病院からよく出される漢方薬の使用上の注意の中で、誤投与が顕著な小青竜湯を、世間ではどのような扱いになっているのか知りたくなって、「小青竜湯」で検索しながらネットサーフィンしていたところ、インフルエンザに関するショッキングな記載に出くわした。
このため、小青竜湯のことは、そっちのけで、インフルエンザ関連のことだから、本ブログで急遽、その問題を論じることにした。
同業の薬剤師さんらしき方の論説に、インフルエンザは初期には「葛根湯」で発汗させれば治り、こじれた場合は「小柴胡湯」で多くは事足りる。それゆえ、西洋医学に勝るのが漢方療法である、といった類の表現を勇ましく表現しておられた。
これは、小生から言わせれば、ほとんど錯誤に近いと思っている。
本心を言わせてもらえば、明らかな間違い。インフルエンザ、すなわち流感、流行性感冒が、葛根湯で治る人は、稀である。
小生の薬局で、丸一年、アンケートを取り続けても、いまのところ、一般の感冒ですら、はっきりと葛根湯で治癒した経験を持つ人を、医師・薬剤師・一般の患者さんたちを含めて、現在のところ、ゼロなのである。
今後も、アンケートをとり続け、葛根湯で感冒やインフルエンザが治った経験がある人が出現した場合は、前後の経緯を詳細に報告してもらい、記録して本ブログに必ず投稿するつもりである。
葛根湯も、ごく初期の、寒いかな?と思ったとき、明らかな咽喉腫痛が生じることも無い、軽度の感冒のほんの初期段階に使用すれば、一〜二回の服用で、そのまま治癒することも多い筈である。
だが、意外に皆さんこの段階で使用出来ていないからこそ、一年間のアンケートでは、葛根湯による感冒の治癒経験例が未だに収集できないのかもしれない。
逆に言えば、そのタイミングを失えば、葛根湯単独では、ほとんど無力であるということであろう。
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