インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2008年02月09日

強烈な悪寒(寒気)から始まる風邪でも温病のことが多い現実

 先日、運動を終えた後に強烈な悪寒に襲われ風邪を引いたと思ったので葛根湯製剤(葛根と麻黄と甘草の比率が4:2:1)を服用して就寝したが、朝になって咽喉腫痛が伴って熱気を感じ、寒気は少なくなっていた。さらに葛根湯製剤を服用したが、足が冷えるのに上半身は熱気で熱く、発熱もはじまったがどうしたらよいだろうとのご相談があった。

 葛根湯は現時点の風邪治療には逆効果となるので止めてもらい、直ぐに天津感冒片(銀翹散製剤)と板藍茶の併用に切り替えてもらった。

 この女性の場合、過去、関節リウマチを患っており、しばらく寛解していたところで一ヶ月前に両手首の関節部分から再発を疑わせる疼痛が持続するようになり、弁証論治により、葛根と麻黄と甘草の比率が4:2:1とした葛根湯製剤の服用ですっかり症状が消失していた矢先の風邪引きであった。

 もともと咽喉が弱いほうで、風邪を引くと直ぐに咽喉をやられる方だが、リウマチに使用した葛根湯製剤が手元にあるので、素人判断で直ぐに使用したものの、関節痛を治した時のようには風邪には効果を示さず、結局は銀翹散製剤(天津感冒片)を使用せざるをえなかったわけである。

 このように初期に強烈な悪寒に襲われる風邪やインフルエンザの場合でも、傷寒と思って麻黄の配合された傷寒系の方剤を使用すると、一気に温病の本来の姿が出現する場合が多いので要注意である。
 長年の経験ではほとんどがこのケースである。
 このような場合には即、葛根湯などの麻黄配合方剤は中止して銀翹散(ぎんぎょうさん)製剤、天津感冒片や涼快楽などに切り替えなければならない。


posted by ヒゲジジイ at 13:28| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする