2008年04月02日

筆者13年ぶりの高熱体験記←もしかしてインフルエンザ?

 先週にも湿疹や蕁麻疹で通っておられる女性達一家が、それぞれインフルエンザに罹患して、片方の一家はタミフル投与の応諾し、もう一方のご家族は謝絶した話しを当の女性達から直接話を聞いていたばかりである。
 まさか、彼女等からうつされたインフルエンザだとは思いたくないが・・・
 以下は、漢方と漢方薬の質疑応答集と村田漢方堂薬局の近況報告の3月31日投稿のブログからの引用である。
 いくら忙しくたって遣り甲斐のある仕事ばかりではないので、時々この辛気臭い本業にウンザリする。
 そんな一週間が終わった土曜日、やけに寒いな〜と思いつつ完全に気力喪失状態で下らぬテレビを眺めながら厭世観にひたっているとけだるくてしょうがないのでひと寝入り。

 夜八時頃起こされて体温を測ると38度4分。節々は痛いし筋肉痛もある。咽喉周辺はひりひりとへばりつくような痛みと咳嗽。
 咳嗽の発生源が胸の中央付近で胸痛を伴う肺炎の手前を思わせるようないやらしい乾燥咳である。

 咽喉のへばりつくような疼痛は「温熱の病邪は口鼻より入る」の温病学の考えから断然、銀翹散(ぎんぎょうさん)製剤でもシャープな効果を特徴とする涼解楽である。
 節々の疼痛や筋肉痛および悪寒を考えれば、とうぜん日本古方派なら麻黄湯を考えるところであろうが、ひどい食欲不振を考えれば絶対に使用したくない。

 まずはひとい胸痛と胸に響く咳嗽を楽にしたいので涼解楽と小陥胸湯加減方剤に滋陰降下湯で咳嗽が一気に楽になる。安心して寝入り翌朝の日曜日を迎えると7度4分に下がっていた。(実際の服用薬には排尿痛と小便の出渋りもひどかったので猪苓湯も加えている。)

 そこで安心して、遣り残した雑事を片付けていたらまたぞろけだるくなって寝入る。夕方3時頃まで寝入って目が覚めたときには何と8度9分、頭はガンガン、トイレに行くのもふらふら。咳嗽も胸痛もかなり軽くなったが節々と筋肉が痛む。僅かな寒気がどうしても取れない。熱感もあまり感じない。(いかにも麻黄湯証である。)

 やっぱりこれは風寒束表に対する配合が明かに不足しているように思われる。といってもこのひどい食欲不振をどうするか?
 愚娘などは高熱を発すると決まって食欲旺盛になっていた。関係ないけど・・・。
 「虚に乗じて邪が侵入」したのであるから、常々 漢方と漢方薬は風邪・流感(インフルエンザ)に本当に有効か? というブログにも書いている通りに上記方剤に参蘇飲を加えることにした。

 涼解楽と小陥胸湯加減方剤に滋陰降下湯に参蘇飲・猪苓湯

 すると半時間も経たない間に7度5分まで下がる。少し食欲がでたが下痢をした。どうにも僅かな寒気が取れないのはカッコウショウキサン証の合併だったかと得心してさらにこれを追加服用。

 この時点で気がつくと咽喉のへばりつくような疼痛や胸痛も咳嗽などほとんど消失。
 熱も軽度になったが高熱のあとだけに身体がだるい。症状から見てもまるでインフルエンザのようだが身近に医者がいないので検査もできない。
 夜、昨夜からジュース類以外は咽喉を通らなかったのが梅干ご飯にお湯をかけて食べれた。体温も37度以内36度までを上下。

 夜は涼解楽と小陥胸湯加減方剤にカッコウショウキサンと参蘇飲・猪苓湯で寝る。
 月曜日は鼻声を残してまったく平熱。食欲が俄然沸く。
 幸い、1日中、送り注文とお馴染みさんが来られるばかりで、最も神経を使う新人さんが無かったのが幸い。

 夜の今現在の服用は、念のために涼解楽とカッコウショウキサンと参蘇飲・猪苓湯。
 こんな華奢?な身体に麻黄湯を使用していたら、どうなっていたか分からない(苦笑)。

追記: 当然、板藍茶や白花蛇舌草は常時併用しているはずが、時に熱に浮かされ服用を忘れているときもあった。高熱時に地竜や牛黄製剤も使用したが初日の土曜日にはまだ寒気が強い時だったためか、有効性はほとんど感じられない。
 翌日の8度9分の時にも使用したが、この時は一気に熱が下がったのは地竜と牛黄製剤のおかげかもしれない。

 なお、終始寒気が伴っていたので暖房で強烈に室内を暖めていた。
posted by ヒゲ薬剤師 at 00:02| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月09日

強烈な悪寒(寒気)から始まる風邪でも温病のことが多い現実

 先日、運動を終えた後に強烈な悪寒に襲われ風邪を引いたと思ったので葛根湯製剤(葛根と麻黄と甘草の比率が4:2:1)を服用して就寝したが、朝になって咽喉腫痛が伴って熱気を感じ、寒気は少なくなっていた。さらに葛根湯製剤を服用したが、足が冷えるのに上半身は熱気で熱く、発熱もはじまったがどうしたらよいだろうとのご相談があった。

 葛根湯は現時点の風邪治療には逆効果となるので止めてもらい、直ぐに天津感冒片(銀翹散製剤)と板藍茶の併用に切り替えてもらった。

 この女性の場合、過去、関節リウマチを患っており、しばらく寛解していたところで一ヶ月前に両手首の関節部分から再発を疑わせる疼痛が持続するようになり、弁証論治により、葛根と麻黄と甘草の比率が4:2:1とした葛根湯製剤の服用ですっかり症状が消失していた矢先の風邪引きであった。

 もともと咽喉が弱いほうで、風邪を引くと直ぐに咽喉をやられる方だが、リウマチに使用した葛根湯製剤が手元にあるので、素人判断で直ぐに使用したものの、関節痛を治した時のようには風邪には効果を示さず、結局は銀翹散製剤(天津感冒片)を使用せざるをえなかったわけである。

 このように初期に強烈な悪寒に襲われる風邪やインフルエンザの場合でも、傷寒と思って麻黄の配合された傷寒系の方剤を使用すると、一気に温病の本来の姿が出現する場合が多いので要注意である。
 長年の経験ではほとんどがこのケースである。
 このような場合には即、葛根湯などの麻黄配合方剤は中止して銀翹散(ぎんぎょうさん)製剤、天津感冒片や涼快楽などに切り替えなければならない。
posted by ヒゲ薬剤師 at 13:28| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月08日

東海地方のA型インフルエンザ流行地区からのおたより

女性薬剤師さんからのおたより「A型インフルエンザ流行地方からのおたより」からの抜粋引用
前略  こちらでは、A型インフルエンザがとても流行しています。
先日、いやいやながらも、薬剤師会の当番で、休日救急医療センターに当直した折りの感想です。

 A型インフルエンザが流行っており、狭い待合室の密閉された空間は、何だか臭いまでムとウイルスの存在を感じさせるようで、いつインフルエンザを引いてもおかしくない、イヤな状況です。
 毎年、この時期の当直で、体調を崩すことが多いので、この日は完全防備ででかけました。

 前日の夕食を、一汁一菜の和食で腹七分、当日の朝は、韮の温裏粥を少々食べました。

これは、先日、安保先生にお逢いしたとき、インフルエンザを吸い込んでも、発病する人としない人の違いは、マクロファージの段階で処理できるか否かの問題で、飽食によりマクロファージがその処理に疲弊していると、ウイルスを食べられず、リンパ球等を動員してくると、熱が出て、発病に至る・・・とのお話をされていたためです。
 村田先生が、いつもおっしゃるように、腹七分は万病の予防です。

 急患センターに到着すると、相方の薬剤師、ドクター二人と顔合わせし、皆さんインフルエンザをもらわないように、全員マスクをして、気合いを入れました。
ちなみに、朝の体調は全員良好でした。

 私は、患者さんと話をするたびに、タンポポ茶でうがいをして、時折、銀翹解毒丸を飲んでいました。昼は、自宅から玄米のおにぎりを持参。
 相方の薬剤師は、にぎり寿司、ドクター二人はトンカツ定食を食べておられました。

 ところが、夕方4時を回るころ、相方の薬剤師は、激しい悪寒、頭痛、節々の痛みを訴えました。どうみても傷寒証の症状です。舌をみると、胃腸も冷えていました。
 私は、ポケットに、麻黄湯、麻黄附子細辛湯、銀翹解毒丸を忍ばせていたので、相方に麻黄湯を一服渡しました。

 時を30分くらいずらし、トンカツを食べておられた1人のドクターが、”麻黄湯なんてないよね?”
 と言ってこられるので、”どうされました?”とお聞きすると
”2人とも(ドクター)喉が痛く、熱感がしてきてるから・・・やられたみたい。薬剤師さん、麻黄湯ってどうよ?”
 とおっしゃるわけです。(ちなみに、この日は患者さんにはタミフルがバンバン出てました)

 漢方の真髄をご存じないドクターに、弁証論治がどうの・・といってもラチがあかないので、私からみて、お二人とも、まちがいなく温病の証で、湿熱体質とみてとれたため、持っていた銀翹解毒丸を飲んでいただきました。

 こうして、2時間後の終了時には、相方もドクターも回復に向かっていました。
 このとき、私が思ったのは、同じインフルエンザに暴露され、体内に取り込んでも、その人の体の状態(寒、熱、湿・・・など)により、反応が違うのでは?ということです。
 体に湿や熱をためていれば、ウイルスの増殖も早く、温病型の証を呈してくるのかもしれないし、体が冷えていれば、傷寒証を呈してくるのかも・・・?
 同様に、内湿が多ければ、湿邪にやられやすいし、乾燥した体質であれば、湿邪は有り難い・・ 後略
posted by ヒゲ薬剤師 at 09:21| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月28日

風邪で発熱して最初から治るまで葛根湯証が継続するケースもある

 近頃、東北地方や北陸地方の人達の風邪の漢方薬治療の相談を受ける機会が増えている。いずれも一度は当方の薬局(山口県下関市の村田漢方堂薬局)へ、慢性病のご相談で数日の日程で直接来られたことのある人達ばかりである。

 寒い冬に風邪を引かれたときにもメールなどでご相談を受けたが、諸症状から寒気が継続して項背部の凝りを訴え、発熱して以後も首の真裏を温めると気持ちが良く、頭痛が激しい。
 発熱して以後も変わらないので、葛根湯製剤を主方剤として銀翹散製剤(天津感冒片)の少量をトローチ代わりに使用してもらってあっさりと治癒されている。
 同様なケースのご相談も最近受けたばかりであるが、このようなケースは当方の地元近辺(山口県)では稀なことである。

 確かに初期には葛根湯証を呈するかに見えても、直ぐに温病特有の症候があらわれ、銀翹散製剤(天津感冒片や涼解楽)を主方に板藍茶の併用で治るケースがほとんどであるが、東北地方や北陸地方の人達の風邪の実体を知るにつけ、寒さの厳しい地方では葛根湯や麻黄湯が主方になることが意外に多いのかもしれない。

 ところが、関東や東海地方、および関西、山陰地方の人達のご相談を受ける限りでは、殆どが早期に温病特有の風邪症状を示しているので、当方の地元近辺の状況と、ほとんど変わるところがないように思われる。

 この違いは、やはり地方性の問題が関連しているに違いない。
posted by ヒゲ薬剤師 at 21:00| 山口 ?J| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月08日

新聞記事「インフルエンザに麻黄湯が副作用もなくタミフルなみにきく」というのは本当か?

性別 : 女性
年齢 : 40歳〜49歳
簡単なご住所 : 近畿地方
ご意見やご質問をどうぞ : 先日新聞でインフルエンザに麻黄湯が副作用もなくタミフルなみにきく、と読みましたのでいろいろ検索していて、こちらのHPにきました。
 ところが、こちらではインフルエンザ時期に麻黄湯を飲むのはだめとのこと。

 実は数年前から天津感冒片、ばんらん茶は常備しており、引き始めは葛根湯、熱がでたら天津感冒片を服用し、まずまず風邪は撃退できてはいるのですが、今年は受験生がおりますので、新聞記事のようにインフルエンザが2日で麻黄湯で熱が下がったとみますと悩むところです。

 麻黄湯と天津感冒片を同時に飲む、というのはアリなのでしょうか。私が購入している薬局では葛根湯と天津感冒片を同時はokといわれたのですが。

 それと予防には天津感冒片を一個×3回とありますが子供だったら寝る前に一個でも効果はありますか?長々とすみません。回答いただけると助かります。

お返事メール:風邪を引くと必ずノドをやられるタイプの人では、予防には天津感冒片を1錠齧るようにしてマズイ味を咽喉に染ますように飲み込むと効果的です。一日3〜4回、板藍茶とともに服用することです。大人も子供も同様です。シバシバ罹る大人では2錠使用することもあり得ます。

 ところで実際にインフルエンザに罹ったときですが、それを新聞に出ているように麻黄湯だけに限定してしまうのは無謀です。
 そもそも漢方薬は急性疾患であっても、その人の体質と病状に合わせて処方されなくてはなりません。

 当然、体質によっては麻黄湯や大青竜湯という麻黄(エフェドリンの製剤原料)の配合された処方が適応する人もあり得ることでしょう。
 といっても、現実には果たしてどうかと言えば、皆が皆、麻黄湯が合うとは限らず、体質と病状によっては逆効果となり、副作用が出てしまう人もあり得るのです。

 ですから、インフルエンザの漢方薬は麻黄湯だと決め込むような幼稚な考えの専門家にはかからず、真の漢方薬に習熟した専門家に直接ご相談して適切な処方を得るべきです。
 その人の体質も病状も分からない段階から、急性時の処方をあらかじめ麻黄湯と限定するのは、あまりにも無謀です。

 咽喉腫痛を伴う風邪であれインフルエンザであれ、多くは天津感冒片や涼解楽などの銀翹散製剤を主体に使用するのが、中医学では常識ですが、諸条件によって併用する漢方薬も異なります。
 購入されている薬局さんを信頼して、直接指導を仰ぐのが無難かもしれません。

【編集後記】 参考文献:2007年04月05日 タミフルの使用を控え、かわりに麻黄湯が注目されているといわれるが・・・

posted by ヒゲ薬剤師 at 01:52| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月05日

傷寒論医学の危うさについて

お便り:東海地方の漢方専門薬局経営の女性薬剤師

 本日はお忙しいのにお便りをいただき、ありがとうございました。
 本当に寒くなり、こちらは今夜は雪の気配です。
 歳とともに寒さに弱くなり、冬は苦手な季節となりましたが、唯一の喜びは、猫が、こたつがわりに一緒に寝てくれることです。

 ところでこれから3月頃まで、私にとっては最もやっかいな季節です。
 と申しますのは、過去に大きな失敗をやらかしているからです。
 2年前の11月に、その年はひどく体力が落ちていたのか、肺熱肺陰虚の症状で悩まされ、声も出なくなり、患者さんから”先生、どうぞお大事に!”と言われる大失態がありました。

 さらにこりもせず、今年3月、銀翹散製剤が最もよく出ていた時期なのに、自分の症状を見間違えてしまいました。

 悪寒がひどく、とにかく寒くて、いてもたってもいられないのと、頭皮や皮膚の表面がとても痛くこわばっており、舌も白く冷えていました。
 これはどう考えても麻黄湯を使わざるを得ないと思い、麻黄湯を飲んだのですが、これが効いたときのような爽快感はなく、あいかわらず寒けがたまらず、しかもどんどんと身体痛がひどく、あっという間に足腰が痛くて立てなくなりました。
 しまった!と思ったときにはすでに肺熱症状が出てきました。

 麻黄湯で温めたのが災いして、倍以上の早さで温病に入り込まれてしまったようです。

 慌てて銀翹散系の処方、積雪草、白花草など清熱剤を取り入れて治しましたが、骨がくだけるようにしんどかったことを覚えています。(骨仙人)

 インフルエンザが流行る時期は、どんなに風寒の症状があろうとも、麻黄湯関連の方剤は御法度に近く、決して単剤で用いてはならないことを肝に銘じました。

 もうひとつあります。
 10年ほど前、小学生の一人娘を危うくダメにするところでした。
 これも何の因果か麻黄湯!

 そのときも風寒の症状が強く、こんなときに子供によく麻黄湯を処方していたので使用したのですが、情報の伝達不足で、家族が市販の総合風邪薬を飲ませていたらしく、麻黄が重複してしまいました。(これは後になってわかったことです)

 しばらくすると、娘は夢遊病者のように立ち上がり、冷蔵庫から牛乳を出してきて、自分のベッドにまき始めました。”お母さん、すだれのようにキレイ”とニタニタと笑いながら、おかしな幻覚が見えていたようです。
 慌てて病院へ連れていったところ、”脳炎の疑い”とのことで、髄液の検査等をされ、娘にとても辛い思いをさせてしまいました。

 さいわい、翌日には娘は正気にもどり、病院では”原因不明”と言われましたが、明らかに麻黄の過量投与による幻覚と脳炎様症状であったことに気がつきました。
 とんでもない母親です。

 市販の子供用の風邪シロップなどには必ず麻黄系統の薬剤が入っており、いい加減に飲ませているお母さんも多いようです。
 インフルエンザ時の座薬などについては、注意が呼びかけられていますが、麻黄については一向ないものです。
 高熱時に麻黄を使用するのはとても注意が必要かと思います。

 長々と、とんだ恥かき話をしてしまいました。
 漢方というと、風邪には葛根湯!と安易に考えて購入される方も多いので、書かせていただきました。


お返事メール:●●先生

 冬到来の時節柄、時宜にかなった貴重なご体験のご報告、まことに ありがとうございます!!!
 是非ともブログに転載させて頂きたいのですが、ご許可頂けるでしょうか?

 ヒゲジジイ自身もとんでもない最悪の体験をしています。

http://ryukan.seesaa.net/article/16609596.html

 二十数年前とは言え、傷寒論医学の無力感を身をもって体験し、そのことが今日の中医学導入のきっかけの一つともなっていると思います。
 小生の場合は、医師の往診まで依頼する始末だったのですから悲惨でした。

 ご許可を得られましたら、早急にブログへ転載させて頂きたい、時節柄もグッド・タイミングですので、小生の上記の悲惨な体験 http://ryukan.seesaa.net/article/16609596.html も同時に併記してブログにと思っていますので・・・・。


【編集後記】 貴重な体験のお便り頂いた先生は、ヒゲジジイのメインブログ 漢方と漢方薬の質疑応答集と村田漢方堂薬局の近況報告 で時々御出場頂いている同業の漢方専門薬局経営の先生です。
posted by ヒゲ薬剤師 at 20:13| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年12月03日

風邪や流感予防の漢方薬

 風邪の予防方法は様々だが、長年試してもらってみて最も評判がよいのが、銀翹散製剤の中でも服用量を加減しやすい錠剤の天津感冒片の少量を常用する方法である。
 特に毎回咽喉腫痛や咽喉の違和感などから始まるタイプの人達にはうってつけのようである。

 天津感冒片を1回に1錠〜2錠、多くは1錠でも十分なようだ。これを1日3回くらい、必ず就寝前にも服用しておくべきである。夜中に口を開けて寝るタイプの人には極めて有効である。

 同時に板藍茶や白花蛇舌草を併用されている人が多い。

 実際の漢方相談業務においては、もっと詳細なコツをそれぞれの体質に応じて個別的にアドバイスしている。
posted by ヒゲ薬剤師 at 13:47| 山口 ?J| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月30日

銀翹散製剤の製品名は天津感冒片(てんしんかんぼうへん)や涼解楽(りょうかいらく)

 銀翹散製剤もメーカー間で精度が微妙に異なるが、当方ではイスクラの「天津感冒片」と「涼解楽」を使用している。板藍根エキスも同社の「板藍茶」が濃度が高く安上がりである。

 天津感冒片は錠剤だから、分量を加減するにはとても便利であり、涼解楽はエキス顆粒で溶解速度が速いので、重症の時や、なるべく速効を得たい時には重宝である。

 一昨日、小生自身が寒気と透明な鼻水が微量続くので、涼解楽と板藍茶・白花蛇舌草を同時に飲んで翌日には治っていた。
 咽喉腫痛もなく、僅かな寒気と軽度の咳嗽を伴っていた。

 一見、巷でささやかれる「青い風邪」のようであるか、実際には「赤い風邪」なのである。その見分けは強い悪寒はなく、僅かな寒気である。ゾクゾクする寒気ではなかったので、透明な鼻水が続いても温病系の風邪であることを類推することが出来るのである。
posted by ヒゲ薬剤師 at 01:34| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月20日

風邪でも体質によっては葛根湯証が継続し続ける人もある

 現代社会では明治時代などの寒さが厳しい時代と異なって「風邪を引いたら葛根湯」というのはほとんど神話にちかく、悪寒が強いほんの初期だけに適応するだけだ、というのが本ブログの主張であったが、もちろん例外はある。悪寒・項背部の凝りなどの葛根湯証がしばらく続く人もある。

 日頃から肩こり・頭痛などの持病をかかえ、葛根湯証が日頃から持続している人達にあっても、咽喉腫痛を伴う風邪を引いた場合は、銀翹散製剤(天津感冒片など)の温病系の方剤が主体となることが多い。このことには変わりないが、一部の人では、悪寒に伴った項背部の凝りと冷え、頭痛や肩こりなどの葛根湯証が継続したまま咽喉腫痛が継続する場合もある。あるいは咽喉腫痛が消えても黄色い鼻汁を伴っているなども同様である。

 このような場合は、日本漢方では葛根湯加桔梗石膏を処方するのが通り相場だが、現実的には葛根湯を主体に銀翹散製剤を適量加えることで十分に対処出来るのである。もちろん板藍根があれば併用した方がよいのは言うまでもない。

 上記に類似した病状の人が最近、東北地方のお馴染みさんで現実に遭遇したばかりなので、敢えてここに記すのである。
 要するに、風邪やインフルエンザの傾向と対策はあるていど規定することは出来るが、実際には個人個人の体質はかなり異なるので、あくまで個別的に綿密な弁証論治に基づいて、臨機応変の対応をしなければならないのが漢方医薬学の現実でありかつ、原則である。
posted by ヒゲ薬剤師 at 12:57| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年05月08日

雨に打たれて風邪を引き桂枝麻黄各半湯証

 今時、麻黄湯証や桂枝麻黄各半湯はないだろう〜〜〜と思っていたら、愚妻がやってしまった。
 連休中に薬草畑の雑草刈りの最中に、急な雨にあってずぶぬれになった。明くる日は咽喉腫痛の割には左手が筋を引いたように痛いとおもいつつも、定石どおり銀翹散製剤(天津感冒片)と板藍茶などでお茶を濁して治ったつもりでいたが、昨日の月曜日、<休み明けゆえに店頭も電話注文も重なってテンテコマイ。
 黄色の鼻汁が出ていたはずが、いつの間にかわずかな隙間風に感じてくしゃみとともに透明な鼻水に変化した。
 往来寒熱のように、ぞくぞくと寒くなって服を沢山着込んでいると、こんどは暑くなるが発汗がない。薬局を閉じたあと夕方6時半、体温が7度9分。
 温病的な病証から傷寒的な病証に明らかに変化している。

 そこで手っ取り早く、麻黄湯製剤と桂枝湯製剤を同量服用、すなわち桂枝麻黄各半湯のつもりである。
 すると一発で気持ちよく発汗して解熱した。

 本日はまだ鼻声が残っているが、幸いに仕事量も昨日の半分程度であったから完全に解熱して体力も回復した模様。咽喉腫痛が残っているので、天津感冒片の微量を齧りながら、麻黄湯製剤と桂枝湯製剤も併用して治療を徹底した。

 いまどき麻黄湯や桂枝湯かよ〜〜〜と言いたいが、現実に愚妻の病状であったのだから仕方がない。
 ときにはこんなこともあっても不思議はない。

 悪寒発熱・咳嗽・くしゃみと希薄透明な鼻水・強い悪寒がしたり急に暑くなったり、というのが自他覚症状の目だったところであった。
posted by ヒゲ薬剤師 at 21:59| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月20日

葛根湯の評判

 相変わらず葛根湯使用経験者の体験談インタビューを継続している。
 風邪に素晴らしく良く効いたという印象を述懐される人は、相変わらず稀である。
 引き始めの極初期に使用して良かったと言う人は折々に遭遇するが、それ以上のものではない。

 葛根湯と鋏(はさみ) にもあるように、頚椎症などの様々な慢性疾患に応用範囲は極めて広く、葛根湯証を呈する慢性疾患に対する有用性ははかり知れない。
 ところが、本命の風邪やインフルエンザに対しては、多くの場合、ピンとはずれや空振りに終わることも多い現実がある。

 それらの理由は、これまでにもこのブログ内で縷々述べてきたはずである。
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2007年04月05日

タミフルの使用を控え、かわりに麻黄湯が注目されているといわれるが・・・

 タミフルの使用によって異常行動のみならず突然死の事例も多いと噂されることから、タミフルの替わりに麻黄湯を処方する医師が増えているという。
 合成医薬品におけるタミフルに代わるものは、リレンザかアマンタジンであるが、吸入薬である使用の不便さのあるリレンザ、中枢神経系の副作用の心配があるアマンタジンは敬遠されることが多いと言われる。

参考文献:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200703/502873.html

 このようにタミフルの代替としても麻黄湯は、解熱作用においてタミフルを上回るというデーターもあるらしいが、今度は麻黄湯の乱用によって、証を間違って投与された場合の虚証患者に対する副作用の出現が心配である。
 発汗過多による心臓衰弱など、適用を誤ると漢方処方の中ではかなり作用の激しい部類に属する麻黄湯である。
 明らかな傷寒として発病した場合、強い悪寒とフシブシの疼痛や頭痛が顕著で無汗など、条件がしっかり揃った表寒・表実証であれば副作用は生じる可能性は極めて少ない。

 ところが、昨今しばしば見られる悪寒よりも熱感が目立ち、咽喉腫痛を伴って、最初から汗ばんでいるような風熱表証を呈する場合に、誤って麻黄湯を使用するとかなり危険である。発汗過多によって一気に体力を消耗する恐れが強いのである。この場合は明らかに誤治であるから麻黄湯を即刻中止しなければならない。
 実際にはこのような咽喉腫痛を伴う風熱表証では銀翹散製剤を用いるべきである。
 高熱を早く下げたければ板藍根と地竜を加えれば速効が得られることも多い。

 タミフル騒動のお陰で、今後、医療界では保険漢方による麻黄湯が乱用される恐れ無きにしも非ず。くれぐれも弁証を誤らないことを祈るばかりである。
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2007年01月14日

抗インフルエンザウイルスの漢方薬(中草薬)

 昨年、NHKテレビなどで葛根湯やその主成分である麻黄(まおう)がインフルエンザウイルスに有効であるとした番組が組まれていたが、現実にはインフルエンザに罹患した折に、葛根湯ではほとんど太刀打ちできない事実と矛盾することに誰も疑問を呈さないのだろうか?(実はここに大いに疑問を呈している者がいるわけだが・・・

 むしろ極めて現実的でインフルエンザにもかなりな威力を発揮するのは銀翹散製剤を主体に、中国では板藍根などが加味されるわけだが、それだけに同じ抗インフルエンザウイルスの研究を行うなら、これら銀翹散製剤や板藍根であろうと思われるのだが、この国の漢方研究の方向性は、一体どうなっているんだろうと大いに怪訝である。

 この国ではこのような正論を大声で叫ぶことも書くことも憚られる風潮があるのだから、長州藩生粋の保守派の末裔である愛国心旺盛な小生でも、安倍さんよ〜〜〜、なんとかしてくれよ〜〜と叫びたくなるのだった。
posted by ヒゲ薬剤師 at 23:58| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年12月17日

風邪・インフルエンザ初期の漢方薬

 年の暮れに近づきつつある昨今、常連さんたちの風邪予防兼治療薬(すべて漢方薬)の補充に余念が無い。毎日どなたかが必ずご家族一家のために銀翹散製剤(天津感冒片・涼解楽など)・参蘇飲製剤・板藍茶・白花蛇舌草などの補充である。だから、例年当方の常連さんでは滅多なことで風邪をこじらせることがないし、滅多なことで高熱を発することがない。
 皆さん、過去の苦い経験から予防も治療も上手になっている。
漢方薬による風邪・流感(インフルエンザ)の治療法
 これを参考にして分からなくなったら必ず電話がかかる。

 ところでタイトルの「風邪・インフルエンザ初期の漢方薬」について、長年の経験と中医漢方薬学理論にもとづく実際を披露しておこう。

 悪寒が強い初期には、項背部の凝りが伴えば葛根湯というのが常識であり、抗インフルエンザ作用が現代医学で証明されたとて、鬼の首でも取ったかのように喧伝されているが、葛根湯くらいでインフルエンザが治ることは滅多にないのは常識である。いくら科学的に証明されても現実に風邪やインフルエンザが治らないのでは殆んど無価値に等しいのである。

 悪寒が強い初期、既に咽喉腫痛の前兆が出ていることが多いので、多くは参蘇飲に銀翹散製剤および板藍根で対処し、悪寒が8割取れた時点で参蘇飲のみ中止。(胃弱の人では悪寒が取れても引き続き併用しても構わない。)

 免疫力が充実していれば風邪やインフルエンザに罹るはずはないのだが、罹ってしまうからには一時的にせよ虚証に陥っている証拠である。
 つまり、虚に乗じて邪が侵入したのであるから、初期から攻補兼施・扶正去邪法を採用しても当然であろう、という考え方から参蘇飲と銀翹散製剤の併用があり得るのである。
 実際にこの方法を長年採用して好評である。初期に悪寒が軽微な場合は参蘇飲を省略する。
 
 筆者が経営する漢方薬局において、多くの漢方ファンを獲得している秘策がこれなのである。
 いまだに葛根湯レベルの抗ウイルス作用を云々して大きく報道される現代社会とは、一体、何なんだろうと不思議でならない。(本音を言えば、おめでたいと思っている。
posted by ヒゲ薬剤師 at 01:57| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月16日

肺経気分の病変に対する白虎湯系列の方剤

 近年、これまで以上に肺系統の病変に注意が必要となった原因は、全国的に空調設備が行き届いたことにあると思われる。
 空調設備により、年間を通じて温熱の病毒(ウイルス)が撒き散らされているだけでなく、秋・冬の乾期においては空調設備によってさらに室内の空気は乾燥し、湿潤・多雨の春・夏においても室内だけは空調設備によって乾燥され、これらの吸入によって常に肺系統の損傷を免れない生活環境は異常であり、多かれ少なかれ、昨今の日本国内に共通した状況であると思われる。

 あらゆる疾病は、究極的には五臓六腑のアンバランスによって生じるものであるから、アンバランスの状況に応じた適切な配合方剤により、正常なバランスを回復させてやれば治癒することができる。
 それゆえ、中医学は西洋医学のように部分だけを見て全体を見ない非科学的な方法とは根本的に異なっており、部分と全体をともに重視した合理的な医学・薬学であるが、全体における部分としての病変の主体がどの部位であるかという「病位」の把握は、特に重要である。

 ここでちょっと専門的な話をすれば、気分熱盛の白虎湯証は陽明気分の病変ではなく、手太陰気分の病変であり、つまりは白虎湯は肺経気熱を清する主方である。
 この分析は「中医病機治法学」における陳潮祖先生の卓見であり、近年日本国内で肺の病変が密かに蔓延しつつある現状に対して、示唆するところは決して少なくないはずである。

 参考文献:陳潮祖著「中医病機治法学」より〔・・・〕の注記入りの拙訳でピックアップ
気分熱盛・辛寒清気

 気分熱盛 = 温邪を上に受けて衛分から気分に転入し、あるいは寒邪が裏に入って化熱し、熱邪が気分にある病機を指す。
 辛寒清熱 = 気分熱盛の病機にもとづいて考案された治法である。
 本証では高熱・汗出・煩渇〔激しい口渇〕・洪脉が主症となることが多い。

 肺は呼吸を司っているので、温疫の邪気は極めて容易に肺系に侵入して病変をもたらす。肺は皮毛に合し衛に属し表を主っているため、気候の異常変化によって容易に表衛失調を引き起こし、循経して臓に伝入し、鬱結化熱による病態を呈する。このように、温邪を上から受けても寒邪に表から侵入されても、最初に肺が被害を受けることになり、邪気が肺衛を犯した早期に治療しなければ、転化して気分熱盛を形成し得るのである。

 かくして邪が気分に転入すれば、@邪が熱化するために高熱を呈し、A津は熱迫によって外越散熱するために出汗し、B汗出によって傷津し、熱盛によって耗液し、津液が損傷・消耗され、おのずと水分補給の欲求が高まるために激しい口渇を生じて冷飲する。C脉象は熱在気分〔熱邪が気分あること〕を示す洪大の脉を呈する。

 「熱なるときはこれを寒す」の治療原則にもとづき、石膏・知母・竹葉・芦根などを用いて方剤を組み立て、辛寒清気法を体現した治療を行えば本証に適応する。
 〈代表方剤〉 白虎湯。

 気分熱盛では「傷津」を特徴とすることが多いので、本法では辛寒清熱薬を中心に用い、「辛はよく走表し、寒はよく清熱」する性質を利用して熱去津回〔熱を除いて津液を回復させる〕の目的を達する。白虎湯証に身体の重だるい痛みを伴うときは熱邪挟湿・熱盛湿微の証候であるから、白虎湯に蒼朮を加えて燥湿醒脾すべきである。
 〈代表方剤〉 白虎加蒼朮湯。

 熱勢が猖獗(しょうけつ)を極め、津液が虧損されて臓病及腑〔臓の病変が腑に波及〕により、腸中の燥結を誘発した場合は、芒硝・大黄などを配合した瀉下通腑を併用し、臓腑同治の法則を体現した方剤が適応する。
 〈代表方剤〉 白虎承気湯(第六章「二臓同病」の肺脾同治の項を参照)。

 白虎湯証とともに脉が洪大で中空、甚だしいときは虚散を呈する場合は、邪熱熾盛によって心肺の気虚を併発しているので、清気の方剤に人参の配合により益気強心して心肺機能を回復させるべきである。
 〈代表方剤〉 白虎加人参湯。

 熱病の後期に、熱勢は減退しても傷津が著しい場合は、沙参や麦門冬などを加えて養陰増液すべきである。
 〈代表方剤〉 竹葉石膏湯。

 このように、麦門冬を配合した竹葉石膏湯などは、養陰と清熱併用の配合法則を体現したものである。
 衛気営血弁証においては、辛寒清気法が熱在気分を治療する基本法則であるが、実際の臨床では証候にもとづいて、
 @辛涼解表法と併用して清熱透邪する銀翹白虎湯。
 A清営涼血法と併用して気営両清する化斑湯(二臓同病、心肺同病の項を参照)。
 B涼血熄風法と併用して気血両清する犀羚白虎湯(二臓同病、肝肺同病の項を参照)。
などの方剤を組み立てる。このような各種の治法を併用した配合の工夫により、本法の応用範囲を拡大することが可能である。

 白虎湯証に対し、歴代の傷寒論の注釈家は、風寒の邪が陽明経に伝入して熱化し純熱無実〔陽明経の熱証という無形の熱邪のみで、陽明腑実という有形の実邪は形成していない〕の病態であると解釈しているが、子細に検討してみると、これは間違った解釈と思われる。筆者は以下に述べる五つの理由から、白虎湯証を肺の病変であると認識している。

 (1)仲景の原書〔傷寒論〕において、白虎湯証が一番最初に見られるのは太陽病篇である。太陽病は表証を呈する外感風寒初期の総称であり、肺は気を主り外は皮毛に合して表を主るので、表証が化熱すると気分熱盛を呈するのが無理なく自然な伝変法則である。さらに、本方の名称から考えると白虎は西方の神であり、内は肺に対応している。それゆえ、白虎湯と命名された所以は、本方が肺経気熱を治療する主方であることを示すためであり、肺経の治療方剤とみなすことが仲景の考えに、より近いものと思われる。

 (2)諸気はみな肺に属し、気が鬱すれば化熱する。それゆえ、気分熱盛を清する主方である白虎湯を肺経の治療方剤とみなすことは、本証の病理機序によりふさわしいものと考えられる。

 (3)呉鞠通は白虎湯を《温病条弁》の上焦篇で太陰温病の治療方剤として記載し、独自の卓見によって敢えて従来の通説を覆したが、白虎湯証を肺の病変とみなすことは、このような呉氏の卓見に沿うものである。

 (4)白虎湯証は呼吸器系の伝染病で多く見られることからも、本証を肺臓の病変とみなすことは臨床的な説得力を持つ。さらに、大青竜湯・小青竜加石膏湯・厚朴麻黄湯・越婢湯・越婢加半夏湯などの肺の病変を治療する諸方剤を見てみると、いずれも石膏を用いているが、胃熱の治療方剤で石膏を用いることは少ないことからも、白虎湯の作用は肺熱を清する方剤であって胃熱を清するものではないことを裏付けている。

 (5)衛気営血の伝変法則から分析すると、気分の熱邪は少陽三焦をルートとして陽明に順伝して裏結するか、心営に内陥して気営両燔を呈するか、または完全に営分に伝入してしまうかのいずれかである。このように、気分熱盛の白虎湯証を肺の病変とみなせば、伝変法則が理解しやすくなる。


  方剤例

〔一〕白虎湯(《傷寒論》)

 【組成】 石膏一五〜六〇g 知母一〇〜二〇g 甘草六〜一〇g 粳米一〇g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 気分熱盛。
 【治法】 辛寒清熱。
 【適応証】
 熱在気分による高熱・汗出・舌燥・煩渇引飲〔激しく口渇して飲みたがる〕・脉は洪大で有力あるいは滑数。

〔二〕白虎加桂枝湯(《金匱要略》)

 【組成】 石膏一五〜六〇g 知母一〇〜二〇g 甘草六g 粳米一〇g 桂枝一〇g
 【用法】 水煎服用。汗が出れば治癒する。 【病機】 気分熱盛。
 【治法】 辛寒清熱・和営通絡。
 【適応証】
 温瘧〔内に伏邪があり、夏季に暑熱を受けて発病する瘧疾の一種〕で、脉は正常・悪寒はなく発熱・骨節煩疼〔関節部の激しい疼痛〕・時に嘔吐。

〔三〕白虎加蒼朮湯
             (《活人書》)

 【組成】 石膏一五〜三〇g 知母一〇〜一五g 甘草六g 粳米一〇g 蒼朮一〇〜一五g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 気分熱盛・湿微。
 【治法】 清熱除湿。
 【適応証】
 湿温〔湿熱の邪を感受して発病する熱性病の一種〕で、憎寒壮熱〔激しい悪寒と発熱〕・口渇・全身の疼痛。

〔四〕白虎加人参湯
             (《傷寒論》)

 【組成】 石膏一五〜三〇g 知母一〇〜一五g 甘草六g 粳米一〇g 人参一〇g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 気分熱盛・津気両傷。
 【治法】 辛寒清熱・益気生津。
 【適応証】
 気分熱盛により、大熱・大渇・大汗・脉は大で虚。

〔五〕銀翹白虎湯(験方)

 【組成】 金銀花三〇g 連翹一五g 大青葉三〇g 板藍根三〇g 石膏三〇g 知母一五g 甘草六g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 暑温初起・熱在気分。
 【治法】 清熱解毒。
 【適応証】
 暑温〔暑熱の邪を感受して発病する急性熱病の一種〕の初期で熱邪が気分にあり、高熱・汗出・口渇・脉は洪大で有力。

〔六〕竹葉石膏湯(《傷寒論》)

 【組成】 竹葉一〇g 生石膏三〇g 半夏一二g 人参六g 麦門冬三〇g 甘草六g 粳米一〇g
 【用法】 水煎服用。
 【病機】 熱病後期・余熱未清。
 【治法】 清熱降逆・益気生津。
 【適応証】
                
 (1)熱病の後期で余熱が残り、羸痩(るいそう)・少気〔言語に力がなく呼吸が微弱で短い息切れ状態〕・嘔気・咽の乾燥・口渇・舌質は紅・舌苔は少ない・脉は虚で数。
 (2)傷暑により口渇し、脉が虚で熱があるとき。
 (3)胸中がほてりイライラして眠れず、脉が虚数の場合。
posted by ヒゲ薬剤師 at 01:39| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月05日

銀翹散製剤の長期連用の是非についての御質問

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
御職業 : 公務員
具体的な御職業 : 看護師
簡単なご住所 : 関東地区
ご意見やご質問をどうぞ : いつも、風邪を引いたら、喉から始まり、最後は、喉の腫れだけが残ります。
 風邪引いて、2週間くらいたち、喉腫れだけ残ってますが、、銀翹散製剤は、2週間も経つと、あまり効かないのでしょうか?
 また、銀翹散製剤は、長期の連用はよくないのでしょうか?


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 咽喉腫痛を伴う風邪には、常にブログに書いていますように、ほとんどのケースが、銀翹散製剤が最善・最適な方剤です。御質問では2週間経つとあまり効かないのか、とありますが、通常、そのようなことはありません。
 例えば、ブログ「漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱」の「小青竜湯誤投与の典型例」のご質問者は、
御意見や御質問をどうぞ : はじめまして。●●に住む38歳の主婦です。
 私は慢性気管支炎(乾燥した咳で痰が出ません)と咽喉痛で苦しんでいます。病院で検査をした結果「気管支炎と咽頭炎です。繰り返しますよ。」と言われました。医師に処方してもらう消炎剤や咳止め薬は効きません。
 昨年7月から1年間漢方薬を続けてきましたが思うように治りません。
 その漢方薬局では、「体の冷えが原因です。」と言われまして小青竜湯を中心にした漢方薬を服用していました。
 現在、咳の症状は軽いのですが、口がカラカラに乾いて咽喉痛や咽喉から胸にかけて不快症状(痛痒い)が続きます。

 以上、典型的な小青竜湯の誤投与の文面である。
 肺寒停飲の証候を呈するのであれば、確かに小青竜湯は素晴らしい効果を発揮するが、昨今の社会風潮では「肺寒停飲」を確かめもせず、あるいはその基礎理論に無知なまま、不適応者に対する鑑別能力のないまま、あまりにも乱用が目立ち過ぎるのである。
 今回のケースはたまたま漢方薬局で出されていたが、小生の地元ではもっぱら医療用漢方での誤投与が顕著で、言葉は悪いが、その尻拭いばかりをさせられている。(今年は珍しく、ほんの数例に減少している。)
 また、昨今ブームの「冷えが原因」とする余りにも短絡的な病因論も大いに問題である。ネコも杓子も「冷え」に帰するというのだから、稚拙極まりない論法である。
 最初の原因が何でアレ、炎症性疾患を抱えている場合に、過度な温熱的治療方法は逆効果になることを知る専門家が、意外に少ないのに些か驚いている。
とあるように、4年以上もの長期に亘って強烈な咽喉の痛みに悩まされ、おまけに一年間は逆効果の小青竜湯を投与されていたとんでもない事例ですが、この御質問の直後に、関西から直接一泊二日で当方に来られました。

 このような長期間、咽喉痛に悩まされている人にも、主薬は銀翹散製剤で、規定量を直ぐに服用してもらったところ、明くる日には4割の疼痛が減じたと言われていました。その後も規定量を齧るようにして咽喉に染み込ます服用方法で、二ヶ月間で7割緩解。三ヶ月間で8〜9割、つまりほとんど疼痛を感じなくなっています。この時点で服用量を規定の四分の一量に減らし、予防量として継続することにしています。

 この方は慢性気管支炎も持っており、秋の乾燥に反応して咳嗽が一時出現していた為に、この銀翹散製剤の服用量を減じるとともに、養陰清肺湯と滋陰降下湯を併用することで咳嗽もほぼ緩解状態を持続しています。

 実際には、その他にも適宜、板藍根や白花蛇舌草など、あるいは体質改善の基礎としての三点セット(村田漢方中西医結合論)を併用するなども行っていますが、咽喉腫痛に関しては、もっぱら銀翹散製剤により、長年の継続的な咽喉腫痛が3ヶ月間の連用で8〜9割は緩解しているわけです。
 (この方の場合は、なお数年以上の体質改善が必要で、春になると毎年きまって新たな風邪を引き、激しい気管支炎が当分続くというのが恒例行事になっているということですので・・・。)

 なお、銀翹散製剤には甘草が多く含まれていますので、長期間連用の場合は、高血圧の人や浮腫みやすい人などは注意が必要です。(偽アルデステロン症の問題など)その場合は量を減じて、その他の適切な漢方処方の併用を考える必要があると思います。

 以上、簡単ながらお返事まで。
               頓首

ヒゲ薬剤師 拝
posted by ヒゲ薬剤師 at 20:08| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月03日

風邪の予防には日頃から銀翹散製剤を少量連用するのが最も効果的

 風邪を引くと決まって咽喉腫痛から始まるタイプでは、という条件付だが、風邪や流感の予防を漢方と漢方薬で行うには、銀翹散製剤(天津感冒片や涼快楽など)の少量を常用しておくのが最も効果的であると断定してよいのではないかと思われる。

 常連さんの中でも合成医薬品に弱い虚弱だった人達の長期観察によれば、上述の銀翹散製剤を少量、常用しておくのが最も効果的であることはほぼ間違いない。多くは日本では健康食品扱いの板藍茶や白花蛇舌草なども併用しているケースが多い。

 中医学の教科書的な記載では、玉屏風散に六味丸の併用などが風邪を引きやすい体質改善の筆頭のように上げられる場合が多いが、現実は水際で防ぐ銀翹散製剤の少量使用が最も効果的であるということだ。

 のみならず、常連さんの場合は、風邪予防の目的以外に、それぞれに適した体質改善の漢方処方も常用されており、内容はそれぞれに異なっている。
これら個別性に応じた体質改善漢方処方の併用も、裏方として大きな支えとなっていることは想像に難くない。
posted by ヒゲ薬剤師 at 09:23| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月29日

しばしば咽喉腫痛を伴う風邪を繰り返す人は、やっぱり慢性副鼻腔炎の持病がある人ばかり

 そろそろ風邪やインフルエンザの季節に入って来た。本日も県外の常連さんのご子息が、咽喉腫痛を伴う風邪を8月から繰り返し、気管支炎を併発しては抗生物質投与を受けるが、一旦、治ったかに見えてまた10月になって繰り返す。実際には8月から完全には治ってないようだということだった。
 案の定、子供の頃から副鼻腔炎で耳鼻咽喉科に通い詰めたことがあり、最近もシバシバ黄色い鼻汁が出ており、僅かな後鼻漏も認められる。

 このように咽喉腫痛を伴う風邪をしばしば繰り返す人の多くは、慢性副鼻腔炎患者さんたちであろうことは、このブログでも再三再四のべた事と思う。
 だから、蓄膿症を徹底的に治せは風邪を引きにくくなるということではあるが、この蓄膿症を根治させるのは容易な業ではないのである。耳鼻咽喉科に多年の通院にもかかわらず、あるいは手術を繰り返したところで、結局は根治せずに、持病となっている人はとても多いのが現実で、だから漢方薬でもということになるのだが、漢方薬の有効性は間違いないにしても、根治となると些か覚束ない。

 現実問題として、現象的には根治したように思える段階まで、正確な弁証論治にもとずく漢方薬の配合によって、長期間、数年に渡る連用によって可能ではあるが、根治となると3人に一人くらいのもので、多くは8割程度の緩解ではないかと思えるのである。
 だから、必然的に副鼻腔炎関連の方剤、辛夷清肺湯を基礎に猪苓湯や白花蛇舌草などとともに必須の中医方剤が銀翹散製剤となる。

 常に水際で咽喉腫痛を伴う風邪を防ぐには、この銀翹散製剤に勝るものはない。三十数年間に、風邪引きの常習者を相当数体質改善に漢方薬を提供してきたが、慢性副鼻腔炎が8割程度治ってからも、予防的にどうしても銀翹散製剤の少量を折々に使用しておかなければならない。
 こうすることではじめて、滅多なことで風邪を引くなくなり、たとえ引いても、銀翹散製剤を中心にした配合によって、速やかに治癒しやすい。

 これは副鼻腔炎患者さんに限ったことではなく、長年の慢性疾患というのは、漢方薬を徹底的に用いても、真の意味で根治するのは一部の人に限られ、三分の二以上の人が8割緩解というレベルであるはずだ。

 慢性疾患の多くが漢方薬で真の意味の根治を成し遂げることが出来るとしたら、理屈上、人間様はほとんど死なないことになるので、真の意味の根治は、風邪や食べ過ぎによる腹痛・下痢くらいの日常よく見られる急性疾患に限られるように思えてならない。

 だから、西洋医学でも不可能だった各種慢性疾患に、漢方薬が優れた効果を発揮することは日常的にシバシバ経験することだが、多くは8割緩解、言い換えれば蓄膿症のように8割緩解であれば、1〜2割の微妙な弱さが残っているのが現実であろうということだ。
 それでも、上述のような蓄膿症の場合でも、結果的には風邪を引きにくくなり、たとえ引いたとしても、すかさず銀翹散製剤で対処すれば、多くの場合、比較的速やかに治るようになり、蓄膿症の8割適度の緩解によっても、明らかな体質改善効果が発揮されるのである。
posted by ヒゲ薬剤師 at 04:03| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月11日

鼻の調子が悪くなって微熱

 風邪を引いた時や、鼻の調子が悪くなった時だけ、つまり急性期の病状を呈した時のみやって来られるお馴染みさん。
 今回は、風邪を引いた訳でもないのに、鼻の調子が悪くなったと思ったら7度4分の微熱を伴ってここ二三日のことだが、また以前のように病院に行っても必ずよけいに悪化し、一月以上経過してこじれにこじれて、結局は漢方薬のお世話にならないと治らなかった過去の繰り返しの経験から、最近は調子が悪くなるとそのまま漢方薬を求めて来られるのが習慣となっている。

 今回は銀翹散製剤と辛夷清肺湯に補助的に白花蛇舌草の三種類。風邪を引いて急性副鼻腔炎が誘発されたのではないので板藍根は省略した。

 このようなケースでは、西洋医学ではエリスロマイシン系の抗生物質とムコダイン類の併用が一般的で、よく奏功する人と、意外にまったく奏功しない人もある。
 これについてあらためて一昨日、身近な内科医(耳鼻咽喉科医ではないのが残念だが)に確認したところ、奏功しない場合の次に打つ手は五里霧中となるのが本音のようであった。最終的には手術ということらしい。

 ともあれ、上述の人は毎回上記の配合でほぼ一週間以内で治るものの、体質改善を徹底的に行えない事情もあって、それゆえ急性再燃時だけでも、こじれる前に早めに漢方薬で手を打つことで、急場を凌いでいる。
 幸いにいつも即効が得られている。

posted by ヒゲ薬剤師 at 10:15| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月06日

犬の夏風邪にもカッコウ正気散

 常連さんのワンちゃんは、昨年来の下痢続きで、獣医さんでの治療も空しく、人間様用の筈の胃苓湯製剤の毎朝の連用によって治っていたのが、先日またぞろ激しい下痢が再発した。

 また、クシャミ・鼻水?も連続して、夏風邪を引いたみたいだという。

 飼い主の常連さんのたっての願いに、かっこうしょうきさんを渡しておいたところ、即効的に治って喜びの報告を昨日5日にもらったばかり。

 夏は、かっこうしょうきさんが人間様はもとより、動物界でも重宝することが分かりましたね。
posted by ヒゲ薬剤師 at 00:27| 山口 ????| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする