3年近く前、流感が流行った時期の冬のこと。
勤務先の病院でも、流感患者が多いが、当の医師が高熱を発した。
40度の発熱である。
もしも同僚や上司に告げれば、戦線離脱となって迷惑をかけるので、隠したまま診療を続け、漢方薬類を服用。
まず、医療用漢方では、方剤の種類が不足ゆえ、いつも常備している市販の漢方薬を利用。
抗インフルエンザ薬を一度服用したが、みながあまり効いている風には見えないので、いつものように漢方治療のみに専念。
その日の前夜に突然38度台の発熱があったので、銀翹散製剤に「板●根」のエキスを服用して寝たが、仕事中には40度になり、フラフラで頑張った。
銀翹散製剤と「板●根」エキスとともに、高熱ゆえ「地竜」を追加。咳嗽による胸痛もあり、小陥胸湯を基本とした製剤「結胸散」も追加。
次第に熱は引き始め、翌日には37.6分。
その翌日は平熱におさまるも、食事があまり取れないままの3日目は、さすがに疲れてフラフラだけが取れない。
夜間は、ようやく食事もおいしく取れた。
同僚の医師も、流感で戦線離脱が目立つ中、誰にも流感に罹っていたことを伏せたまま、その冬を終わった。
ところで、筆者は常々、若き医師たちから、
風邪や流感の漢方薬は、医療用漢方では何をどう使用すればよいのだろうか?
としばしば質問を受ける。
返事は、いつも決まっている。
ほとんど不可能に近い。なぜなら、温病関連の方剤が、ほとんど無いからだと答えている。
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