インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2006年07月13日

ベテランの常連さんでも勘違いする「夏風邪」用のかっこう正気散

 「夏風邪」に効くとて、昨今有名になりつつあるかっ香正気散(かっこうしょうきさん)であるが、この「夏風邪」というのが曲者で、たとえ夏であっても通常の咽喉腫痛を伴う風邪には、やはり多くの場合、銀翹散製剤が中心になる。
 かっ香正気散を風邪に用いる時に適応する病機は、あくまで「外感風寒・内傷湿帯」の状況においてであり、この条件下であれば、本方の「芳香化湿・昇清降濁」の作用を発揮して、比較的速やかに軽快するものである。

 ところが、昨日、二十年以上の常連さんで、合成医薬品に過敏な漢方愛好者で、ご自身の身体に対する適切な漢方処方の使用にかけては、常連さんの中でもピカイチにマスターされていたはずの女性が、常用方剤類の補充の注文に電話がかかって来たのはいつものことながら、ガラガラ声を発している。

 その声は一体どうしたんですか、と訊ねると、数日前に外出先で軽い風邪を引いたみたいだったので、夏風邪によいと書かれているかっ香正気散を服用して元気なんですよ。食欲も大いにあるし、声だけが変なんですよ、とのたまうのであった。

 とんでもない、その声はいつもの銀翹散製剤を少量続ければよいものを、吐き下しや内臓の冷え込み症状を感じるのでもなければ、いくら夏でもかっ香正気散を何日も続けるものではありませんよ、即刻中止するように、と強くアドバイスする始末。

 いくら食欲がつくからと言っても、このかっ香正気散は、かなり強力な燥性を持っているのだから、声枯れを誘発するほど連用してはならない。
 夏の暑さに負けて、ビールをはじめ冷たい飲み物やアイスクリーム・氷類が過ぎて、胃腸を壊したり、食欲不振を生じたり、ひどい時には吐き下しが生じた時には、かなりな即効性のあるかっ香正気散ではあるが、必要に応じて臨機応変に使用すると随分便利な方剤であることは確かではある。

 いつも繰り返し述べているように、風邪を引いてなくとも、冷房病による頭痛・吐き気・鼻水などには即効が得られることが多いもので、これを連用していると食欲増進すること請け合いではあるが、次第に粘膜組織を乾燥させてゆき、気がつくとガラガラ声になっているということは珍しくもないので、不必要な連用は慎むべきですよ、ということなのである。
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posted by ヒゲジジイ at 21:25| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする