インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2007年02月05日

前回の後鼻漏問題で小青竜湯を提案する某薬剤師さん

 風邪の後遺症による後鼻漏で、原因が副鼻腔炎ではないケースで、しかも極めて粘稠な痰状の後鼻漏ながら、黄濁することはない無色透明なケースに小青竜湯を提案する同業の薬剤師さん(某製薬メーカーのベテラン)が直接訪問された。訪問の目的は小生のブログ類やHPのファン?だということで、以前から一度来局を約束されていた方である。

 この小青竜湯は、個人的にはあまり高く評価しない、様々な個人的な見解(偏見?)を持っている方剤である。
参考文献:http://m-kanpo.ftw.jp/u43713.html
 ところで、この小青竜湯こそ、水溶性の後鼻漏が八ヶ月続いていた人こそ自己治療で小青竜湯製剤を購入して服用されており、一時は効いたが直ぐにぶり返して無効となったので、ネット上で小青竜湯を調べていたら、小生が各所で小青竜湯の使用上の注意点を書いていたサイトを発見して、それで当方の薬局に来られた人なのである。

 この方には前回のブログで書いたとおり、カッコウショウキサンと銀翹散製剤で即効的に後鼻漏が止まっている。このような水溶性の後鼻漏ならまだ小青竜湯証を考えるのは理解できないでもないが、かなり粘稠な後鼻漏の場合、肺寒停飲があるとはちょっと考えにくい。
 勘ぐれば、水液が長期停留したために寒飲が粘稠に変化することは当然ありえるが、四ヶ月で諦めた人の場合は、明らかな黄膩苔があり、むしろ地元の医療用漢方で、
まず麦門冬湯により3日も経たずに咽喉部や奥歯などにも炎症が広がって堪らず、次に柴胡桂枝湯が出されたがピンと来ず、次に出された麻杏甘石湯では顔面が火照って腫れてしまう。最後に止めを刺してくれたのが葛根湯加川芎辛夷によって、炎症が激しく再燃したので、もう我慢できずに転院した。
という経緯があるだけに、小青竜湯では却って事態を悪化させるのは必定である。

 また、14年来あらゆる治療が無効という方も、過去に様々服用された漢方処方は不明であるが、少なくとも当方で小青竜湯よりも優れた乾燥剤であるカッコウショウキサンでは、早朝の口中の不快感がやや軽減する程度の効果に終わっている。
 それゆえ、古方派漢方や医療用漢方でやや乱用気味の小青竜湯はほとんどあり得ない問題である。
 このレベルの漢方で治るものなら苦労はないよ、と言いたいくらいだ。

 やや難航しているくせにこう言うのも何だが、当方で相談に乗るケースというのは、西洋医学はもとより漢方治療を含めた様々な治療を経て無効だったケースを主な御相談対象としているものである。
 さらには、世間様の医療用のみならず漢方専門薬局で出された小青竜湯の乱用によってこじらせた呼吸器系統の人々の相談をしばしば受ける機会が毎年かなりな人数にのぼり、そのすべてを当方の中医漢方薬学論によってスムーズに解決して来た実績がある。
 小青竜湯も正しく使用すれば、素晴らしい効果を発揮するものの、やはり対症療法的な麻黄剤であることを忘れてはならない。もっと詳しく言えば麻黄や細辛、および蒸して製した「日本の乾姜」の問題など、これらの配合薬物には注意要する点を忘れてはならないということである。

 ところで、相談者が熱心に頑張ってくれる限りは解読仕切れない部分も、次第に判明してくるもので、折々の詳細な報告によって「気虚水滞」の体質がほぼ明らかとなっている。
 それゆえ、急がば回れで五苓散製剤を主体に補中益気丸(党参使用)を基礎として、必要に応じて温胆湯あるいはハンゲビャクジュツテンマトウ、あるいはカッコウショウキサンなどの痰濁を排除する方剤が考えられる時点まで到達している。
 このように、弁証論治にもとづくイメージ的な解明がほぼ得られるつあるところであり、遠方であってもこちらの指示通りの詳細な報告を怠らずに送ってくれる限りは、不可能はあり得ない。


posted by ヒゲジジイ at 22:45| 山口 ☁| 風邪やインフルエンザの後遺症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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