インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2006年11月05日

銀翹散製剤の長期連用の是非についての御質問

性別 : 女性
年齢 : 30歳〜39歳
御職業 : 公務員
具体的な御職業 : 看護師
簡単なご住所 : 関東地区
ご意見やご質問をどうぞ : いつも、風邪を引いたら、喉から始まり、最後は、喉の腫れだけが残ります。
 風邪引いて、2週間くらいたち、喉腫れだけ残ってますが、、銀翹散製剤は、2週間も経つと、あまり効かないのでしょうか?
 また、銀翹散製剤は、長期の連用はよくないのでしょうか?


ヒゲ薬剤師のお返事メール:拝復
 咽喉腫痛を伴う風邪には、常にブログに書いていますように、ほとんどのケースが、銀翹散製剤が最善・最適な方剤です。御質問では2週間経つとあまり効かないのか、とありますが、通常、そのようなことはありません。
 例えば、ブログ「漢方薬・漢方専門薬局薬剤師の憂鬱」の「小青竜湯誤投与の典型例」のご質問者は、
御意見や御質問をどうぞ : はじめまして。●●に住む38歳の主婦です。
 私は慢性気管支炎(乾燥した咳で痰が出ません)と咽喉痛で苦しんでいます。病院で検査をした結果「気管支炎と咽頭炎です。繰り返しますよ。」と言われました。医師に処方してもらう消炎剤や咳止め薬は効きません。
 昨年7月から1年間漢方薬を続けてきましたが思うように治りません。
 その漢方薬局では、「体の冷えが原因です。」と言われまして小青竜湯を中心にした漢方薬を服用していました。
 現在、咳の症状は軽いのですが、口がカラカラに乾いて咽喉痛や咽喉から胸にかけて不快症状(痛痒い)が続きます。

 以上、典型的な小青竜湯の誤投与の文面である。
 肺寒停飲の証候を呈するのであれば、確かに小青竜湯は素晴らしい効果を発揮するが、昨今の社会風潮では「肺寒停飲」を確かめもせず、あるいはその基礎理論に無知なまま、不適応者に対する鑑別能力のないまま、あまりにも乱用が目立ち過ぎるのである。
 今回のケースはたまたま漢方薬局で出されていたが、小生の地元ではもっぱら医療用漢方での誤投与が顕著で、言葉は悪いが、その尻拭いばかりをさせられている。(今年は珍しく、ほんの数例に減少している。)
 また、昨今ブームの「冷えが原因」とする余りにも短絡的な病因論も大いに問題である。ネコも杓子も「冷え」に帰するというのだから、稚拙極まりない論法である。
 最初の原因が何でアレ、炎症性疾患を抱えている場合に、過度な温熱的治療方法は逆効果になることを知る専門家が、意外に少ないのに些か驚いている。
とあるように、4年以上もの長期に亘って強烈な咽喉の痛みに悩まされ、おまけに一年間は逆効果の小青竜湯を投与されていたとんでもない事例ですが、この御質問の直後に、関西から直接一泊二日で当方に来られました。

 このような長期間、咽喉痛に悩まされている人にも、主薬は銀翹散製剤で、規定量を直ぐに服用してもらったところ、明くる日には4割の疼痛が減じたと言われていました。その後も規定量を齧るようにして咽喉に染み込ます服用方法で、二ヶ月間で7割緩解。三ヶ月間で8〜9割、つまりほとんど疼痛を感じなくなっています。この時点で服用量を規定の四分の一量に減らし、予防量として継続することにしています。

 この方は慢性気管支炎も持っており、秋の乾燥に反応して咳嗽が一時出現していた為に、この銀翹散製剤の服用量を減じるとともに、養陰清肺湯と滋陰降下湯を併用することで咳嗽もほぼ緩解状態を持続しています。

 実際には、その他にも適宜、板藍根や白花蛇舌草など、あるいは体質改善の基礎としての三点セット(村田漢方中西医結合論)を併用するなども行っていますが、咽喉腫痛に関しては、もっぱら銀翹散製剤により、長年の継続的な咽喉腫痛が3ヶ月間の連用で8〜9割は緩解しているわけです。
 (この方の場合は、なお数年以上の体質改善が必要で、春になると毎年きまって新たな風邪を引き、激しい気管支炎が当分続くというのが恒例行事になっているということですので・・・。)

 なお、銀翹散製剤には甘草が多く含まれていますので、長期間連用の場合は、高血圧の人や浮腫みやすい人などは注意が必要です。(偽アルデステロン症の問題など)その場合は量を減じて、その他の適切な漢方処方の併用を考える必要があると思います。

 以上、簡単ながらお返事まで。
               頓首

ヒゲ薬剤師 拝
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posted by ヒゲジジイ at 20:08| 山口 | 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする