の外感熱病である。初期には、発熱、軽度の悪風寒、咳嗽、軽い口渇等の肺衛の症状をその特徴としている。多くは春と冬の二つの季節に発病し、冬季に発病する場合には冬温という。
  風温の名は、最初に《傷寒論》で見られ“若し発汗已みて、身が灼熱
する者は、名づけて風温と曰う”とある。しかしながら、ここで指摘されているのは熱病を誤って発汗した後の壊証に関するものである。朱肱の《傷寒類証活人書》{1107年}の中では、風温の病因は“其の人もと風に傷れ、復た熱に傷るるに因りて風熱相ハクし、即ち風熱を発す”るものであり、その症状は“脉は尺寸倶に浮、頭疼身熱し、常に自汗出で、体重く、其の息必ず喘し、四肢収まらず、〓々として但眠らんと欲す”というものであり、その治法は“治は少陰、厥陰に在り”“発汗すべからず”である、と指摘している。
  清代に至って葉天士は“風温は春月に風を受け”るものであると明確に打ち出し、風温は春季の新感温病であるとした。あとを継いで、陳平伯は風温の専門書《外感温病篇》を著わし、風温の病因、病機と証治について、系統的な論述を行った。まさに陳平伯が“風温の病為る、春月と冬季に居すこと多く、或いは悪風し、或いは悪風せず、必ず身熱、咳嗽、煩渇す”と述べているのは、本病の発生季節と初期の臨床特徴をはっきり指し示したものである。これより、風温病関係を専門に検討し、理法を詳述する。
  現代医学における流行性感冒、急性気管支炎、大葉性肺炎等は、本病の弁証治療を参考にされたい。


8.1 病因病理

  本病の病因は、春や冬に風熱の病邪を感受することである。春季は風木の時節で、気候は温暖で風が多く、陽気はのぼり、生れつき虚弱な人や生活が不摂生であると、風熱の病邪を感受して本病が形成される。このことを葉天士は“風温は春月に風を受け、その気は已に温なり”と言い、また呉革菊通は“風温は初春に陽気が始めて開き、厥陰行令し、風に温を挟むなり。”と述べている。もしも冬季の気候が常に反し、寒いはずのものがかえって温かいとき、人体の正気が不足していれば、また風熱の病邪を感受して本病が発生する。それ故、呉坤安は“凡そ天時晴燥にして、温風暖に過ぎ、其の気を感ずるは、即ち是れ風温の邪なり”と述べ、本病が“温風暖に過ぐ”の条件のもとに形成するものであることを明確に指摘している。
  風熱の病邪に外感すると、多くは口鼻から入り、肺は高い位置にあるので、まっ先にその攻撃を受ける。だから本病の初期には邪が上焦にあって手の太陰肺経が病変の中心となる。それ故、呉革菊通は“凡そ温を病むは、上焦に始まり、手の太陰に在り”と述べている。肺は気を主り衛に属して皮毛に合するものであるから、衛気は皮毛に分布している。このため、病変の初期には、発熱、悪風、咳嗽、軽度の口渇などの肺衛の証候が出現する。もしも肺衛の邪が解けないと、その進行はたいてい二つ過程をたどる。
一つは胃に順伝し、もう一つは心包に逆伝する。葉天士は“温邪は上に受け、首先に肺を犯し、心包に逆伝す”と述べ、風温の初期の病変場所と伝変法則を明確に指摘している。一般的には、邪熱が胃に順伝すると衛から気に転じ、多くは陽明の邪熱熾盛の証を呈するが、もしも邪熱が心包に逆伝すると、必ず昏迷、譫妄などの意識障害の証候が現われる。病変過程中にもしも邪熱壅肺すると、痰熱喘急が出現する可能性があり、熱が血絡に入ると、紅疹が発生しやすくなり、病が後期になると、多くは肺胃陰傷の証を呈するもので、これらも本病の特徴の一つある。


8.2 診断の要点

  @ 春冬の二つの季節に発生する外感熱病は、本病の可能性を考えなければならない。
  A 発病初期には、発熱、悪風寒、咳嗽、口渇、脉が浮などの肺衛の症状が現われ、後期には多くは肺胃陰傷を生じる。これ等が本病の主な診断根拠である。
  B 春季の春温等の病状との鑑別に注意しなければならない。春温との鑑別は春温の章で述べる。


8.3 弁証論治

  本病の治療は、初期には邪が肺衛にあるので、辛涼で宣解して邪を外に駆逐するとよい。もしも邪が気分に伝わった場合には、辛寒清熱するかまたは苦寒攻下するとよい。心包に内陥した場合には、必ず清心開竅しなければならない。本病が後期に至り、熱邪は既に退いたものの肺胃津傷が回復しない時には、甘寒で肺胃の陰を清養するとよい。葉天士は《三時伏気外感篇》の中で“此の証は初め、発熱、喘嗽に因る。首に清涼を用いて上焦を静粛す。・・・・・・若し色蒼く、熱勝り、煩渇すれば、石膏、竹葉を用いて辛寒清散す。┘症も亦当に此れを宗とすべし。若し日数漸く多くして、邪解するを得ざるは、ゴン・連にて涼膈も亦選用すべし。熱邪ダン中に逆伝するに至れば、神昏目瞑、鼻竅に涕泪無く、諸竅閉じんと欲し、其の勢い危急なり。必ずや至宝丹或いは牛黄清心丸を用うべし。病減じて後余熱あらば、只甘寒にて胃陰を清養するに足るなり”と述べている。これは本病の進行過程における各段階の治療について具体的に論述したものである。

  8・3・1 邪襲肺衛の証治{診断と治療}

  【症状】 発熱、軽度の悪風寒、無汗あるいは少汗、頭痛、咳嗽、軽度の口渇、舌苔は薄白、舌の辺と尖が紅、脉は浮数。
  これは風温の初期で、邪が肺衛を襲った証である。邪が表を犯すことによって衛気が鬱せられ、開合機能が失調するので、発熱、軽度の悪風寒、無汗あるいは少汗が現われる。衛気が鬱阻して経脉不利となると頭痛する。肺気が宣暢を失するので咳嗽が現われる。温熱の邪は容易に津液を傷つけるので、病初は軽度の口渇を感じる。ただし裏熱が亢盛で口渇がひどく水を欲しがるものとは多少異なる。風熱の邪が表にあると、舌苔薄白、舌の辺と尖が紅、脉は浮数の証が現われる。本証は外感風寒とよく似ているが、風寒が表にある場合には、必ず発熱は比較的軽く、悪寒がかなりひどい。また口渇はなく、脉は多くは浮緩や浮緊がである。両者の証候には明らかに違いがある。
  【治法】 辛涼解表、宣肺泄熱。
  【方薬】 銀翹散(《温病条弁》)
  連翹一両 金銀花一両 苦桔梗六銭 薄荷六銭 竹葉四銭 生甘草五銭 荊芥穂四銭 淡豆鼓五銭 牛蒡子六銭
  上記を搗いて散とし、毎回六銭を服用する。鮮葦根を煎じ、香気がよく出たところでこれで服用する。煎じすぎてはならない。肺の薬は軽清がよく、煎じすぎると味が濃くなって中焦に入ってしまう。病が重い場合は約四時間ごとに一服、日中に三回、夜一回、軽い場合は約六時間ごとに一服、昼二回、夜一回服用する。病が緩解しない場合はくりかえし服用する。
 呉革菊通は“上昇を治するは羽の如し、軽からざれば挙がらず”と述べている。それ故、本方では軽清宣透の薬物を採用して、肺衛の邪を清宣する。方剤中の荊芥穂、豆鼓、薄荷は解表発汗し、邪を外へ追い出す。牛蒡子、甘草、桔梗は肺気を軽宣して咳嗽を除く。連翹、金銀花、竹葉は清熱宣透する。葦根は少津止渇する。本方を薬物から考察すると、辛涼を主として少量の辛温の薬物で少し佐けている。それ故、呉革菊通は本方を辛涼の平剤と称した。風熱が表に客して発熱、悪寒、無汗の場合に最もよく適用される。もしも悪寒がなくなれば、荊芥、豆鼓は用いない方がよい。本方を湯剤とし煎じて服用する場合、薬味の用量は上記の分量を参考にして減量する。煎じる自汗は長すぎない方がよい。
  もしも温熱灼津によって口渇がかなり激しい場合は、天花粉を加えて生津清熱する。
  温毒が重なって項部が腫張し咽痛する場合は、馬勃、玄参を加えて解毒消腫する。
  肺気の粛降機能が失調して咳嗽がかなり激しい場合は、杏仁を加えて肺気を宣利する。
  熱が津液を傷つけ小便が出しぶることが重なる場合は、知母、黄ゴン、梔子の苦寒薬と、麦門冬、生地黄の甘寒薬を加え、清熱化陰するとよい。

  桑菊飲(《温病条弁》)
  杏仁二銭 連翹一銭五分 薄荷八分 桑葉二銭五分 菊花一銭 苦桔梗二銭 生甘草八分 葦根二銭
  水二杯で煮て一杯を取り、一日に二回服用する。
  本方も辛涼解表剤で、薬は桑葉、菊花、連翹、薄荷の辛涼性のものを用い、風熱を軽く透泄する。桔梗、甘草、杏仁は肺気を宣開して咳嗽を止める。葦根は生津止渇する。本方と銀翹散はともに辛涼解表の方剤で、いずれも風熱が肺衛を侵犯した証に運用される。ただし銀翹散には荊芥、梔子の辛散透表薬が辛涼薬物中に入っていて解表力が比較的強いので、“辛涼の平剤”と称する。そして桑菊飲は大部分が辛涼薬で、薬量が比較的少なく、解表力は銀翹散よりも劣るので、呉革菊通は“辛涼の軽剤”と称した。しかしながら桑菊飲は杏仁を用いて肺気を降ろすので、咳を止める効能は銀翹散よりも優れている。
  もしも熱入気分が重なり、呼吸があらく喘ぐ場合は、石膏、知母を加えて気分の熱を清する。
  もしも肺熱がかなりひどい場合は、黄ゴンを加えて肺熱を清する。
  もしも熱が津液を傷つけて口渇する場合は、天花粉を加えて清熱生津する。

  8・3・2 熱入気分の証治
以下、「8・3・2・1 邪熱壅肺」 「8・3・2・2 痰熱結胸」など続くが、本ブログの性質上、第二水準の漢字の多くが使用できず文字化けが多くなるので省略
posted by ヒゲジジイ at 10:43| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月12日

傷寒と温病を同時に併発するインフルエンザ

 昨日の投稿は、たまたまぶっ壊れたワープロのフロッピーをパソコンに取り込んでいて偶然目に留まった十数年前の拙論だった。
 それを眺めて自分で述べておきながら、昨今の頭蓋骨内部の老化のせいか、この程度の内容を読んでも他人様の御高説を拝聴したかのように、本当に目からウロコが落ちてしまったのだから、我ながらナサケナイ。

 一時的に衛気不固(衛気の虚)に陥った者が、その虚に乗じて皮毛より寒邪を感受し、同時に口鼻からは温熱の病毒(ウイルス)であるインフルエンザウイルスを吸入したために悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽喉腫痛などを生じる。これ即ち傷寒と温病の合併証である。

 という考察こそ、冬のインフルエンザの正体をかなり正確に表現しているのではないかと、いまさらながら自画自賛するものである。

 だから、葛根湯や参蘇飲程度の方剤で簡単に治癒してしまうレベルのかぜというのは、気虚体質の者や一時的に気虚に陥った者が、皮毛より寒邪を感受して感冒にかかったのみで、同時に口鼻から吸い込む病毒(ウイルス)は比較的弱いものであろう。

 インフルエンザとなると、皮毛より受けた寒邪と同時に口鼻から強烈な温病の病毒を吸い込んでいる。
 このため悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽喉腫痛を生じるが、とりわけ咽喉腫痛を伴う風邪のほとんどが温病の病毒を吸入してしまっていると断定してもよいくらいだろう。当然、この風邪の中にはインフルエンザも含まれる。

 このような理由から、最初は参蘇飲証や葛根湯証あるいは麻黄湯証に見えても、咽喉腫痛を伴っている場合は早晩、温病としての兆候がどんどん前面に出て来る。
 それゆえ、初期に効いたと思った葛根湯なども直ぐに無効となる。
 無効となった時点では温病には相反する辛温解表の傷寒論方剤は即刻中止すべきである。
 ただし、平素気虚の人がかかった場合は、参蘇飲に銀翹散製剤の併用をしばらく継続することもあり得る。

 結局は、現代の風邪関連疾患の多くは銀翹散系列の方剤が主体となるべきであり、また葛根湯や麻黄湯などの傷寒論の方剤に固執したところで、これらは「寒邪を皮毛より感受」したほんの一時期に有効なときがあるのみで、その後はほとんど無効に近いことは、上述の理由からであろう。

 以上を非科学的といって笑わば笑えパンチ
 このような中医学的なイメージトレーニングが出来ないものには、永久に漢方と漢方薬は無縁のものであろうダッシュ(走り出すさま)


 ともあれ、当方では超常連さんにのみ伝授している風邪やインフルエンザに対する漢方薬のヒントを書いた秘伝書(笑)を渡しているが、その一部を以下に公開する。

   風邪(インフルエンザも含む)の一般的な治療方法

〔基本方剤〕「@銀翹散製剤」と「A板○根)」

 風邪・インフルエンザ・扁桃腺炎などの急性熱性疾患で、咽喉(のど)の痛み・咳嗽(せき)・頭痛などがあり、
*寒気が強いときや胃弱の人は「B参蘇飲(ジンソイン)」を併用します。
*水瀉性下痢や吐き下しの合併では必ず「Cかっ香正気散(カッコウショウキサン)」を併用。

★こじれそうな場合の対処方法

●高熱(38度以上の熱が続く場合) @Aに「D地竜(ミミズ)」を併用。
●鼻詰まりがひどい場合       @Aに「E辛夷清肺湯」を併用。
●咽喉(のど)の乾燥が顕著な場合   @Aに「F西◎◎参)」を併用。
●胸痛や胸部に違和感や熱感がある  @Aに「G結胸散(小陥胸湯加減方)を併用。
●咳で胸が痛く胸部に熱感がある   @AにEGを併用。重症では必ず「I白×蛇×草」も追加する。もしも乾燥刺激感が強ければFも併用。
●腎盂腎炎を併発した場合      @Aに「H猪苓湯」とI。

 以上をヒントに適宜組合せを工夫すれば、比較的短期間で治癒することが出来ます。
 但し、体質と症状によって配合が微妙に異なりますので、詳しくは直接お問合せ下さい。(病状によっては、上記の漢方薬以外のものも使用することがありますので。)
 風邪や流行性感冒(インフルエンザ)のようなウイルス感染症の基本は・・・・・・で、最初から最後まで、また日頃からの予防にも必需品です。
 もしも、細菌感染を合併して治りが遅い場合は・・・・・・・も併用すれば効率が上がります。
posted by ヒゲジジイ at 01:35| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月11日

13〜14年前のインフルエンザに対する拙論

 以下は13〜14年前、ウチダ和漢薬発行の『和漢薬』誌に翻訳連載していた『中医病機治法学』(陳潮祖著)における「訳者のコメント」の一節である。
 ●流行性感冒に対する経験

 今回は「表衛失調」における表寒証の検討であり、つまり外感風寒に対する七種類の辛温解表法が解説されている。寒邪の侵襲によるいわゆるカゼの初期症状に対する治療方法であるから、よく見られるカゼの初期症状の治療に参考価値が高い。
 しかしながら、冬期の流行性感冒に対しては、たとえ初期症状が傷寒に見える場合でも、温病理論にもとづく外感風熱に対処する治療方法を参考にしなければ治療困難な場合が多い。
 つまり、流感に対しては葛根湯や麻黄湯・大青竜湯などでは治療が困難で、西洋医学的な発想から銀翹散などのように強力な抗箘・抗ウイルス作用のある方剤を必要とすることが多いと考えている。

 たとえば、今年の流感では一般の西洋医学治療では略治するまでに一週間はかかった者が多く、そのために例年になく漢方を求める流感患者が多かった訳であるが、参蘇飲合銀翹散により数日で略治したものが八割以上を占め、そのほかは葛根湯合銀翹散などで短期間で略治したのである。

 訳者が扱った今年の流感患者を分析すると、気虚体質の者や一時的に気虚に陥った者が、皮毛より寒邪を感受して気虚感冒に罹患するのと同時に、口鼻からは温熱の病毒である流感ウイルスを吸入して発病し、悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽痛を生じ、体温も比較的高熱を示したものと考えられる。
 それゆえ、気虚感冒に対する参蘇飲と抗ウイルス作用の強力な銀翹散の合方にて良好が得られたものと解釈している。

 なお、表衛失調には外感風寒のほかに、外感風熱・暑邪傷肺・外傷於湿(湿滞体表)・燥邪傷肺・外中風邪などの病機がある。

 13〜14年前の拙論であるが、昨今は上記の葛根湯の必要性を感じることはさらに滅多に遭遇しなくなっているということは、これまでも本ブログで何度も書いている。
 だから、当時と昨今の考え方の微妙な変化にも注意してほしい。これは、時代的な諸環境の変化に連動しているところが多々あるはずである。

 ところで十数年前に自分自身で書いておきながら、眼からウロコであったのは上記のバックカラーを施した部分、
 気虚体質の者や一時的に気虚に陥った者が、皮毛より寒邪を感受して気虚感冒にかかり、同時に口鼻からは温熱の病毒であるインフルエンザウイルスを吸入してたために、悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽喉腫痛を生じ、体温も比較的高熱発したのであろう
 という解釈の見事さ(笑)であった手(チョキ)
posted by ヒゲジジイ at 18:15| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月02日

咽喉腫痛がひどくなって使用したらあまり効かなかったというタマに見える女性の場合

 一年に何度か訪れる程度の女性だが、銀翹散製剤の錠剤を風邪の引き始めの咽喉がややおかしい程度の時に、すなわち引き始めに使用したときはよく効いていたのに、咽喉腫痛が激しくなって服用を開始した時には、あまり効果がなかったと嘆いていた。

 おっしゃる通りで、その場合にはやや高度なテクニックが必要であるが、少なくともそのような場合は錠剤ではなく「涼解楽」という顆粒状の製品を使用しないと効果が弱い。(来日する中国の中医師たちは、急性時の日本の使用量の少なさに驚かれるが、使用上の用法・用量に規制される部分があるから止むを得ない。)

 ともあれ、ここが常連さんか、タマにみえる及び腰さん?では、当方のきめ細かい伝授の差というものが歴然とあらわれてしまうのは止むを得ないだろう。

 だから、先手先手を打つのでなければ、咽喉腫痛が重症化した段階で使用する場合の日本の銀翹散製剤の錠剤の分量では、効果が劣るのは止むを得ない事情がある。
 それゆえ、症状が重い場合はエキス顆粒の「涼解楽」を使用した方が効果的なのである。もちろん中医学的には板藍根や白花蛇舌草などを加えるのは常識である。

 明日からは連休続きだからか、本日は常連さんも銀翹散製剤の補充に見える人が多かったが、その常連さんたちこそ、卒なく使用されているので、先ほどの女性のような遅れて使用することはほとんどあり得ない。

 遅れたら遅れたで、高度なテクニックを伝授してあるし、困った時には即電話でアドバイスが可能であるから、このような風邪一つにしても、常連さんとタマの患者さんでは、効果的な使用方法に大きな差がついてしまうということなのだった。

 蛇足ながら上記の女性の話された次のような話は、漢方後進国特有のナサケナイ問題である。
 一般薬局の薬剤師さんのアドバイスによれば、漢方薬は風邪がひどくなってから使用すると熱がこもってしまうから初期の風邪以外には使用すべきではないと言われたが、どうしてでしょうか?との面白い質問があった。

 これにははっきりと理由があって、日本漢方つまり漢方医学においては中国清代の『温病条弁』をまったく取り入れておらず、傷寒論医学ばかりで風邪や流感に対処するから、辛温解表の方剤など温める風邪薬中心の医学であるために、そのように誤解されてもしかたがないだろう。

 その点、中医学を知るものであれば、辛涼解表など熱を穏やかに冷ます方剤なども揃っており、さまざまな状況に対処できる理論と方剤が揃っていることが分っているので、どのような状況にも対処できるのである。

 実に嘆かわしい漢方後進国なのですよ、この愛すべき日本国は・・・・・モバQ
posted by ヒゲジジイ at 22:33| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月29日

盛んに宣伝されるほど葛根湯がそんなに風邪やインフルエンザに有効なら、その確たる証拠を示すように各漢方メーカーに依頼しているが、その返事は何と!?

 風邪に葛根湯というのは、今や常識中の常識で、もっと正確に言えば、非常識な常識であることは、このブログでも再三述べた。

 漢方メーカー各社が多かれ少なかれ宣伝してきた責任は大きいように思う。
 だから、取引先の各社に葛根湯が風邪にそんなき効くというなら、その確たる証拠を示せと再三強く迫っているが、どの社の外交さんも、苦笑いするのみでまともな反論が出来た会社は皆無なのである。

 何でも売れさえすれば良いのが営利を追究する資本主義社会の宿命ではあるが、葛根湯神話ほどの噴飯ものは、アガリクス神話レベルに到達しているとさえ思うほどである。

 かく言う小生は、日常の薬局業務において、葛根湯系列の製剤は大いに繁用している。このことも再三述べたことである。
 しかしながら、風邪関係においては、たとえ鼻炎関連でさえ使用する機会は極めて少ないということである。

聞くところによると、某検索エンジンさんでは臆面も無く

 健康食品>漢方薬
( ビジネスと経済 > ショッピングとサービス > 健康 > 健康食品 > 漢方薬)

このような分類を行っているという話であるが、

まったく、一犬虚を吠ゆれば万犬実を伝う (いっけんきょをほゆれば ばんけんじつをつたう)

のたとえ通り、誰かが好い加減なことを言い出すと、皆がそのように信じ込んで、間違ったことでもいかにも真実のように広まってしまう類(たぐい)で、葛根湯神話もこれに負けず劣らず、「一犬虚を吠ゆれば万犬実を伝う」に近いんじゃないかと極論したくなるほどである。
(参考文献:某大手検索エンジンに、健康食品 > 漢方薬 という間違った分類の是正のお願いをするも、謝絶されたこと

 ただし、あまり極論し過ぎてもいけないから、正確なところを追記しておくと、風邪の初期で寒気がして、項背部を揉むと気持ちがいいときには葛根湯の適応証であるから、すかさず使用すれば少なくとも一時的には有効である。
 軽い風邪なら即座に葛根湯で治る。
 しかしながら、強いウイルスやインフルエンザウイルスだった場合は、同時並行的に、あるいはやや遅れて咽喉腫痛が出現する場合は、もはや葛根湯では対処しきれないから、すかさず『温病条弁』に記載される銀翹散系列の方剤が必須となる。

 だから、葛根湯が風邪やインフルエンザに有効な時期があるとすれば、引きはじめの初期に限られ、多くは「病院に行くほどでもないから・・・」という気分が支配している初期である。
 これはヤバイ、病院に行かなくっちゃ〜〜と決意するような段階になると、すでに多くは温病の段階に移行しつつあるか、完全に移行し手しまってる段階である。

 特別な注釈としては、以前中国で問題となったサーズは、最初から最後まで「傷寒」を呈していたという情報があるから、当時のサーズに限り、傷寒論記載の葛根湯や麻黄湯などが主方剤となった可能性があるので、臨機応変の思考準備だけは忘れてはならない。

 現代日本における多くの風邪やインフルエンザは、傷寒と思える時期は、ほんの初期に限られ、多くは直ぐに温病に転化しているという事実を指摘し続けているのである。
posted by ヒゲジジイ at 13:35| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月26日

ここ最近、冬に近い寒さが続いたので風邪引きや咳嗽の問合せが続く

 問合せが続くといっても、すべて常連さんたちの話で、咳が止まらないといわれる九州の常連さんは、どうも単なる麦門冬湯証のようであり、風邪の治りが悪いという人も、銀翹散製剤ばかりにたよって、慢性副鼻腔炎による微量の後鼻漏による問題を看過しているのである。

 つまり、銀翹散製剤をきちんと服用しているのに、もうひとつすっきり治らないというタイプに多いのが、この隠れた慢性副鼻腔炎により鼻から咽喉部に、それこそ黴菌(バイキン)が流れ落ちて、咽喉部で継続的な刺激となっているのだから、バイキンをもたらす根源である副鼻腔炎に直接治療効果を発揮する方剤を加えないことには、銀翹散製剤だけでは薬力が弱いのである。

 このようなケースでは辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)を合方すべきタイプが多く、またこれですみやかに治ることが多いのである。

 このことは、既に本ブログでも再三述べたことである。


 ところで、小生自身が夜になって身体がやけに冷え込み、とりわけ背中がゾクゾクではなくてやけに冷え冷えとするのである。同時に鼻腔の入り口が妙にムズムズして軽いくしゃみすらではじめた。

 咽喉にはなんの違和感もみられないので、昨今の異常気象のみならず連日連夜の睡眠不足による「気虚感冒」の証候を呈していると判断して、参蘇飲(じんそいん)をたっぷり服用したところ、これだけで数時間後には完治した模倣。

 ホンの引き始めに、正しい弁証論治によって適切な方剤を使用すれば、カクノ如しといいたいのだが、いつも馬鹿の一つ覚えのように書きまくっている「銀翹散製剤」は使用しなかったことに留意してほしい。

 たまには参蘇飲単方投与で十分ということだってあるということなのだ。
posted by ヒゲジジイ at 23:26| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月15日

自分の子供の病気はすべて、漢方専門家を自称する手前、漢方薬だけで治して、一度も病院のお世話にはならなかったのだが・・・・・

このことは他のブログにも書いているので、ちょっとそれを引用することが前置きとして重要である(笑)

白衣を脱いだ漢方と漢方薬のヒゲ薬剤師」の、若い頃は漢方専門薬剤師のプライドにかけて自分の子供の病気はすべて漢方薬で治して来たものだが・・・ より、

漢方を専門とする薬局を経営する薬剤師であるから、子供の病気はすべて自前の漢方薬で治してきた。

 親が虚弱な部分があったから、子供も決して丈夫ではなかったので、しばしば病気をして、吐いたり下したり、高熱を発したり、あるいは頻繁にトイレに行く膀胱炎というよりも発熱を伴って腎盂腎炎らしきものに罹ったり、二人の子供の病気をことごとく漢方薬で治してきた。

 愚息の高校受験の時には寸前から高熱を発してハラハラしたが、受験中に熱が引きはじめて、午後からは調子がよくなったというので安堵の胸を撫で下ろしたり、漢方専門の薬剤師としてのプライドにかけて、西洋医学の世話には絶対ならないという信念でやってきた。

 ところが、休日を利用して小児科医の義弟の家に遊びに行っていた最中、同じ開業医仲間の外科医の先生の奥さんから義弟に電話があり、ご子息が風邪を引いたので特別に診てもらえないだろうかとの御問合せであった!

 何が驚いたかといって、薬剤師の小生でも子供のあらゆる病気を自前の漢方薬で治して来たのに、外科が専門とは言え、お医者さんは御自分の子供さんの病気すら、専門外だからと小児科医師の友人に依頼するお気楽さ、といおうか、プライドのなさと言おうか、本当に愕然としてしまったのだった。

 いまだにその時のショックを思い出しては、一人ニンマリとするのはナゼだろうねっ

 とは言うものの、二十数年前?自分自身では大失敗をしていたのだった。

このことはどこかのブログで書いた記憶があるが、寒い2月に既に7度4分の発熱があったにもかかわらず、寒風をおして海に釣りに行ったのだった。
 
帰宅して風呂に入る頃にはすでに39度近かった。翌日は完全にダウン。
40度を越えていたか?
麻黄湯も大青竜湯などもビクとも効を奏さない!

重度の急性疾患には、古方派漢方、傷寒論医学がいかに無力であるかを思い知らされた。

二十年以上前のこととは言え、あまりにショックが大きかった。

急性感染症を漢方で対処するなら、傷寒論に頼っていてはダメなのである。

完全にダウンして恥も外聞もなく近くの内科医に往診してもらって解熱剤の注射で一息ついたのであった。(何とナサケナイ!)

中国清代に書かれた呉鞠通の『温病条弁』なのですよ!しかしながら当事はまだ日本には銀翹散製剤は輸入も製造もされてなかった時期だから、煎じ薬で作るという手もあったが、その気力も中医学に対する信頼も自信もないまま、虫の息で床に臥せっていたのだった。
posted by ヒゲジジイ at 19:34| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月12日

最終的には麦門冬湯と銀翹散製剤1錠の併用でほぼ治癒の目途

3月8日抗癌剤の点滴治療入院中からはじまった激しい咳嗽に銀翹散製剤で著効?にはじまった投稿から何度か続き、3月17日の投稿3月13日「3月8日:一ヵ月半続く咳嗽の続報」の4日後の結果に続く続報である。

その後、最後の仕上げに辛夷清肺湯を加え、銀翹散製剤との併用で落ち着くかに見えたが、野山の散策が祟って、再度発熱する風邪を引き添えてしまった。

直ぐに解熱するも、今度の咳嗽は夜中に咳き込んだときに嘔吐した。

大逆上気(だいぎゃくじょうき)の症候である。

それゆえ、最終的には麦門冬湯に少量の銀翹散製剤で八割がた回復して、現在、治療を徹底すべくこの組み合わせを継続中である。

但し、原疾患および肺の転移巣のこと、喀出する痰に血が混じることなどでまったく不安が無いわけでもないが、健康状態は日増しに好転している。

また、原疾患については専門医とも深い相談の上、すべては自己責任で手術を受けない決断で数年経過しているが、結果的には正しかったといえそうに推移している患者さんである。

もちろん、今回のような風邪関係の漢方薬ばかりでなく、それ相応の中草薬系のものを長く続けてもらっている。それゆえ、原疾患の進行をかなり食い止めている可能性が高いと思われ、また、もともと月に1〜2回は来られており、止まらない咳嗽がはじまってからは10日毎に見えているので、臨機応変の対処が出来ていると思われる。
posted by ヒゲジジイ at 13:03| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月10日

銀翹散製剤を販売するメーカー間でも意識に大きな差があるのが現実

銀翹散製剤を輸入販売、あるいは製造販売する漢方系の製薬会社は複数あるが、それぞれに銀翹散製剤に対する意識は、大いに異なっている。

だからその社の営業マンによって、自身が風邪を引いた時の対処方法がまるで違うのである。

A社の営業マンはすかさず銀翹散製剤を使用しているが、B者の営業マンは揃って傷寒論医学の方剤を使用してこじらせることが多い。

だからB社の営業マンに銀翹散製剤を使用すべきことを懇切丁寧に教えてあげると、今年はうまくいったと喜んでいた。

しかしながら、A社の社員とて、ちょっとした工夫が足りないので、咽喉がおかしいときは、一錠だけをトローチがわりに使用する応用方法を伝授して直ぐに実行してもらったところ、見る見る改善していった。

ともあれ、自社で販売している銀翹散製剤であっても、A社などは主力製品の一つとして温病条弁の方剤の価値を大いに認識しているが、B社などは古方派漢方の域から飛躍することが出来ず、いつまでも中医学に対する理解が深まらないという訳である。

それゆえ、

「風邪は予防に限る、それにはビタミンCが一番」

などと、漢方専門メーカーの幹部らしからぬ発言が飛び出したりして、周囲の苦笑を誘うというお粗末も見られるのであった(笑)
posted by ヒゲジジイ at 00:33| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月01日

起床時から咽喉がいがらっぽいので銀翹散製剤のエキス散などを服用して昼には完治

朝起きると咽喉がイガラッポイ。

このまま放っておくと本格的に風邪を引いたらかなわないのでエキス散の銀翹散製剤を口で溶かし咽喉にゆっくりと付着するような服用方法をとる。ついでに板藍根のエキスも飲んでおく。

仕事の終わる昼ごろには完全に忘れていたが、手元に漢方薬が豊富だからこのようにすかさず服用すると、大体において一度の服用で完治することが多い。

普段は無意識でやっていることだが、風邪専門のブログをはじめて以後、意識的になってみると、このような風邪の前兆を感じて銀翹散製剤を服用すること一年間で相当な回数であることがわかって驚いている。

大概が一二度の服用で完治するので、使用量はタカが知れているが、すっきりと直ぐには治らないタイプの常連さんでは、使用量もやや多くなっているようだ。

昨年の途中からせっかく風邪専門のブログをはじめたのに、幸か不幸かターゲットの常連さんたちが、予防のコントロールがとても上手になって、本格的な風邪やインフルエンザに罹患する人が僅少であった。

慶賀すべきことではあるがやや残念でもある(笑)と言ったら、このクソヒゲ薬剤師メっと叱られそうである。

しかしながら、現在、一人の常連さんで発熱はないものの、軽度の悪寒と咽喉痛で銀翹散製剤と葛根湯製剤の微量を併用して数日になる人がいる。

10年前頃にやって来られた当初は、しばしば発熱を繰り返し、病院のクスリでは直ぐに胃障害を起こして続けられず、このために漢方治療に専念することになったのだった。

しかしながら、漢方薬とサプリメントの違いがあまり分らずに、一年くらいは説明に往生したことを覚えている。

風邪薬や虚弱性に対して漢方薬を使用し始めて、二年間くらいは一時発熱することもあったが、その後は、一度も発熱することがない。

しかしながら、ハードな仕事を持つ彼女は、折々に悪寒と咽喉腫痛の風邪症状がはじまる。

これがはじまっても当初のように発熱することはなくなったものの、完治するまでに一週間くらいはかかってしまう。

いつも明らかな悪寒を伴うので、銀翹散製剤に証にもとづいて葛根湯製剤の少量を加える時と、参蘇飲製剤を加えるバターンと二通りある。

彼女のように、早くて3日、遅くて一週間もかかることがある人は、常連さんの中にも男性でもう一人くらいいるが、これも個人差があることだから仕方が無いのかもしれない。

うまく先手を打てる他の常連さんたちや小生のように一二回の服用で完治してしまう人が断然多いのだが。

posted by ヒゲジジイ at 17:30| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月30日

手術を拒否した蓄膿症でも辛夷清肺湯で緩解できることが多い

シバシバ遭遇する例だが、先日も出入りの二十代の兄ちゃんが、蓄膿のために前頭部が痛くて仕事にならないとやって来た。

身体は丈夫なほうだったが、風邪を引いて蓄膿症が暴れまくり発熱し、頭痛・黄色粘稠な膿汁・鼻詰まりなどが激しく、3日間安静を命じられた。

鼻の洗浄でホンの一時は楽になるが、仕事が始まると常時、前頭部の頭重が鬱陶しくてしようがない。

辛夷清肺湯製剤の単方のみで、2〜3日で一気に軽快している。

頭痛が取れ、濃い膿汁が大量に排出されて鼻閉が開通(笑)して喜んでいる。

このような例が、近年、爆発的に(というのはオーバーかもしれないが)、しばしば遭遇して多くは辛夷清肺湯が主方剤となるが、近年、葛根湯加辛夷川芎タイプの蓄膿症にお目にかかったことがない。

蓄膿症の性質から考えても、温性で発表作用の強い葛根湯加川芎辛夷が有効であることはほとんどあり得ないのではないかと、やや極端な感想をいだいてしまうほどである。
posted by ヒゲジジイ at 02:32| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月20日

「SARSは温病ではなく,傷寒である」とうことらしいですね。

SARSは温病ではなく,傷寒である

ということだから、SARSこそ傷寒論医学が大活躍する場だったらしい。


ところで、今もっとも流行が恐れられている鳥インフルエンザこそ「温病」であろうと予測している。

温病なら扱いなれているので、インフルエンザでシバシバ用いる銀翹散製剤主体の方法でかなり通用するのではないだろうか?

咽喉腫痛からはじまるようであれば・・・・・・・?ということです。

具体的な自他覚症状の情報が入れば、直ぐにおおよその分析はできるはずだ。
posted by ヒゲジジイ at 18:55| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月19日

風邪を引くと必ず咽喉腫痛と急性副鼻腔炎症状を併発して病院治療ではまったく無効な人達がいる

いつも書いているように、もともと隠れた慢性副鼻腔炎を持っているような人に多いが、風邪を引くと決まって咽喉腫痛に急性副鼻腔炎を伴って大変なことになる方が結構多い。

しかも何十日病院に通っても治らないときている。

そういう方たちは、不思議なほどに耳鼻咽喉科で鼻を洗ってもらってもまったく無効だという人もいる。

病院に40日も通い詰めても悪化の一途を辿って微熱も取れず、ほとほと困り果てて漢方を求めて来られ、あっけなく一週間で治癒した人は大変多い。

根本的には隠れた慢性副鼻腔炎が、風邪を引く度に大暴れするわけだから、蓄膿症を徹底的に治療すべきなのだが、急性期の漢方薬の効き目に味をしめて、風邪を引いたら直ぐにやって来られて短期決戦で治されるようになる。

だから根本的な蓄膿症治療をやろうと決意する人は一部の人に限られている。ムムッ

総じて、銀翹散製剤に辛夷清肺湯の併用を主体に、状況に応じて小陥胸湯加味方なども加える必要があるなど。

実に多いパターンである。

初期からこのパターンで発症する人もいる。
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2006年03月17日

3月13日「3月8日:一ヵ月半続く咳嗽の続報」の4日後の結果

3月13日3月8日:一ヵ月半続く咳嗽の続報の4日後の経過報告である。

銀翹散製剤(天津感冒片)の1錠をトローチがわりに使用する方法は、魔法のようによく効くということで、内服の銀翹散製剤の散剤(涼解楽)の服用と相俟って既に5割以上の効能を発揮しているので、このままで続けたいということだった。

たとえば会話の途中で咳き込みそうになったら即1錠をトローチのように口に含んで噛み締めると、即座に咳嗽は治まるので、まるで魔法のようだということであった。

時々混じっていった黄色味を帯びた喀痰も減少しているので、辛夷清肺湯の併用の必要はなさそうであった。

まだ咽喉部の乾燥感は明らかに残っているので、西洋人参程度の潤いを与える食品レベルでも併用してほしいところだが、ご本人はまずまず良しとされているので、上記をそのまま継続ということになった。
posted by ヒゲジジイ at 17:22| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

よせてはかえす波の音:温病条弁

コラムニストで月刊専門雑誌「室内」の編集長(兼経営者)であった故山本夏彦氏が、手を変え品を変えて同じことを繰り返し書かれていた。

それを山本氏みずからが「よせてはかえす波の音」と表現されていた。

今回はその伝であるが、それを他のブログからの引用でお茶を濁したい。引用文に使用するHTMLタグをここで使って見たいという目的も半分あるので。
漢方と漢方薬および中医学関連情報からの引用だが、このブログはアクセス数が少ないので、御紹介を兼ねて、下記のタイトル部分を全文引用させて頂く。(引用文のタグには「blockquote」というタグを前後に用いると以下のようになる。)


日本漢方には「傷寒論」があっても「温病学」がないのは致命的かもしれない

医療用漢方を含めて、日本漢方には「温病学」がない。

傷寒論・金匱要略は聖典として重要視しても、明(みん)から清代(しんだい)にかけて急速に発達した温病学を知らない。

だから呉氏の『温病条弁』を見向きもしない。

このため、一般の風邪だけでなくインフルエンザに対しても威力を発揮する温病に対する漢方処方が使用されることもない。

使用されるのは一握りの中医学専門の医師、あるいは特定の中医学・薬学を重視する薬局・薬店グループ関連で取り扱われるだけである。

お陰でシーズンともなると、たとえば銀翹散製剤は薬局・薬店で大量に売れることになる。
正しく使用すれば、そうとうな効果を発揮するからである。

初期に葛根湯証だの麻黄湯証であっても、ウイルスが強烈な場合は直ぐに温病に転じるのである。
こうなると葛根湯証や麻黄湯証ではないのである。

中医学では常識である「温病」の概念がないから、上気道に関連した急性疾患は、すべて傷寒と判断され兼ねないのが日本漢方の錯誤の最たるものである。

いまからでも遅くないから、傷寒論研究ばかりに労力を費やさずに、その半分の時間を「温病条弁」に向けるべきである。

このままでは「漢方医学」は日本の伝統医学であるなどと、胸を張っておれなくなる。

巷では、風邪に葛根湯という常識が既に崩れ始めている。

病院で貰った葛根湯が意外に効かないので、薬局にかけこんだら銀翹散製剤が出され、これであっさり治ってしまったという例があとを絶たない。

「傷寒論」は異病同治の模範を示したところに意義があり、「金匱要略」は同病異治の模範を示したところに意義がある。

「温病条弁」は現代人の急性疾患を含めて、多くの難病を解決するヒントがたくさん書かれている。

傷寒論・金匱要略のみならず「温病条弁」を学ばなければ、日本漢方の明日はないかもしれないのである。

さいわいに日本では唯一と思われる本書の解説書が医歯薬出版株式会社から出版されている。
神戸中医学研究会編著『中医臨床のための温病条弁解説』
                 (1998年発行 定価19,950円)である。
posted by ヒゲジジイ at 10:17| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月13日

3月8日:一ヵ月半続く咳嗽の続報

抗癌剤の点滴治療入院中からはじまった激しい咳嗽に銀翹散製剤で著効?

の続報であるが、タイトルほどの著効とは言えなかった。タイトルに「?」をつけていて正解だった(笑)

銀翹散製剤(涼解楽)は、そのときお渡ししたのは4日分だったそうだ。

製品の取り出しに行ったり、あるいはレジを打ったりということが稀であり、相談業務をもっぱらとしているので、販売したのは一週間分とばかり思っていたが、12包入りで4日分の製品だそうだ。

本日再来されて、2日近く薬がきれていたが、また咳き込みがひどくなりつつあると言われる。

服用2日目でかなり効いてるなと思ったが、その後は平行線。

ただ最も悩ましかった咳嗽による頭痛は消失し、咳嗽の頻度も減ったものの、薬が切れた状態となって漢方薬服用前に比較して3〜4割り効いた程度の現状であるといわれる。

一ヵ月半以上も続いて、途中から悪化の一途を辿っていたので、やや高齢であることとサービス精神旺盛な方で、会話を楽しまれる毎日だから、奥様も話すから治らないのよ、とおっしゃるくらいである。

ご本人の感想では、「風邪を引いているなっと感じていた部分」はよく効いて消滅しているといわれる。

そこで、再び4日分の銀翹散製剤をお渡しし、同時に錠剤の銀翹散製剤(天津感冒片)をトローチ替わりに1回に1錠を1日3回併用することにした。

今回も薬局に入られる早々から咳き込み出していたので、すぐに錠剤をトローチ替わりに使用してもらったら即座に咳嗽は止まっていた。

4日間で5割は効いて欲しかったが、一日中発声しておられる方だから止むを得ないかもしれない。

本日も咽喉の乾燥刺激感を訴え、軽度の鼻づまりと昼間だけ黄痰が混じることきがあるので、軽度の肺熱を伴っていることは明らか。

それゆえ、麦門冬湯など人参含有の滋潤剤を投与するのは錯誤である。

いずれにせよ、軽度の肺熱と肺陰虚もみられるので、辛夷清肺湯の併用も考えたが、4日後の様子次第にすることにした。
posted by ヒゲジジイ at 21:43| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月12日

傷寒論・金匱要略が大切なのは当然だが『温病条弁』に見向きもしない日本漢方に明日はない、といったら言い過ぎだろうか?

小生は長州生まれの長州人。

長州に生まれたことを誇りに思うように、日本人であることにはもっと誇りを持っている。

それだけに、日本が多くの点で日本人特有の勤勉さを発揮して、様々な分野で西洋文明に追いつき追いこせを実現してきたことにも誇りを持っている。

ところが、有形の目に見えるものには特異な能力を発揮する日本人が、こと無形の哲理になると、カラッキシ弱いことにどうしようもない歯がゆさを感じるのである。

哲学の領域にしても、極論すれば西田幾多郎以外には誰もいないのじゃないかと思われるほどである。多くは西洋哲学の紹介者にとどまっているように思えて仕方がない。

まあ、専門外のことだから単なる憶測に過ぎないのかもしれないが、専門の漢方薬の分野においては、日本の伝統医学といわれる「漢方医学」は、中国の古代医学の傷寒論・金匱要略ばかりをバイブルとするばかりで、清代にかけて急速に発達した温病学のバイブル『温病条弁』をまったく無視し続けているのが日本古方派や医療用漢方の現実である。

漢方の世界は、日本人の弱点である哲学理論と科学理論(構造主義科学)が融合した医学・薬学であるから、傷寒論や金匱要略に比べて、複雑な論理で構成される『温病条弁』を避け続ける日本漢方の不甲斐なさを感じないわけには行かない。

哲理に弱い日本人の弱点が漢方研究においても顕著に見られるのである。

さいわいに日本では唯一と思われる本書の解説書が、医師薬出版株式会社から出版されている。
神戸中医学研究会編著『中医臨床のための温病条弁解説』(1998年発行 定価19,950円)である。

原書に関しては、燎原書店さんや東方書店さんでかなり安価で容易に入手できる。

さきほど、テレビを見ていたら医療用漢方のコマーシャルで、漢方薬はインフルエンザにも使用されているように宣伝していたが、傷寒論医学主体の漢方処方のどの製剤がインフルエンザにそれほど有効だといえるのだろうか?

ブラックユーモアとしか思えない。

呉氏の『温病条弁』に記載される三焦弁証や衛気営血弁証なくして、漢方薬方剤としても「銀翹散製剤」なくして、どのようにして漢方薬でインフルエンザに対抗しようというのだろうか?

葛根湯や麻黄湯が、マウスなどの実験ではなくて、人間様の実際の臨床上で、本当に有効なものかどうか、もう一度検討しなおすべきではないだろうか?
posted by ヒゲジジイ at 15:30| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年03月08日

抗癌剤の点滴治療入院中からはじまった激しい咳嗽に銀翹散製剤で著効?

某悪性腫瘍の肺転移に対する二度目の抗癌剤による点滴治療で入院中、風邪を引いてしまって葛根湯やルルなどの市販薬を服用するも、治癒しないまま一ヶ月半が経過し、ますます激しく、腹痛や頭痛を伴い、あまりの苦しさに当方の薬局へ訪れた。

病院での諸検査では、薬物性の間質性肺炎は否定され、一般の肺炎も見られず、当初あった微熱も消退しているので、風邪や咳嗽関連のお薬は出してもらえないので、葛根湯などの市販薬を購入して、入院点滴中の合間に適当に服用していたという。

隠れてこそこそしていたわけではなく、公然と病棟に風邪薬関係を置いて服用していたといわれるので、ハテナという感じもする。

抗癌剤の点滴治療も終えて退院後も、頑固な咳嗽が止まらず、いよいよ悪化し、咳き込むと腹痛や頭痛、昨今は頭痛がたまらなく苦しくなった。

来局時も盛んに咳き込んで苦しそうであったが、小生は常連さんの電話でのお問い合わせに応対中だったので、その間、スタッフの女性薬剤師が詳細に病状をお聞きしていたところ、咽喉の疼痛を伴った乾燥性の激しい咳嗽で、咳の発生源は胸部ではなく咽喉部であるとのこと。

すなわち初期の肺衛が犯されて肺気の宣発と粛降が撹乱された状態がそのまま継続していると判断し、銀翹散製剤の天津感冒片をわずか1錠だけをトローチ替わりに直ぐに使用してもらったのだった。

常日頃から話術の巧みな病人さんは、その間もおしゃべりし続けていたが、ピタリと咳嗽が止まって、その後30分以上、帰宅するまで一度の咳き込みも無いので、この方剤で間違いないだろうとて、エキス散になった「涼解楽」を4日分をお渡しした。


追記: この方の原発の問題など詳細はここで記すことは出来ないが、折々の当方の漢方薬の愛用者であったからこそ、かなり詳細な前後の病状を把握出来ていたからこそ、即座のご相談に応じることが出来たのである。
 もしもこれが初対面の新人さんであったら、前後の複雑な事情を把握するのに相当な時間を費やさざるを得なかったかもしれない。
 また、これが二十数年前の吉益東洞流の古方派時代であったなら、つまり日本漢方の考え方で、中医学方剤もほとんど輸入されていない時代であったら、大逆上気・咽喉不利の麦門冬湯(ばくもんどうとう)を呉投与していた可能性も大きいのである。
 麦門冬湯証にしても、銀翹散証が消退後に出現することも以前はよく見られたが、それも昨今、あまり見られなくなった。
 治りきる最後まで銀翹散製剤を主体にした方剤で済む場合がかなり多いような印象が強い昨今である。
posted by ヒゲジジイ at 17:04| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月22日

現代の風邪・インフルエンザの一般的傾向

傷寒論における太陽病の方剤、桂枝湯や葛根湯あるいは麻黄湯を「表熱証」と呼ぶ日本漢方は、明らかに論理的にひどい矛盾を犯している。

悪寒を主体とする太陽病に表熱なんてあるはずがない。

以前これらを「表仮寒証」と表現された高名な先生もおられたが・・・・・・

やはり、正確には風寒表証であり、上記の表現法に合わせれば「表寒証」でなければならない。
そうでなければ中医学的のみならず漢方医学的にも論理の整合性に欠けるのである。


と、今回は、このような日本漢方の明らかな間違いを指摘するための投稿ではない。

現代の風邪やインフルエンザの傾向として、あくまで多くの場合という意味では、多かれ少なかれ咽喉の違和感からひどい疼痛まで、なんらかの咽喉の異常を伴う風邪やインフルエンザが多く、また、多くの人に潜在する慢性副鼻腔炎の急性化を誘発しやすいことも配慮する必要がある。

まずは、風邪あるいはインフルエンザの引き始めであるが、多くは悪寒、つまり「さむけ」、ぞくぞくする寒気からはじまるので、首の真裏が凝れば「葛根湯」、関節フシブシの疼痛を伴えば「麻黄湯」とするのが一般的な日本漢方で、さらにバリエーションとして「桂枝麻黄各半湯」や、寒気が強烈で頭が寒い「麻黄細辛附子」などが考えられるのが日本漢方の特徴である。(決して特長とは言えない!

ところが、小生の薬局ではこれまで十数年以上、次のように考えて、多くは主方剤を銀翹散製剤を用いることで、殆どの場合にスムーズに治癒している。

強い悪寒も早晩、おのずと取れて、熱感に微悪寒を伴う状態に移行するのは目に見えているので、風邪やウイルスに感染した理由は、一時的な「虚に乗じて邪(ウイルス)に侵入された」のだから、初期の悪寒症状と一時的な虚証に対して「参蘇飲」、これに「銀翹散製剤」の併用という方法で、過去、多くの人に喜ばれてきた。
すなわちよく治った。
但し、悪寒が8割がた取れた時点で、必ず「参蘇飲」だけは中止する約束だった。

ところが、もともと虚証傾向のある人や、いわゆる胃弱傾向の人は、悪寒が取れても「参蘇飲」を中止するのは不都合であるという方も何人かおられた。

また、最初に悪寒が強かろうが、「参蘇飲」を完全に省略して「銀翹散製剤」主体でスムーズに治ってしまう方も続出した。

最初の傷寒・太陽病の葛根湯や麻黄湯は「表熱証」か「表寒証」かという次元の問題など埒外の配合となっていることに注目して欲しい。

つまり、傷寒論医学の「六経弁証」だけが急性疾患の分析方法および治療方法ではないということである。

葉天士の創立した「衛気営血弁証」のみならず、これを発展させて書かれた呉鞠通の『温病条弁』

温病は口鼻より入る。鼻気は肺に通じ、口気は胃に通ず・・・・・」の「三焦弁証」など、清代に入って急速に発達した豊富な温病学説が存在するのである。

これらの理論を無視し続ける現代の日本漢方のあり方には大いに疑問を呈さざるを得ないところである。

ところで、そうは言っても昨年末、急性耳下腺炎に罹った30代の女性には、項背部の凝りとともに悪寒が強烈だったので、銀翹散製剤とともに1日だけ葛根湯を併用しもらったが、明くる日には潜在していた副鼻腔炎が、強い熱感と黄汁を伴って出現してきたので、葛根湯は直ぐに中止するように注意を与え、引き続き銀翹散を主方に、辛夷清肺湯の併用に切り替えてスムーズに治癒している。

とは言え、多くの場合、傷寒と誰でもが判断しそうな風邪・インフルエンザであっても、特別な体質でもない限りは、多くは早晩、悪寒が8割去って熱感を伴うようになるのが通常であるから、初期に敢えて葛根湯や麻黄湯を使用する必要がないことも断然多いということである。

むしろ、熱感や咽喉腫痛を伴う症候こそが主証であるから、風熱の表証、つまり「表熱証」に適応する温病系の銀翹散製剤でスムーズに治癒しているのが現実である、ということなのである。
posted by ヒゲジジイ at 14:53| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月21日

女性薬剤師の風邪は最高37度止まりでおわったもののまだ軽度の咳と鼻の症状が僅かに残っている!

今月の9日にインフルエンザや風邪の病み上がりの外交さんなどの出入りもあって、その日に咽喉がおかしくなり、かなり危ないと思った女性薬剤師は銀翹散製剤と板藍根エキスで翌10日の金曜日には基本的にほぼ治まっていたと言う。

11日の土曜日は薬局が半ドンを良いことに車で買い物に外出し、12日の日曜日は寒さも厭わず裏の薬草畑の整備に余念が無かった。

ところが案の定、夕方の帰宅後には咽喉腫痛がひどくなり37度の微熱!

鼻づまりと黄汁、咳嗽に胸部の違和感をともなうので、銀翹散製剤に辛夷清肺湯・結胸散(小陥胸湯加味方製剤)に板藍根エキスに白花蛇舌草エキスの併用として継続することで明くる日13日の月曜日には平熱となるも、副鼻腔炎症状が続く。
元気で仕事をこなすも、しゃべりすぎると咳嗽を発することがある。

インフルエンザに罹っている可能性大であるが、病院で検査するわけでもないので、自身薬剤師という立場の自己責任において、久しぶりのまともな風邪症状に対処している。

そのまま次第に軽快していくも、副鼻腔炎症状だけが僅かに残って21日現在、人には分らない程度にはなっているが、自分ではあと1割くらい残っているようだということである。

また、しゃべり過ぎると、時折咳き込むが、これは平常でもあることだから、やはり軽度の副鼻腔炎症状が僅かに残っているのみだということだ。

常連さんが、あまりにもうまく予防されてこの時期に風邪やインフルエンザに感染するような方が出現されないので、このブログも開店休業かと思っていたら、このように女性薬剤師がやってくれたので、こうしてブログをつなぐことが出来た。

また、予定していた?身内や身近な医師たちのインフルエンザ罹患時の実況報告も期待していたのであるが、銀翹散製剤等による予防効果もあって、誰も感染しないので、報告できない。

予防のコツを覚えると、なかなかインフルエンザにも罹らないものである。
posted by ヒゲジジイ at 13:27| 山口 🌁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月13日

早速影響が出かけた一昨日のNHK教育チャンネルの葛根湯報道

一昨日のNHK教育チャンネルの葛根湯がマウスのインフルエンザに有効だったという放送番組の影響が早速出ている。

たまたま当方の常連さんの家族がその番組を見ていて、いつも銀翹散製剤の恩恵を蒙っているのに、

「インフルエンザには葛根湯のほうが良いんだってよ!」

と60代の母がそう言うのですよ!

と報告に見えた四十代のお嬢さん。

「とんでもない、いつもの天津感冒片や涼解楽(いずれも銀翹散製剤)でないとダメなのよ、とたしなめておきましたけどね、葛根湯では普通の風邪ですらあまり効かないのに、変ですね〜〜」

とあきれ顔である。

当方の風邪やインフルエンザ関連の漢方薬を常備されるご家族の場合は、一般の風邪ですらいかに葛根湯が非力であるかをご存知だから良かったものの、一般世間の方々は、あの番組を見ていたら、どうしてもインフルエンザの漢方薬は葛根湯であると、トンデモナイ誤解をされることだろう。

これこそ一般常識と思われることにも、大いなる非常識が含まれていることもある典型例である。

誤解を生じかねない報道をする公共放送も問題だが、それを嬉々として報告する研究機関も問題なしとしないはずである。

何度も繰り返し書くように、マウスでの実験段階で強い抗癌作用を発揮するキノコ類や生薬類が五万とあるのと異なるところが無いのである。

ところが、いざ実際に人間様に使用してみたところが、それほど大した効果が発揮できないことばかり、というのと同類なのではないでしょうかね。
posted by ヒゲジジイ at 17:00| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

本日午後7時、NHK教育チャンネルの「サイエンスZERO」で放映された漢方薬のお話!

前回の投稿で記したように本日放映された漢方薬のお話、しっかり見ましたよ!

葛根湯によってマウスのインフルエンザに効果があり、ウイルスに対する免疫を増強するIL12(インターロイキン12)が葛根湯によって増え、発熱を促進するIL1(インターロイキン1)が減少することで、能率よくマウスのインフルエンザが治癒に向かったという、驚くべき?発見というもの。

(その他の放送内容はすべて省略して、本ブログのテーマ、インフルエンザ関連の内容だけをホンの少々、感想を述べて、本日のブログを終えることにする。)

でもね〜〜〜、マウスでそれが証明されたところで、現実に人間様のインフルエンザにはほとんど効果がないのですよ、葛根湯では・・・・・exclamation

現実というのは冷厳なものです。

実際にその番組を見てから大いにコメントしたいものだが、マウスで証明されたところで、そのレベルの証明であれば、多くの生薬やキノコ類などで、マウスの段階では抗癌作用が証明された、というのと同レベルの話ではないだろうか?

と、この番組を拝見する前に書いたことは、やっぱり拝見後も、想像通りのことで、マウスなどを使って各種のキノコ類が、癌の阻止率が100パーセント近いだの、癌の縮小率がどうのというのとまったく同類じゃないのですか?

という感想を持っただけですよ。

続いて放映されたように、どんなに麻黄が試験管的にウイルスの増殖阻止に役立とうとも、現実の人間様のインフルエンザに効果が乏しいのだから、東洋医学の大原則である「弁証論治」の基本に戻る必要があるんぢゃ〜〜ないでしょうかexclamation&question

科学的検証も、もちろん決して無意味とは言いませんが、東洋医学、中医学の大原則、弁証論治なくして、どんな科学的な研究を行っても、砂上の楼閣ではないでしょうかね〜〜〜。

漢方薬には漢方薬の流儀というものがあるんじゃ〜〜ありませんかexclamation&question

本場の中国国内でさえ、中西医結合はどうもうまくいっていないらしい。

老中医のおこなう中国伝統医学、つまり純粋な中医学による弁証論治にもとづく治療方法が、やっぱり優れているという結論が出ているようですからね。


ともあれ、何だかとても淋しい番組でした。

弁証論治はおろか、随証治療さえほとんど、どこかえ吹っ飛んでいるような番組なんですからね。
posted by ヒゲジジイ at 22:33| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月08日

マウスによる実験で葛根湯がインフルエンザウイルスを減少させることが証明されたというような内容の番組が11日のNHKの教育チャンネルで放送されるとか?!

先ほど、長距離電話で漢方関係企業のある情報通からのご連絡で、タイトルのようにT先生が中心になって、葛根湯によるインフルエンザウイルスを減少させる効果がマウスによって証明されたとのテレビ番組が11日(土曜日)の午後7時、NHK教育チャンネルで放送されるとのことだ!

小生の日頃からの持論に対抗するかのような番組なので、その情報通の方は、逸早く耳に入れておかなければと、遠方にもかかわらず仕事中にお電話を入れてくれたもの。

実際にその番組を見てから大いにコメントしたいものだが、マウスで証明されたところで、そのレベルの証明であれば、多くの生薬やキノコ類などで、マウスの段階では抗癌作用が証明された、というのと同レベルの話ではないだろうか?

現実的に、インフルエンザが葛根湯ではほとんど無力であるのに、マウスでどういう結果が出ようが、人間様にとって大して役に立たないのであるから、まことに現実というものは冷厳なものであるはずだ。

言葉が過ぎるかもしれないが、敢えて本音を言わせて貰えば、日本の漢方の研究者が、まだこの程度の研究しか行えないのかと思うと、「文武両道・失われた日本の心」のブログをもつ身としては、同じ日本人として本当に悲しくなるばかりである。

また、先ほど配達された読売新聞の夕刊には、「インフルエンザが猛威」という見出しで、福岡県の患者数前年同月比で13倍、大分・山口でも増加という三面記事が掲載されている。

当方では、合成医薬品を滅多なことでは使用できない過敏性の高齢者を常連さんとして抱えているが、皆さんここ十年あるいは二十年間以上、高熱を発することもなく、引いても軽症レベルで例年過ごせるのも、断じて葛根湯などの傷寒論医学によって防御できているのではない。

常に主役は銀翹散製剤であり、プラス参蘇飲や地竜製剤、あるいは小陥胸湯加味方や辛夷清肺湯、あるいはカッコウショウキサンなどで、急性疾患に傷寒論医学が活躍する場は僅少なのが現実である。

これ等のお陰で、現実には合成医薬品を用いることが出来ない患者さん達が、どれほど救われていることか!

風邪やインフルエンザの治療にいつまでも傷寒論医学に拘るのは、時代錯誤に思われて仕方が無いのである。
posted by ヒゲジジイ at 16:25| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

1月21日の「咽喉に違和感を感じ水瀉性の下痢の60代の女性の漢方薬」の続報⇒また風邪気味となり銀翹散製剤を連用していたら胃痛が発生!

1月21日に報告した

咽喉に違和感を感じ水瀉性の下痢の60代の女性の漢方薬

前回の水様性下痢の方のご報告、および一家3名のインフルエンザ感染の治療報告

この方の続報である。

昨日7日の夕方のお電話で、

あの時は明くる日に下痢も風邪も一旦治まっていたが、今月になって今度は咽喉の違和感と寒気が続くので、銀翹散製剤を加減しながら柴胡桂枝湯に板藍根エキス・白花蛇舌草エキスなどを連用していたところ、風邪気味はようやく抜けたが胃が痛くなってしまったというお電話である。

かなりな漢方薬の使い手さんであるから、柴胡桂枝湯をしっかり服用してみたがどうも効かない。寒いから背中にカイロも当てていて、どうもそれを外すと、却って痛みが楽になるので、結胸散(小陥胸湯加味方)はどうだろうか?という質問である。

それで大正解でしょうというお電話で終わったが、もともと彼女は胃弱であり、年来の虚弱性ゆえか、風邪をよく引くので漢方薬の風邪薬が手放せない。

かといって西洋医学治療は、以前、風邪をこじらせて肺炎を起こして入院した時、合成医薬品類の副作用に難儀し、途中から当方の漢方薬を使用して肺炎の最後の仕上げを行ってからは、もっぱら漢方薬に頼るようになった。

それ以後は10年以上、発熱をしたこともない。

けれども、しばしば咽喉をやられて体調を崩す。

非常に寒がりだが、咽喉をやられると銀翹散類が必要になる。

過去、葛根湯や麦門冬湯なども試したが、銀翹散製剤などの中医学系の方剤や薬味類とともに、柴胡桂枝湯や参蘇飲を併用するのが一番効果的であった。

但し、連用すると食欲が落ちたり、今回のように胃痛が生じる場合もある。

胃痛の場合、柴胡桂枝湯で簡単治まる時もあれば、小陥胸湯加味方でないととまらない時もある。

今回も咽喉をやられたが、発熱することなくほぼ治まっている。

前のように下痢にはならなかった。

虚弱な人は冬が要注意であるが、たまに銀翹散製剤を連用すると胃にこたえる方があるので、注意が必要だ。
posted by ヒゲジジイ at 11:19| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月06日

午後に咽喉全体がヒリヒリして身体が冷え込むも、銀翹散製剤等を服用して短時間に治癒

風邪とインフルエンザ専門のブログをはじめたお陰で、自分自身がどのくらいのペースで風邪を引きかけては治っているかが良く分かる。

ここ十数年間で、発熱したことがあるのは風邪ではなく、チヌ釣りを連日やり過ぎて尿路結石を生じて腎盂腎炎を合併した時に一日発熱したことがあるだけである。
(診断は愚娘の先輩の消化器内科医に診断してもらったが、治療は自前の漢方薬で2〜3mmの石を排出。)

つまり、このブログで何度も報告しているように、風邪を引きかけては適切な漢方薬の服用によって即治させているので、ここ十数年は風邪やインフルエンザによる発熱は皆無ということだ。

日頃は高貴薬好みの小生は、牛黄製剤ばかりを常用して、一般の漢方薬方剤はあまり用いない。

正直言って、自分自身の身体には体質改善よりも、折々に訪れる発作的な急激な疲労感、気がついたら突拍子も無いような切迫感を救うには牛黄や麝香の即効性が必要だからである。

何事も夢中になると自分の身体の限界に達するまでやってしまうので、気がついた時には牛黄や麝香でなければ間に合わない。

つまり、大の不養生家なのである。

前置きが長くなりすぎたが、どうも風邪の引きかけの時だけは、すかさず本日のように適切な漢方薬方剤で対処しているから即効を得て、大概は短期間で治癒している。

月曜日だから、朝から千客万来、本日も新患もおられたので、どなたかがウイルスを運んでこられたのだろう。
午後から猛烈に咽喉全体のヒリヒリ感と身体の寒気というよりも冷感であったが、すかさず銀翹散製剤(イスクラ製薬の涼解楽)に板藍茶を併用した。

幸いにも、数時間もしないうちにほとんど無症状となっている。

このように対処が早いから、当方の常連さんや愚妻のように、微量を常用せずとも、即治させることが出来るから、十数年間も風邪やインフルエンザで発熱することが皆無なのだろう。

常連さんや愚妻にしても、日頃は微量での予防であっても、チョットおかしいとでもなれば、すかさず十分な量の服用に切り替えるから、多くは大事に至らないのである。

だから、本日も風邪やインフルエンザの常備薬万端を備えている常連さんたちの風邪引きの報告はないのであった。

せっかくこのブログがあるのだから、どなたかあやしいケースがあれば報告出来るのにと期待してもいけないが、皆さんかなり風邪に対処する方法に習熟されている方ばかりだから、今のところ無難に予防出来ているようである。

繰り返しになるが、やはり予防とともに、引きかけたら素早い適切な漢方薬ということになろうが、安易に葛根湯や麻黄湯だけに頼ることなかれ!

全員とは言わないが、多くは銀翹散製剤が主方となるものだが、素人療法は禁物で、必ず中医学に詳しい専門家と相談して用いるべきである。

追記: これを書いている最中に、ほとんど消失していた咽喉のヒリヒリ感が急激に復活しそうな気配を感じて来た!
考えて見たら、服用後既に6時間近く経過していた。
どうやら一回の服用だけでは弱いようだから、これを打ち込み終えたら直ぐに二度目の服用をする必要がある。
これで発熱でもしたら、大恥ですからねパンチ
posted by ヒゲジジイ at 20:06| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月03日

常連さんで判明してきたインフルエンザ罹患率の相違

三十数年間の漢方専門薬局経営だから、とうぜん多くの常連さんがいるのだが、風邪やインフルエンザの漢方薬を常備している常連さんと、目的の慢性疾患用の漢方薬だけの常連さんと二手に分けることが出来る。

本ブログのタイトルに相応しい分類方法を取れば、

(1)合成医薬品に弱く、このために風邪やインフルエンザの漢方薬をほぼ完璧に常備されておられる常連さん。

(2)風邪薬の漢方薬として、銀翹散製剤だけを少量常備されている常連さん。

(3)慢性疾患の漢方薬だけの常連さんで、風邪やインフルエンザ関連の漢方薬を一切常備されていない常連さん。

ここ数日の間に(3)の慢性疾患だけの常連さんは、風邪や流感はすべて病院治療となっているが、この(3)の分類に該当する常連さんたちのインフルエンザに感染した報告がひっきりなしに入ってくる。
治った後の報告となっており、いずれもタミフルや解熱剤等の病院治療によっている。
当方で常用されている漢方薬を求めてやって来られた時点でも、まだインフルエンザの後遺症が残っている人も多い。

(2)の方も一部報告が入ったが、血液関係の問題もあるので風邪を引いたら銀翹散製剤を服用しつつも、即刻、病院に行き厳重な管理をしてもらうべき方たちで、インフルエンザに感染後にタミフル等の併用で、短期間に治っていた。

そして大変喜ばしいことに、(1)の風邪・インフルエンザ関連の漢方薬を多種類常備されているベテランの80代のご婦人方も含めて、微量の銀翹散製剤等を予防的に服用することで、いまのところ全員、インフルエンザに感染していないか、感染したかに見えても発熱も無く下痢症状だけで治癒している人も、少し前に本ブログで報告した通りである。

この(1)の分類の方達こそ、多くは病院のお薬に弱くて全く服用出来ない方、および風邪やインフルエンザにもともと罹りやすい体質で、西洋医学治療ではスッキリ治ったタメシがないので、漢方療法に専念されて来られた人などが含まれる。
それだけに、(3)の方達とは歴然とした違いが現れている現状である。


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2006年02月02日

合成医薬品に弱い常連さんばかりだから予防がいいのかインフルエンザに罹った人は出てこないのでこのブログが開店休業状態だ!

中医学的な風邪・インフルエンザに対処できる常備薬を備えている常連さんたちは、漢方薬の補充をされるばかりで、今のところ誰も本格的なインフルエンザに罹らない。

常連さんになるにはやはり理由があって、合成医薬品に弱い方達ばかりだ。

一切服用出来ない、という方も多い。

それだけに皆さん真剣だから、インフルエンザの季節になると常備薬をしっかり保存しているだけではなかったのだった。

風邪・インフルエンザの常備薬の補充が極端に目立ったのは昨年暮れまでだったが、昨今も常時誰かが補充に見えられる。

その割には誰も本物に罹らないのは、銀翹散製剤などを微量ながら、常用しているからだった。

だから補充に余念がない。

引いたかい?とお聞きしても、インニャ〜〜るんるんと来る。

皆さん虚弱性においては人後に落ちないだけに、長年かかって小生と女性薬剤師による特訓により、多くをマスターしておられるとは言え、困った時には即電話、となるのだが、今年は不思議とその数がめっきり少ない。

その割には常備薬をよく買っていかれる。

アドバイスが徹底して来た証拠で、重症の時は病院に行ってタミフルもらえばイイかもよ、なんて冗談にでも言うと、逆に「トンンデモナイパンチ」と、こちらのほうが叱られるのであった。
posted by ヒゲジジイ at 02:04| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月30日

2006年01月24日の「老人介護で入浴の手伝い後の寒さに軽度の風邪が継続している中年男性の漢方常備薬」の続報

2006年01月24日老人介護で入浴の手伝い後の寒さに軽度の風邪が継続している中年男性の漢方常備薬

この方の続報である。

銀翹散製剤・参蘇飲製剤・板藍根エキスを併用・継続中であるが、風邪気味が完治しない。

この方のいつものパターンで、自転車をこいで職場に着く頃にはひどい発汗があって暑いが直ぐに寒くなるという一見「往来寒熱」の症状を呈しているが、僅かな咽喉の違和感が継続しているので、銀翹散製剤は中止すべきではない。

また、柴胡剤の適応と紛らわしいが、食欲もあり元気もあり、舌苔に異常もないので柴胡剤ではない。

かといって、この男性の自汗傾向に玉屏風散製剤を併用して有効だったためしはない。

高熱を発するインフルエンザが流行っている時期に、発熱もせずに元気で働けているのだから、変方せずにこのまま継続。

ただご本人の実感として悪化する傾向もないので、一時中止していたもともとの持病に対する方剤「疏経活血湯製剤と海馬補腎丸(1回に2丸)」を復活して良いだろうか?との質問に対し、中止しているのが不安なら、しかも風邪もこれ以上悪化傾向もなく、咽喉もホンの違和感程度であるなら、銀翹散製剤も半分に減量して、疏経活血湯製剤と海馬補腎丸も復活してみてもよい。

但し、万が一、風邪の様子が少しでも怪しいと感じたら、直ぐに銀翹散製剤を増量するとともに、持病に対する2方剤は即刻中止するように、何度も注意を与える。
posted by ヒゲジジイ at 22:11| 山口 🌁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月27日

本日送られてきた東亜医学協会『漢方の臨床』誌・平成18年・新年のことば

 本日送られてきた『漢方の臨床』誌の新年号、小生の「新年のことば」を下記に転載exclamation
 年明けそうそうから一薬局でのややイヤミな統計を提出して申し訳ないが、医療用漢方でしばしば風邪やインフルエンザで受診した折に処方される葛根湯の効果についての長期の統計から、ほとんど無効であったとの結論が出ている。
 結論から先に言えば、ぞくぞくと寒気がして風邪かなと思って直ぐに受診する患者さんは少なく、市販の風邪薬などで自己治療を行うか、大したことはないだろうと放置して、気がつくと本格的に引き込んでしまっている。
 そうなって初めて病院で受診するというケースが大半であるから、初期の悪寒がする時期の終わりかけが、次の段階に移行している状況のために、既に葛根湯証が過ぎている。つまり、葛根湯が一番有効な時期を逃しているということであろう。
 葛根湯が適応するのは、風邪の引きはじめに寒気がして首の真裏の項背部分が凝っている状況である。
 この「風邪の引き始め」で「寒気がする」「項背部をもむと気持ちいい」「無汗」という条件が揃っていなければ、風邪に対してはほとんど無効である。
 だから、病院でもらった葛根湯は無効のまま、次に風邪引きの初期に前回効かなかった葛根湯を取り出して服用してみたら今度は意外に効きました、ということも結構多いようである。
 結論として、病院で受診する頃の風邪は、すでに葛根湯の適応を過ぎており、その段階で使用してもほとんど無効ばかりか、ときによってはやたらに温めて発汗作用ばかりを発揮して、発汗過多による体力消耗を来たす場合すらあり得る。
 その次が大変重要で、病院を受診する頃には、多くは温病に移行している段階か、あるいは過渡期であったりするから、銀翹散系列の方剤が適応することが多いと思われる。
 ところが、中医学ではもっぱら常識的なこの銀翹散製剤は、日本の医療用には無い方剤である。
 多くの漢方専門薬局で売られている銀翹散製剤は、風邪・インフルエンザの流行する冬季を迎えて大活躍することになる。
 漢方において、臨床の現実に即して考えた場合、杓子定規に「傷寒」だの「温病」だのと歴然と区別すること自体に疑問を呈してもよいかもしれない。
 上海科学技術出版社から万友生著「寒温統一論」(1988年発行)という書籍もあるくらいである。
 このような内容のブログを「漢方と漢方薬は風邪・流感に本当に有効か?」などというタイトルで連載中ですが、その他にも多数のブログ類で老後の道楽としている昨今です。
 本年もどうぞ、宜しくお願い申し上げます。

 本ブログで常々述べてきたことの一部を要約した内容となっている。
posted by ヒゲジジイ at 23:58| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月24日

老人介護で入浴の手伝い後の寒さに軽度の風邪が継続している中年男性の漢方常備薬

20日の金曜日頃から鼻水と寒気、咽喉の違和感が続いている男性。

自転車をこいで汗をかきながら職場へ。

入浴を手伝って裸に近いかっこうのままでいる時間が多いため、その時に毎日、寒気と鼻水の繰り返しで咽喉に違和感。

常備薬の銀翹散製剤(天津感冒片)と参蘇飲エキス錠に板●根エキスを金曜日から服用したが、土曜日の途中から参蘇飲だけが切れていたので、どうもすっきり治らないと23日(月曜日)に上記三点をすべて購入。

発熱もせずに済んでいるのは、漢方薬のお陰だからと言われているが、この方の常備薬は決まったパターンで大事に至ることがない。

でも一度これら常備薬が切れた折、一昨年だったか39度の高熱を発し、当方も土曜日で半ドンで休みだったために当番医にかかって点滴や座薬等で治してもらった事があったな〜〜と、過去の体験を語っていた。

風邪やインフルエンザも、先手必勝でしょう。



なお、先日の遠方の女性のインフルエンザ

http://ryukan.seesaa.net/article/11738849.html

タミフルなどであっさり平熱に戻ったものの、そのときには伝える気にならなかったが、数回の嘔吐があり、胃痛・食欲不振などで苦しんだのだったと、昨日23日、お電話での報告があった。

通りで今年は漢方薬で風邪やインフルエンザを治したいと言われていた意味が解せた。

(でも、タミフルは良く効くみたいじゃないの!?)
posted by ヒゲジジイ at 00:23| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月21日

咽喉に違和感を感じ水瀉性の下痢の60代の女性の漢方薬

昨日、常連さんの夕方の電話。

ここしばらく咽喉に違和感を感じていたが、夕方、水瀉性の下痢。

それゆえ、カッコウショウキサンに胃苓湯エキス錠、それに板●根エキス・白●蛇●草エキスなどを服用したが、これでよいだろうか、どうも風邪を引いて腸に来たみたいだと言われる。

この方のいつもの風邪のパターンで、よく腸がやられる。

これに銀翹散製剤を少量、トローチ的に追加使用することを奨める。

もともと咽喉に細菌が繁殖しやすい体質で、漢方薬を常用することで防御している方である。

ここ10年以上、風邪を引いても発熱することが殆どないのも漢方薬のお陰か、今回もまだ発熱はない。

かなり御自分の風邪など様々な症状に対応した配合に習熟された方で、タマに配合に迷うとお電話がある。

いつもイイ線の配合をされるので、小生が考え込む時は、よく御自分の意見も言われて、それが正解の時も多いベテランである。

その後の経過は、今後、きっとこのブログで報告できるだろう。
posted by ヒゲジジイ at 01:28| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月17日

ここ十年くらい咳ぜんそく(咳喘息)というのが流行っているらしい

先ほど、珍しくまともに昼の12時半に昼食がとれたのでテレビをつけていると、「咳ぜんそく」なるものが流行っていることを報道していた。

風邪が治ったあとなどに多く、一般の風邪薬や咳止めが効かない。

夜間にひどくなりやすく乾燥咳であること。時には胸痛や嘔吐などを併発する。

有効な治療法は吸入ステロイドで、約一ヶ月で根治するということである。

治療しないで放置すると3割の人が本物の喘息に移行する。


報道の要約はこの青色の通りである。

これを漢方薬で対処する場合に考えられる方剤は、

麦門冬湯・養陰清肺湯・滋陰降下湯・小陥胸湯・辛夷清肺湯などである。

こんな場合に「小青竜湯」を使用すると大変である!

乾燥性の強い小青竜湯では、乾燥咳が逆に悪化することは必定である。

報道の通りの症状であれば小青竜湯は禁忌である、ということになる。

ところで、当方の薬局ではあまり見ない症状である。

多分その兆しが見えた人には逸早く、上記の方剤のいずれかを使用してもらって、風邪治療の一環として同時に必要な方剤を併用しているからであろう。

ところが、西洋医学においては、この「咳喘息」なるものには、西洋医学における風邪薬や鎮咳薬は無効であるといわれる。

この辺が、西洋医学と中医学や漢方医学と異なるところであろう。

つまり、中医学や漢方医学においては、某方剤は弁証論治の原則にもとづいて使用する限りは、風邪治療に適応する場合もあれば、咳ぜんそくや喘息にも適応する場合もあるということである。

あくまで、弁証論治の原則にもとづいて使用されなければならないのが、漢方薬の特徴である。
漢方薬を用いる場合でも病名を参考にすることは必要であるが、病名だけを頼りに方剤を選定することは邪道であり間違いである。
posted by ヒゲジジイ at 14:13| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

遠方の患者さんのインフルエンザがメールから感染したのか、就寝前に寒気と咽喉の違和感!

昨日は就寝前に、寒気がして咽喉もやられ、本格的なインフルエンザに感染したかな?と不安になる急性症状に、さては遠方の患者さんの例のインフルエンザがメールを通じて感染したかなと思われる(そんなバカな〜〜)

先日の風邪の引きかけてとは状態が明らかに異なって、やや重病感がある。

それにしても遠方の彼女のインフルエンザには、タミフルがよく奏功したものだ、そういえば、数年前に吸入薬のリレンザを使用して一気に解熱したと言われていた九州の男性もおられた。

まいったな〜〜、抗インフルエンザウイルス剤の威力は、タイミングが良いと漢方薬の効き目を上回るのかな〜〜〜?、悔しいな〜〜〜と思いながら、

涼解楽(銀翹散製剤のイスクラから発売されている顆粒剤)とプラスアルファーで板●根のエキス散にしたものを併用して寝る。

幸いにも起床時には食欲不振を感じただけで、完璧に治っていてホットした。

どうも昨今、睡眠不足が続いているので、免疫力低下に乗じて感染症にかかりやすくなっているようだ。

歯痛に続き、先日の風邪の引きかけ、それに今回のメールを通じて感染しかけたインフルエンザ?といい、夜更かしは禁物である。
posted by ヒゲジジイ at 01:25| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月14日

風邪はあのまま完全に治り、念のための服用も不要だからあの1回だけの服用で十分だった!

小生の風邪は、あのまま完全に治っている。

すべて、あらゆる風邪症状が完璧に消失しております。

先手を打てば、このように数時間もしないうちに根治するわけですよひらめき

早めに先手を打てば、ですよパンチ

先手必勝ダッシュ(走り出すさま)
posted by ヒゲジジイ at 00:58| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月13日

寒気がして咽喉が少しムズムズするので・・・これは現在の小生の風邪を引きかけの症状だが

夕方、久しぶりに暇になったので気が緩んだのか、転寝してしまった時に風邪を引きかけたようで、寒気がして咽喉がムズムズこそばゆく、頭が重く、首が凝る。

さっそく、葛根湯とともに銀翹散製剤の「涼解楽」と板●根のエキスを一緒に服用。

傷寒論も温病論もあったもんじゃない。

実際の風邪には、このような臨機応変の処置が必要であるが、この配合は重度の高血圧症の人には注意が要る。(甘草の分量が異常に多くなるからである。)
だから、素人療法は禁物である。

もうすでに、これを書いている最中に身体が少し温まって、同時に咽喉のムズムズ感も半減した。
先ほどまで出ていた軽い咳も出なくなった。

この初発の寒気がする時期には、項背部のコリがない場合には「参蘇飲」でよい場合が多い。

胃弱の人には特に参蘇飲が良い。

虚に乗じて邪が侵入するという考えを重視すれば、風邪引きの誘引は、一時的な虚の状態に陥ったせいだから、寒気が取れるまでは「気虚の感冒」に適した参蘇飲を銀翹散製剤と併用するという考えは、かなり理に叶っているはずである。

実際に、この方法を墨守される常連さんが沢山おられるが、無難な経過を辿って毎回順調に治っている。

ここまで書いて、小生の風邪の引きかけの諸症状は、ほぼ8割以上、消退した。

もしも悪寒が取れたのに、咽喉が引き続き違和感が残り、副鼻腔炎症状などを併発するようであれば、葛根湯や参蘇飲は早めに中止して、銀翹散製剤を中心に弁証論治にもとづいて漢方薬の配合、組み合わせを決めなければならないが、小生の風邪は、どうやら上記の配合で、ほぼおさまったようである。

様子次第では、就寝前に葛根湯以外の銀翹散製剤などを服用するかもしれないが、症状を忘れているようだったら、服用することを完全に忘れてしまっているかもしれない。

以上、小生の風邪の初期症状のご報告でしたひらめき
posted by ヒゲジジイ at 20:52| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月09日

もしも将来、銀翹散製剤を保険に採用する事態が生じたら、中医学理論の軍門に降ったということ

今日はとても意味深長なタイトルのはずである。

「軍門に降る」などと些か乱暴に聞こえるかもしれないが、事実は事実、銀翹散製剤を保険適用にするような事態が生じれば、速やかに中医基礎理論を取り入れ、あらゆる専門用語を改変することである。

たとえば、一つだけあげれば、虚実中間証などというあやふや、かつ意味不明な用語を廃止すべきである。
 などなどなどダッシュ(走り出すさま)
posted by ヒゲジジイ at 20:10| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月07日

漢方医学の聖典『傷寒論』ばかりに頼っていては、風邪やインフルエンザは治せない

本日のタイトルは、中医学派にとっては当然であり、ほとんど誰も否定される先生はおられないはずである。

日本の漢方医学派というか、傷寒論医学を金科玉条とし、とりわけ急性疾患となればすべてを『傷寒論』に頼ろうとすることには、甚だ無理があり過ぎるということである。

傷寒論医学の六経弁証だけでは急性疾患を分析し、治療は出来ないということである。

「衛気営血弁証」などの温病学説にもとづく分析なくして、風邪やインフルエンザに限らず、多くの急性疾患を分析治療できるわけがない。

このような中医学では基本中の基本、基礎のまた基礎である概念を取り入れようとしない、つまり世界標準である中医学理論を取り入れることが出来ないのは、怠慢としかいいようがないかもしれない。

中医学理論を取り入れる困難の代替としての、エビデンス化という西洋医学の軍門に下ろうとする日本漢方のあり方は、真の意味の「伝統医学」の放棄に等しい問題であると、何十年も前から専門家の間では噂が絶えないのであるが、日本の漢方はどこへ行くことやら心配でならない。

と、これらの愚痴は本来

  漢方と漢方薬の真実サイト

で嘆くべきであった・・・バッド(下向き矢印)ダッシュ(走り出すさま)
posted by ヒゲジジイ at 19:10| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月06日

銀翹散製剤使用上の注意

現代日本における風邪やインフルエンザ治療の主流となるべき基本方剤は、葛根湯や麻黄湯などの古い時代の傷寒論医学では間に合わないこと。

温病学の代表的方剤、銀翹散系列の方剤が主方となるべきケースが大変多いこと。

これが、これまで本ブログで縷々述べたことの要約である。

もちろん、個人個人の体質や感染したウイルスあるいは細菌の性質など、様々な要因によって、適切な方剤は千変万化となり得るのであるが、あくまで現代日本社会の傾向として、最大公約数的には、銀翹散製剤が主流となることが大変多いのではないか、ということである。

すべては「弁証論治」という大原則に基づいて使用されるべきことは言うまでもない。

ところで、今回はこの銀翹散製剤の使用上の注意を述べておきたい。

正式な医薬品として認可されている漢方薬方剤であるから様々な使用上の注意が書かれた添付文書があり、このすべてをここで記載するのは煩雑に過ぎるので、主なものだけをピックアップして、注意を喚起しておきたい。

あり得る副作用として、

皮膚症状:発疹・発赤、かゆみ
消化器:悪心、食欲不振、胃部不快感
その他:ぜんそく


これらの症状が現れた場合は、服用を中止し、医師又は薬剤師に相談するように指示されている。

また、まれに下記の重篤な症状が起こることがあり、その場合は直ちに医師の診療を受けるようにと指示されている。

偽アルデステロン症:尿量が減少する、顔や手足がむくむ、まぶたが重くなる、手がこわばる、血圧が高くなる、頭痛等があらわれる


滅多にあることではないが、あり得る副作用として注意を喚起されている。
その中でも、まれにあるとされる「偽アルデステロン症」についても、もともと高血圧を持病として持つ人は、細心の注意をしておくに越したことはない。これは方剤中に「甘草(かんぞう)」が一日量中に1g以上配合されているためである。
だから、服用前に銀翹散製剤の服用を指導されたところで、よく確かめて服用すべきである。

決して安易な素人療法はしないことである。

本来、このブログの目的も、一般の患者さんたちの自己治療を奨めているつもりはまったくない。

必ず漢方と漢方薬の専門家によく相談して利用すべきことを説いているつもりであり、同時に専門家の人々に注意を喚起したいというのが、最大の目的でもある。
posted by ヒゲジジイ at 13:54| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月01日

エビデンス漢方の危険性

新年早々から、またもや漢方と漢方薬の風邪やインフルエンザにおける問題点の指摘である。

本日は、以前から漢方をエビデンス化しようとされる動向に対する警告である。

本ブログが風邪とインフルエンザ専門ブログであるから、当然指摘する内容はこれらに関連したエビデンス化に対する警告となる。

日本国内の動きでは、初期のインフルエンザに麻黄湯という考えが定着して、もしかするとエビデンス化の動きさえあるのではと危惧されるのである。

もしも仮に、初期のインフルエンザに麻黄湯ということがエビデンス化された場合にどんな問題が生じるかというのは、既に歴然としている。

これまでも葛根湯問題で何度も指摘したように、一般の風邪でさえ、病院で受診する頃には引き始めの段階を通り越して、「温病」に移行していることが多い。

すなわち、咽喉紅腫・発熱・微汗・咳嗽など銀翹散製剤が主方となるべき段階である。

典型的なインフルエンザの初期、強い悪寒に頭痛・筋肉や関節痛などからはじまって確かに麻黄湯証の典型を初期にあらわしても、重なるように咽喉紅腫(腫痛)を次第に併発しはじめており、直ぐ「温病」に移行することが極めて多い。

だから、受診する頃には、悪寒があっても節々が痛んで高熱を発してフーフー言う頃には、既に咽喉腫痛を伴っていて銀翹散製剤こそ適応する時期となっていることが甚だ多いということである。

この時期に麻黄湯を投与しても、典型的な「温病」の症候を増強するばかりで、既に麻黄湯を使用すべき時期が去っていることが大変多い。

葛根湯証の場合も同様であるexclamation

もしも受診する頃には微汗を伴うような体質の人に麻黄湯を誤投与すると大変である。
大発汗して、体力を消耗するばかりで治癒力をますます落とし、まれには脱汗状態となって危険である。

漢方をエビデンス化してはならない。

危険なのである。

西洋医学治療のようなエビデンスは、漢方には最も馴染まない考えである。

西洋医学治療でさえエビデンスに拘束されるために、相当なジレンマで悩まれる医師も多いと聞く。

西洋医学治療でさえそうであれば、なおさら漢方のエビデンス化は大問題である。
posted by ヒゲジジイ at 12:39| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月26日

一部の子供さんの風邪引きの原因は薄着教育にある

以前、親戚の小学校の校長先生が、はだし教育をしたいが、何か医学的根拠があったら教えて欲しいと依頼を受けたことがある。

小生は、

それはトンでもない事だexclamation雷雷雷雷雷

人間様を野獣に帰そうというのですかっexclamation&question雷雷雷雷雷

と、けんもほろろに反対したことがある。

それでなくとも、はだし教育や薄着教育にしても、一人ひとり、個人こじんの生まれ持った体質というものがある。

つまり、どうしても薄着教育には向かない子供達がいるものなのだむかっ(怒り)

人間様は、裸で生まれてくるのだから、神様が、衣服を着るべくその知恵を授けているはずである。
それをわざわざ、薄着教育やはだし教育を行って、人間以下の動物に堕落させることはないものだ。

だから、薄着教育の為に、常時風邪を引きっぱなしで、困り果てて当方のところへ相談に見える親御さんが以前は、とても多かった。

だから当方の薬局の薬剤師が、上述の理屈を言って、薄着教育が間違っていると言われたから、厚着させてくれるように小学校の先生に言うようにと助言したものである。

三十数年間の経験から、はっきり断言できるひらめき

薄着教育やはだし教育は、根本的に向かない一部の子供さんたちがいる、ということだ。

そのために、かえって風邪を引いてばかりいて、学校を休んでばかりいる子供さん達が、いかに多いことかexclamationexclamation×2exclamation×2exclamation×2exclamation×2exclamationパンチ
posted by ヒゲジジイ at 21:40| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月25日

慢性副鼻腔炎の根治が重要課題

前回の投稿の続きである。

さすがに朝ごはん抜きの空腹には耐えられなかったので、あのまま中断してそのまま夜になってしまった。

本州の西端では、風邪をよく引くタイプの典型が、慢性的に副鼻腔炎を持っている人が断然多いことを述べた。
しかも、彼や彼女たちは、日常ではそれほど蓄膿症状を感じないで過ごしている人もあり、風邪を引いた時のみ、俄然、急性副鼻腔炎の様相を呈するといった人も、比較的多い。

常日頃から、蓄膿症状を感じている人も、かなり多く、耳鼻咽喉科で手術を何度も繰り返した人も、これまで三十数年間には、多数の人に出会った。
最高7回の手術という人もあり、3回というのが最も多い。

しかしながら、手術歴もなく、いつも鼻炎症状を呈していて、風邪を引いた時には黄色い膿汁と咳嗽が合併する症状を呈する人も多数あり、それぞれに微妙な違いこそあれ、この方たちの、風邪引きやすさの根源は、結局は慢性副鼻腔炎なのではないか、と思われることが多いのである。

だから、これを根治させておけばよいのだろうが、上述のように、なかなか西洋医学治療、すなわち耳鼻咽喉科の長年の通院にもかかわらず、根治しないで持病となっている人がとても多いのが現実である。

それゆえ、漢方と漢方薬の出番だと言いたいのだが、やはり漢方薬といえども、短期間では根治させることは困難であり、服用によりかなり軽快しても、そうやすやすと根治できるものではないので、体質改善をかねて、比較的長期間の服用が必要となる場合が多い。

皆さんにその根気があるかどうかの問題で、もちろん根気よく何年がかりで連用された方たちは、根治に近い状態に持ち込めている。
が、どうしても命には直接的な影響が見えないせいか、多くは中途半端な服用に終わり、徹底的な継続が出来ないことが多いのも現実である。

まあ、8割治ったところで、サボりだすことが多いようだ。

だから、どうしても風邪を引いて病院治療でうまく行かなくなったかなりこじれた状態で、漢方薬を求めて来局することになるが、一週間くらいかかって軽快すると、それで安心して副鼻腔炎の根治療法を行おうとしない人が多いし、当方とて無理に続けよとは言う元気もない。

世の中にはもっともっと難病で本当に困って長期間あるいは一生、漢方薬を続けるつもりで来局されている人が多いのだから。

posted by ヒゲジジイ at 20:20| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

風邪を引きやすいタイプの原因で目立つのが慢性副鼻腔炎

風邪を引きやすいタイプの代表的な一つが、表衛不固(ひょうえふこ)によるもの、つまり気虚により衛陽が不足して固表できない、といってもこれは専門家でなければ意味不明であるから、もっと一般の人にもわかりやすく言えば、体力不足により汗腺の調節力がうまくいかずに、風邪を引きやすくなる状態であろうか?

中医学的には、このようなタイプが風邪をよく引くので、体質改善に玉屏風散(ぎょくへいふうさん)を主体に、六味丸などを併用して体質を強化すべきだ、ということである。
この玉屏風散は、イスクラから「衛益顆粒」として市販されている。

ところが、本州の西端の我が薬局近辺では、風邪を引きやすいタイプでこのような体質の方をほとんど見かけない。
あるとしたら一部の膠原病関連の疾患をお持ちの方で見られるくらいのものである。

最も目立つのが、何と言っても慢性副鼻腔炎を持っている人たちこそ、一年に何度も風邪を引いて、常に災いの種となっているのが、ウイルス以上に、常に副鼻腔に蓄えている膿汁の根源である細菌類である。

これまでにも、このブログで折々に書いてきたのだが、あらためてこのことを強調しておきたい。

もっと詳しく述べるつもりでいたが、朝食抜きで頑張っていたら、急に空腹を感じたのでこの辺にしておきたい。
空腹を我慢して頑張っていると、一時的な虚に乗じて邪が侵入しやすくなるので、栄養補給であるひらめき
posted by ヒゲジジイ at 11:53| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月23日

風邪を引くといつも急性副鼻腔炎と気管支炎を併発する内科医の証言

風邪を引くと決まって急性副鼻腔炎症状となり、鼻づまりと黄色の膿汁を伴い、その段階ではほとんどの抗生物質が効を奏さない。

細菌が粘膜に覆われて抗生物質が入り込めないからで、次の段階の気管支炎を併発しだすと、ようやく抗生物質が有効に働くようだ、との類推をされている。

上司の医師も同様の経過を辿り、転々と抗生物質を切り替えても、結局は部下と同様の経過を辿って、気管支炎まで行ってようやく治癒に向かうという経過だそうだ。

今回は、銀翹散製剤(涼解楽)と辛夷清肺湯に板●根のエキスを最初から併用したので、鼻づまりと黄色の膿汁は出るものの、咽喉腫痛も軽く、発熱もなく、気管支炎に移行せずに数日を経過して、次第に治癒に向かっているようだという証言である。

実際には中医学的には白●蛇●草なども加えるべきだが、手元にないと言われる。

でも、主方剤の銀翹散製剤と辛夷清肺湯があれば、何とかなると思うが、白●蛇●草がないのであれば、抗生物質を併用したらどうか、との当方からのアドバイスに対する答えが、最初に記した抗生物質の有効・無効論のお返事だったわけである。
posted by ヒゲジジイ at 10:47| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月21日

透明大量の鼻水から始まる風邪に小青竜湯でそのまま治る時と、鼻に熱感を帯びて咽喉腫痛を伴い、結局は病院に行って抗生物質をもらって治るという某漢方メーカーの社員さんの例

いつも水様の鼻水が大量に出ることから始まる風邪症状で、小青竜湯でそのまま治る時もあれば、一転今度は鼻に熱感を帯びて咽喉腫痛が生じるパターンになることもある。

このときには鼻には辛夷清肺湯を使用して楽にはなるが、咽喉腫痛には、甘草湯を使用したり、排膿散及湯を用いたりするが、結局はこの段階になると漢方薬ではお手上げになって、病院で抗生物質をもらって治るというパターンを繰り返している、といわれる。

日本漢方のやり方だけで対処するために、このような繰り返しになるのだから、今後は必ず銀翹散製剤を早めに使用するようにアドバイスする。

咽喉腫痛や鼻に熱感が生じ始める手前で、銀翹散製剤と辛夷清肺湯を併用すべきで、初期に使用する小青竜湯は明らかに有効であっても、半分くらい軽快したところで、次の段階の咽喉腫痛を警戒して連用すべきではないのに、そのまま続けてしまうから、鼻の熱感と咽喉腫痛という熱証を余計に生じるのである。

それでなくとも、傷寒ではじまったつもりが直ぐに温病に移行するケースはざらにみられる現象なのであるから、小青竜湯証にみえても、使用すべきではない可能性も高いのである。

小青竜湯の温燥の性質は強烈であるから、透明な鼻水が肺寒停飲以外の原因から生じている場合であっても、その大量の鼻水という現象にだけは強烈に効く場合がある。

だから小青竜湯証だと錯覚を起こしていることもあれば、やはりほんの一時的に小青竜湯証のこともある。

いずれにしても、これまで、類似したパターンを繰り返しているのだから、小青竜湯に頼るのはほどほどにすべきことをアドバイスしておいたわけである。

この方の場合の問題点を要約すれば、温燥の小青竜湯を続けたために鼻と咽喉を乾燥させすぎてしまい、副鼻腔炎を誘発して細菌を含んだ鼻の膿汁が咽喉部に落ちて付着して、ますます咽喉腫痛による炎症と発熱を生じるという悪循環を繰り返していることが考えられるのであった。

従来の日本流の漢方ばかりに頼っていると、漢方メーカーさんの社員ですら上記の悪循環を繰り返すのである。

他のメーカーさんの社員さんたちでも、自社でも銀翹散製剤を販売しているのに、どうしても古漢方派漢方にこだわるらしく、麻黄湯や葛根湯、桂枝麻黄各半湯などといった傷寒論医学の方剤ばかりを使用して、なかなか治らずに病院のお世話になることも多い現実には、ちょっと呆れるほどである。

小生が、そのことを指摘して強く言うものだから、よけいに彼らは意地になって古方派漢方にこだわるのか?

強く言えば言うほど銀翹散製剤を使いたくなくなるのだろうねきっと、という笑い話が定着しているほどである。
時計
posted by ヒゲジジイ at 18:13| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月20日

「早めの風邪に葛根湯」のコマーシャルに乗って、かえって逆効果に気付かない沢山の患者さんたち

「早めの風邪に葛根湯」というキャッチコピーがあるそうだが、一理ないとも言えないが、皆に該当するとは限らないのが、漢方薬のむずかしいところである。

昨今、目だっていけないのが、シバシバ風邪症状を繰り返す患者さんに、「早めの風邪に葛根湯」のコマーシャルに乗って、連用し続けてかえって逆効果となっているのを目撃することである。

最近も立て続けに似たケース、慢性的な咽喉腫痛症状を繰り返し、風邪だと思って「早めの風邪に葛根湯」だと素直に受け取って市販の葛根湯を飲み続けている。

ところが、いよいよひどくなって結局は、病院で抗生物質をもらって漸く軽快する。

そんなことを何度も繰り返しているのであった。

白血球もその都度、2倍近くに増えていると言われるから、既にウイルス性ではなく咽喉部の慢性的な細菌感染である。

鼻づまりもあって熱感もともなっているから、結局はすでに本ブログでも述べた、

風邪の原因が副鼻腔炎と考えられるケース

にかなり近いものである。

こういう方が、いくら葛根湯を連用しても、悪化することはあっても軽快する可能性は絶無に近い。

例によって、銀翹散製剤に辛夷清肺湯とともに白●蛇●草などを加えるなどの工夫が必要で、既に慢性化して、しばしば急性炎症を繰り返しているので、これ等の配合を主体としたものを、比較的長期間服用する必要があるわけだ。

漢方薬の効能を、単なる宣伝文句で適応症が的確に表現できるはずもないのだが、年々これらのコマーシャルや雑誌記事などに書かれていることを鵜呑みにして、各種漢方処方を無意味に連用し続けて、却って逆効果となっている現象を目撃することが多いのであった。

それにしても漢方薬の安易な宣伝だけは、却って評判を落とすだけだから、あまり感心できないな〜〜と、いつも内心残念に思うことである。


posted by ヒゲジジイ at 18:20| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月18日

極端な寒波で胃腸障害を誘発する場合もある!

 12月にしては驚くべき寒波である。

 寒いのなんのって〜〜と言いつつも、外気が乾燥して咽喉が渇き、家の中はほどほどの暖房が効いているものだから、ついつい冷たいものが欲しくなる。

 数十年前に比べて格段に暖房設備が充実した世間一般であるから、咽喉の渇きを潤すのにビールを飲んだり、アイスクリームを食したり、冬だというのにやりたい放題である。

 こんな時に恐ろしいのはインフルエンザばかりではない。
 胃腸障害である。
 冷たいものを摂取しすぎで、これに風邪でも引いたら大変である。

 漢方薬では、冬だというのに本来「夏風邪」によく使用される
かっこうしょうきさん(カッコウショウキサン)」という方剤が適応することが多い。

 胃腸型感冒に、よく使用されるが、医薬品としての効能記載には、

夏の感冒、暑さによる食欲不振・下痢・全身倦怠。

 と、このような記載であるが、暖房設備が充実した昨今では夏冬の見境無く繁用される方剤なのである。

 急性の吐き下し症状には、しばしば適応するもので、それだけにインフルエンザに罹ったときでも、咽喉腫痛や高熱を伴いながら、吐き下しがあるような場合は、銀翹散製剤などとともに、このカッコウショウキサンを併用するのが適切であることが多い、ということである。

 もちろん、個人個人で風邪症状、あるいはインフルエンザによる症状は、意外にマチマチのこともあるので、その都度、正確な弁証分析に基づいて配合されるべきことは、言うまでもない。

 少なくとも、真冬であっても、胃腸症状を伴う風邪やインフルエンザには、カッコウショウキサンの併用も考慮に入れるべきだ、ということである。

 但し、このカッコウショウキサン、かなりな乾燥性を持っているので、胃腸に優れた効能を発揮するからといって、不必要にダラダラ使用していると、却って咽喉乾燥などを生じて不都合なこともあるので、このような急性疾患用の漢方薬は、お役ご免になったら適当な時期に服用を止めることである。
posted by ヒゲジジイ at 19:51| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月17日

高熱時には地竜(ちりゅう)や牛黄(ごおう)を併用

寒波も続いて、本格的なインフルエンザの季節を向かえそうだから、高熱時の漢方薬の使用方法を補足しておきたい。

さきほどまで、ブログ漢方専門薬剤師による漢方薬方剤漫遊記に、地竜について書いていて思い出したのだった。

その投稿文は、

すぐれた消炎鎮痛剤「地竜(ちりゅう)」つまり、ミミズ

というものであったが、医薬品としての効能記載にあるとおり「感冒時の解熱」としても、極めて優れた効能を有している。

だから、インフルエンザなどで銀翹散製剤が適応の時でも、高熱となると銀翹散製剤だけでは直ぐに引く訳ではないので、そんな時には地竜(ちりゅう)、つまり医薬品としてのミミズを併用すべきである。

心臓まで苦しいようなときには、高価でも牛黄(ごおう)を用いると良い。

まあ当然、漢方専門薬局では、どこでもやっていることとは思いますがね。
posted by ヒゲジジイ at 22:13| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月16日

銀翹散製剤を買い求めに来られた常連さんに「鳥インフルエンザにもこれで効くんでしょっ?!」と問い詰められて困惑したこと

そういえば一昨日、常連さんが少し風邪気味だからと銀翹散製剤(天津感冒片)などを買い求められたとき、

「鳥インフルエンザもこれでいいんでしょうexclamation&questionパンチ

という詰問をされて困ってしまった。

未知のウイルスだから、何とも言えませんよ、タミフルが本当に有効なものなら、必ず併用すべきでしょうよ、と苦し紛れのお返事をしたのであった。

実際のところは、その時になって正確な弁証分析をおこなって漢方薬の配合を考えないことには、今から何とも言えるものではない。

しかしながら、正確な弁証分析があれば、漢方薬方剤の配合でいけるのではないかと愚考するものであるが、果たして・・・・・・・exclamation&question時計モバQ
posted by ヒゲジジイ at 20:54| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月14日

ここ数日の寒波で風邪を引きかけた人がすべて銀翹散製剤で先手を打って無事!

小生を含めた常連さんたちの報告である。

やはりここ数日の寒波で風邪を引きかけた人が多い。

小生の場合は、一昨日、某漢方メーカーの社員さんと話し込んでいると、咽喉がいがらっぽくなり軽い咳を繰り返していた。

「先生、風邪引いたんですか?」

と言われるのを、しゃべりすぎでむせただけだろうと言っていたが、閉店後もおかしい。
咽喉にカサカサ感があって取れない。
鼻もむずむずする。
これはヤバイと思って、早速銀翹散製剤の顆粒エキス剤「涼解楽」と板●茶を味わいながら服用。

一時間もすると、完全に諸症状が消失。

すると昨日から常連さんの常備薬の補給に来られる方たちや、今日は行けないから送って欲しいという常連さんまで、小生と同様の報告が相次いで、すべて同様の方剤で皆さん無事に引きかけの風邪を退治しておられた。

軽症だからと銀翹散製剤の錠剤「天津感冒片」を用いた人も多かった。

同じ時期に、同じような風邪の初期症状を示すもので、どなたも強い悪寒を感じる方はいなかったので、ベテランの皆さんはいずれも「参蘇飲」を併用された方はいなかった。

ただ、高齢のベテラン常連さんのご夫人だけは、銀翹散製剤類を服用後すぐに風邪症状はとれたものの、数年に一度生じるふらつき感が生じ、項背部を揉むと気持ちが良いので、いつもの葛根湯を変方した製剤の三分の二量を服用して直ぐに回復したとの報告もあった。

常連さんは全員、小生のところで一年以上の漢方薬による風邪対策の学習を経ておられるので、中には小生よりも上手なご婦人がおられるのであったexclamation&questionひらめき時計手(チョキ)
posted by ヒゲジジイ at 13:49| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月13日

葛根湯による発汗過多を来たす例は意外に多い!

先日、漢方メーカーの社員さんの、葛根湯による発汗過多の経験談を掲載していたら、昨日また別の漢方専門メーカーの社員さんが、各薬局の訪問ついでに情報を収集して来てくれた。

漢方入門当初の薬局の先生自身、ということは薬剤師御自身の経験として、風邪を引いたら葛根湯だよという漢方の道の先輩にアドバイスされて服用したところ、ひどい発汗に困惑した経験がある先生がおられたとのこと。

その発汗にも関わらず一向に風邪は好転しなかったわけだから、適切な服用ではなかったのである。

葛根湯が有効に働く時の発汗は、かなり大量に発汗する時でも、それが気持ちよく、風邪が次第に抜けていく感覚が伴うものである。

使用する前の目標として「無汗状態であり、寒気がして、項背部分(首の真裏)が凝る、揉んで気持ちよい」という条件が揃っていなければ、あまり効力を発揮できない。

使ってはならない時というのは、寒気はあまりなく、むしろほてりや熱感を感じている時。
あるいは風邪の引き始めから、やや汗ばんでいるとき。

あるいは、風邪がややこじれて汗が出ているのに一向に治る兆しが見えていない、というような時にはむしろ、禁忌(使ってはならない)なのである。

こういう条件の時に、間違って葛根湯を使用すると発汗過多を来たす場合があり得るのである。
posted by ヒゲジジイ at 14:35| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月10日

西洋医学における風邪患者に対する治療法

これまで様々に述べてきた漢方と漢方薬の風邪・インフルエンザに対する治療方法と、一般的な西洋医学における治療方法を以前、内科医の先生にコメント頂いているので、ここに再度ご紹介しておきたい。

男性医師からの西洋医学治療における風邪治療のパターン化における味気なさの嘆きのお便り
←クリックexclamation
posted by ヒゲジジイ at 10:19| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月09日

傷寒と温病は紙一重

取引先の漢方メーカーさんの社員H氏の経験談。

先日、風邪を引いて強烈な悪寒に襲われたので直ぐに「麻黄細辛附子湯(まおうさんしんぶしとう)」を服用したところ、今度は熱くなって咽喉痛が歴然としてきたので、すかさず銀翹散製剤に切り替えて、スムーズに一件落着となったとのこと。

日頃から、銀翹散製剤の重要性とともに、青い風邪(傷寒)と思っても直ぐに赤い風邪(温病)に転化するので、十分気をつけなければならないと訓辞を与え続けた成果が見事に活かされた例である。

このような融通性がないと、漢方と漢方薬は使いこなせないものである。
posted by ヒゲジジイ at 09:26| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月08日

葛根湯で発汗過多に陥った例

某漢方メーカーさんの社員の経験談。

十数年前の入社当時のこと、5月の連休中に激しい運動をして発汗した後、咽喉腫痛をともなって、少し寒気がして風を引いたようなので、風邪にいいと言われる葛根湯を服用した。

ところが大発汗が生じて、身体がグッタリと来て動けなくなった。

手元に牛黄(ごおう)があるのを思い出し、それを服用することでなんとか明くる日に出勤することが出来た。

今から思えば、あれは銀翹散製剤を服用すべきだったんですね、と感慨深げであった。

不適切な使用をすれば、葛根湯でも発汗過多により、体力を極度に消耗してしまうことだってあり得ることである。

葛根湯は発汗時に使用すれば、ますます発汗の度を強めるので、発汗時の使用は禁忌である。

無汗でなければ使用してはならないのである。

つまり、葛根湯は一種の発汗剤であるということをよく覚えておいたほうがよい。
posted by ヒゲジジイ at 19:27| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月07日

風邪の原因が慢性副鼻腔炎と考えられる人が漢方治療を求めてこられるケースが断然多い!

昨日、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と慢性風邪症候群?の体質改善を求めて来局された方がいた。

それで思い出したことだが、風邪を引きやすくて一年に何度も高熱を発するタイプに、慢性副鼻腔炎が原因と思われるケースが、考えて見れば断然多いことに気がついた。

このようなブログを始めたお陰で、間違いないことを確認できた。

たとえば、昨日のご相談こそ典型的なケースで、最初から蓄膿症の悩みをおっしゃるから、話は早いのだが、中には蓄膿症が持病であることをこちらから質問するまで言われず、たとえ質問しても軽く受け流して、「少し悪かったことがあります」くらいで、ご本人自身にあまり認識がないことすらあった。

ともあれ、蓄膿というくらいだから当然、細菌性の濃汁が、知らずしらずに常に後鼻漏として咽喉に流れ落ち、疲れたりして免疫低下気味となった折に風邪症状を引き起こすという予測がなりたつのが、これら慢性副鼻腔炎をかかえる患者さんたちである。

慢性副鼻腔炎は、蓄膿症とも呼ばれるように、単なる鼻炎などとは異なり、黄色の濃汁を多かれ少なかれ排出することから、多くは熱証なのである。

だから、蓄膿症にも効くとされる「葛根湯加川キュウ辛夷(かっこんとおうかせんきゅうしんい)」などという漢方薬方剤は、蓄膿症患者さんたちにとって、この方剤の単独使用というのは、殆どの場合、適切ではないということなのである。

つまり、葛根湯加川キュウ辛夷に記載される効能「鼻づまり、蓄膿症、慢性鼻炎」とあるうちの真ん中、蓄膿症に対する効能は、単独で使用する限りは、理屈に合わない。
温性の本方剤は、蓄膿症には不適切な可能性が高い、というケースが多いのである。

長年観察するに、蓄膿症の多くは熱証である。
だから、基本方剤は、一般的には「辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)」が主軸となる。

ということで、もとの風邪の話に戻ると、蓄膿症患者さんが風邪を引くと大変である。
最初に寒気が強くとも、そのうち熱感が強くなって、寒気が軽くなる頃には、鼻詰まりと濃汁の蓄積で苦しむ。
咽喉は痛み、ひどい時は咳嗽を併発して、気管支の奥から刺激を感じて、急性気管支炎を併発する。

以上の症候群は、すべて中医学的手法を用いる限り、漢方薬の得意分野である。

昨日見えられた方は、合いもしない医療用漢方の、葛根湯や葛根湯加川キュウ辛夷、さらには少柴胡湯まで出されて、温性の漢方処方のオンパレードである。

ひどくなることはあっても、治るはずがない。

いつも漢方薬は効いたと思ったことはないが、最終的に抗生物質を連用することで、ようやく回復するのが常であるという。
しかしながら、平素から、鼻づまりと咽喉刺激感は常時完治はしない。

体質改善の配合方剤の主軸は、辛夷清肺湯に適量の銀翹散製剤を加え、さらに中国では「中草薬」と呼ばれる適切なものを加味して連用してもらうことになる。

急性の風邪症状が勃発すれば、急性用の配合比率に変えるまでのことだ。

つまり、銀翹散製剤を主軸に辛夷清肺湯を最初から加えておいたほうがよく、悪寒が強烈な場合のみ、ほんの一時的に葛根湯あるいは麻黄湯を併用してもよいが、寒気が7割取れた時点では、これら温性の方剤は中止しなければならない。

以上、専門家が読めばすべて理解されるはずである。

意外に眼からウロコという先生もおられるといわれるが、日本漢方だけでは風邪や流感、インフルエンザは治せない、ということを認識して欲しいと思う。
posted by ヒゲジジイ at 18:48| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月06日

水様の鼻水から始まった常連さんの風邪治療薬

昨日の話。

常連さんの中年後期の男性が、水様の鼻水が目立つ風邪を引いた。

まだ咽喉は痛くない。

いつもの風邪は、銀翹散製剤と参蘇飲エキスに補助として板●根エキスで良いのだが、今回は水様性の鼻水が目立つので、参蘇飲のかわりにカッコウショウキサンである。

以前にも、この方自身がこのパターンの経験があるから、配合方剤の選定は早い。

鼻水以外の明らかな症状はまだ出現していないので、カッコウショウキサンを主軸に、銀翹散製剤は少量にしておく。

もしも咽喉腫痛が出現したら、すかさず銀翹散製剤を規定量まで増量することは、常連さんなら先刻御承知のことである。

この方は、もともと心疾患があるので、麻黄(マオウ)が含まれた小青竜湯などは禁忌である。

たとえ心疾患がなくとも、小生の薬局では明らかな喘息などを伴わない限りは小青竜湯は使用せずに、まずカッコウショウキサンで様子をみる。

両者とも乾燥性の強い方剤だが、カッコウショウキサンは胃障害を誘発することはなく、むしろ食欲増進に働く。

一方、小青竜湯は胃障害を誘発する恐れがあるのみならず、心疾患や高血圧の持病がある方にはほとんど禁忌であろう。

ある種の喘息患者さんには、小青竜湯でなければ困る、これが一番ピッタリで小青竜湯で救われたという方も少数おられるが、あきらかな小青竜湯証と確信が持てない限りは、迂闊に使用すべきではないと愚考するものである。
posted by ヒゲジジイ at 11:09| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月03日

医療用漢方では葛根湯や麻黄湯でもダメなら、どの方剤を使用すればよいのかという疑問

このタイトル、そこなんです問題は!

だから、じっくりと医療用漢方の全リストをじっくり眺めて見ましたがネ。

ちょっとこれじゃ〜〜、軽症の風邪以外は、ほとんど治療は不可能です。

断言してもいい。

但し、例外はどこにでもありますよ。

小生のところだって、こんな例外が少なくとも数人はいる。

常備薬として銀翹散製剤や参蘇飲エキス、はたまた吐き下しに備えてカッコウショウキサンという方剤まで皆さん常備されている。

それに日本では食品扱いされる板●根のエキスや白●蛇●草のエキスなど。

その常連さんのご家族にはもともと丈夫な方も多く、流感に罹ったときでも、この板●根エキスだけでも一気に熱が引いたとおっしゃる。

このような信じられないことを言う方が、これまで数名以上いた。

これと同様に、流感でも葛根湯や麻黄湯であっさり治る方も、例外的にいるであろうことは認めます。

しかしながら、小生の所での話にしても、まったく例外に属することだから、これをあてにしてはならない。

それゆえ、結論としては、医療用漢方で本当に重度の風邪やインフルエンザを治そうと思ったら、銀翹散製剤を保険適用にされる以外にはないでしょうひらめき

それ以前に、エビデンス漢方に些か省みる必要もナシとしないと思われますし、そもそも中医学理論を取り入れないことには、世界標準から逸脱した吉益東洞流の日本漢方やエビデンス漢方のままでは、いまにフランスやアメリカの中医学派に遅れをとって、そのうちフランス人や、アメリカ人を日本に招いて、中国式の漢方を教わる日がやってくるかも知れない、という恥ずかしい時代がやって来ないとも限らない、て〜〜〜ことです。

フランスなどでは、相当に中医学が盛んらしいですよexclamation

医師が扱う医療用漢方が、いつまでもエビデンス漢方や吉益東洞流の日本漢方のままで、世界に通用するのでしょうか?

第一、インフルエンザ一つすら、治せないじゃ〜〜ないですかexclamation&question
posted by ヒゲジジイ at 00:54| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月01日

福岡県では一般のインフルエンザが既に流行の兆しありとの報道

昨日の昼食時には、テレビのニュース報道で、福岡県では一般のインフルエンザが流行し始め、一部の幼稚園だったか学校だったか?

そのクラスだけの閉鎖だったか?

どちらか聞き漏らしたので定かではないが、少なくとも、インフルエンザの集団感染のために一部でそのような閉鎖があった模様。

そろそろ、本格的な冬を迎えるので、当方のような漢方薬専門薬局でも、常連さんのためにインフルエンザ対応の漢方薬類が大活躍する季節を迎えたようである。

いつも書いているように、主役は「銀翹散製剤」であり、日本漢方の通説である葛根湯や麻黄湯などは、ほんの脇役程度にしかならないのが現実である。
posted by ヒゲジジイ at 08:58| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月30日

風邪に対する葛根湯の使用方法を良くご存知のお医者さん

漢方薬によるリウマチ治療に、日本古漢方派が好んで出される「附子剤(ぶしざい)」ばかりを使用する必要はない、と思う。

つまり、経絡を温める附子という生薬を用いた漢方処方を使用するのが、ほとんど基本原則に近いのが、日本古漢方派のやり方であるが、小生の薬局では、まず附子剤は使用しない。

辛熱の薬物は、肺陰を損傷しやすいので、現代社会のように豊かになり、また温暖化現象のますます顕著になる日本で、それほど必要とは思われない。

おっと、風邪やインフルエンザ専門のブログで、ちょっと場違いなことを書いてしまったが、長年リウマチを悩まれた患者さんで、もっぱら当方の漢方薬オンリーで、ほとんど改善して緩解状態が持続している婦人の葛根湯使用経験談を記そうとして、前置きが長くなってしまった。

このご婦人、長年各病院を転々とするうち、ステロイド治療でも疼痛が消えなくなり、当方の漢方薬で苦労を重ねながら、早めにステロイドは完全に廃薬することができた。

かくして、次第に改善していくうち、とても親切な開業医さんにめぐり合った。

漢方薬治療を大いに奨励して下さり、いつもこのご婦人を励まされ、血液検査と軽い高血圧治療薬の投与と、時折、風邪のために葛根湯を投与されている。

この先生のご指導がまた的確であった。
葛根湯は、風邪を引いてしまったらもう効かないから、引いたかなと思ったら直ぐに服用するように、と常に指導されていた。
従ってこの聡明なご婦人は、ゾクっと来たら直ぐに葛根湯を服用し、温かくして寝るとあくる日は治っていることが多い。

ところが、いったん引き込んでしまったら、お医者さんがおっしゃるとおりに葛根湯はまったく効かないので、小生のところで常に銀翹散製剤と板●茶を併用して治している。

葛根湯の使用方法に堪能なお医者さんがおられるとは、久しぶりに感激した。

つい、このように書いてしまうほど、病院や医院で投与される葛根湯は、すでに使用すべき時期が過ぎ去って本格的な風邪を引き込んでしまっている。
それゆえに病院に訪問しているのに、葛根湯を出されるから、もうその時点ではむしろ葛根湯は使用しないほうがいいくらいのタイミングで投与されているケースが断然多い。
だから、まったく効果がないのである。

これまでにも、同様のことを書いてきているが、その機微を良くご存知のお医者さんもおられたわけである。

ン実問題として、げ多くの病院・医院では本格的に風邪を引き込んでいる患者さんにばかり葛根湯を投与する結果になっている。
このために、患者さんたちにやっぱり漢方薬は大したことないや、という印象をもたれてしまうのである。
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2005年11月29日

鳥インフルエンザが流行した時、自分が感染したらどうするか?

一般のインフルエンザなら、弁証論治に基づく綿密な漢方薬配合をすれば、一般治療よりもはるかに効果的なことは、実証済みだから、まず漢方薬で治してしまうだろう。
したがってタミフルも別に欲しいとは思わないし、ましてやインフルエンザ予防のワクチンは、これまでにも実際に副作用ばかりが目立って、明らかな予防になったという証拠もないので、絶対に受けるつもりもない。

ところが、鳥インフルエンザが変異して、人から人へと伝染するようなことになれば、そのウイルスの未知の毒性が恐いから、効力の優劣は予測できないものの、出来るだけタミフルも漢方薬と併用したいものだと考えている。
タミフルにもある様々な副作用のことを考えるよりも、新型インフルエンザの脅威のほうが、はるかに重大だと思うからである。
結論として、タミフルと漢方薬で治す。
自分が感染した場合は、そうするだろうということだ。
鳥インフルエンザから変異した新種のこの新型ウイルスに対するワクチンが出来たとしても、直ぐにウイルスは微妙に変異して、大した効力はないだろうと言われる専門家もいる。

ワクチンに関しては意外に副作用の問題もあるから、その時点で、ほんとうに効力がありそうかどうかを確認して考えるだろう。
タミフルだけは使用したいな〜と考えている訳である。

但し、何度もいうように、これは現在騒がれている鳥インフルエンザが流行して自分も感染した場合の想定である。

一般のインフルエンザなら、自分の場合は漢方薬以外は一切使用しないが、鳥インフルエンザが流行すれば、このときばかりはタミフルも、少しは役立つものなら、使いたいということだ。
もしも、無効だとわかればもちろん使用しないのは当然であるが、いまのところ少しは有効だろうという予測が立てられているからだ。
posted by ヒゲジジイ at 03:46| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月27日

やや専門的な話になるが、近年「柴陥湯」の適応者が激減したように思われる

柴陥湯は、小柴胡湯と小陥胸湯を合わせた方剤である。
医療用漢方でもあるし、薬局専用のエキス剤も奇特なメーカーさんで製造されている。
小生の薬局では、20年前まで大活躍してきたこの方剤も、近年めっきり不要となった。

もともと、柴陥湯という合方(二つの方剤をあわせたもの)によって作られた方剤は、便利なようで不便な点もある。
風邪がこじれ、咳嗽によって胸痛が生じるような時に使用され、日本漢方独特の合方製剤である。
これが、よくフィットすることが多かったのだが、年々、小柴胡湯の温燥の薬性が不要になりはじめた。
不要というよりも、邪魔になると言った方が適切な表現である。
数年前にも、地元で漢方に造詣の深い内科医院さんが、咳嗽による胸痛に悩まされている60代の女性に、柴陥湯と辛夷清肺湯が投与された。
それが、一向に効かないのである。
これが20年前だったら、日本のあらゆる環境的な影響などにより、有効だったと思われるが、適応する方剤も、明らかにその時代時代の傾向があると思われる。
その女性は、もともと慢性疾患では当方の常連さんであったので、直ぐに相談に見えられた。
20年前だったら効いていたでしょうが、それにしてもこれを出された内科医院の先生は、かなり漢方に堪能な方ですよ。但し、柴陥湯の中の小柴胡湯が余分で、これが邪魔して効果が出ないのだから、ということで、
小陥胸湯加味方(剤盛堂の結胸散)と辛夷清肺湯の合方に、念のため板●根エキスと白●蛇●草エキス(この2つは日本では残念ながら健康食品扱いだから、あえて●を使用)を加え、これによって即効を得て回復している。

ともあれ、当方では20年前頃から徐々に柴陥湯の使用頻度が落ち、ここ十年は殆ど使用しなくなっている。
結局は、咳嗽による胸痛の場合、肺炎症状に近い状態でも、抗生物質など病院から処方されながら、一向に治りの良くない場合に、かなり細かい微調整は必要であるものの、基本的には小陥胸湯を中心にした配合で、比較的速効を得ることが出来ている。
但し、小柴胡湯の配合された柴陥湯を使用した場合、却って胸部・気管支の炎症を遷延させることすら考えられる時代となっているので、明らかに「不要」と言って良いだろうと思われるのである。
それゆえ、純粋型の小陥胸湯(半夏・瓜呂仁・黄連)のエキス製剤が望まれるのであるが、各社その意識はどうなのだろう?
posted by ヒゲジジイ at 10:48| 山口 ☔| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする