インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2006年05月24日

やっぱり微妙に異なる13年前の風邪・インフルエンザに対する漢方処方

 次は1994年1月(通刊488号)の『和漢薬』誌に書いた拙論である。
 時代の変遷と言おうか、環境変化に伴い、風邪やインフルエンザに対する現在の漢方処方繁用パターンとは微妙に異なる記述がある。
 時代が13年近く異なっていることを前提として考えれば、参考価値は高いと思われるので、一部下記に引用する。
 ●銀翹散・参蘇飲・葛根湯

 
 日常的に遭遇する「風邪」の治療に、温病理論の応用は不可欠であり、同時に西洋医学的な発想からも、抗箘・抗ウイルス作用をもつ軽質・芳香性の清熱解毒・疏散風熱薬「金銀花」や「連翹」などに注目すべきである。方剤としては銀翹散が重要であるが、近年エキス製剤が市販されているおかげで、日本漢方では不可能に近かった流感でも、インスタント漢方によって容易に対処できる時代である。
 風邪の初期治療は、筆者のところでは近年、参蘇飲・銀翹散・葛根湯の三方剤によって解決することが多い。こじらせてやって来た場合は、柴胡剤や麦門冬湯など多彩な方剤を使用することになるが、一般的な風邪から流感まで、初期段階ではこれら三方剤のエキス製剤の組み合わせで対処できることが多いのである。
 @参蘇飲+銀翹散、A参蘇飲、B葛根湯、C銀翹散、D葛根湯+銀翹散、E銀翹散+他方剤、という順の使用頻度であるが、特に流感については@DECの順であり、AやBの単独投与は殆どあり得ない。
 また、これら三方剤の組み合わせは、アレルギー性鼻炎にそのまま有効である。たとえば、日本流で小青竜湯証とされている鼻炎の中には、実際には参蘇飲証やカッコウ正気散証であることが多く、鼻閉が強い場合でも参蘇飲+葛根湯加辛夷川キュウや、参紫蘇+辛夷清肺湯などで十分に対処し得るのである。
 近年問題になっている花粉症などでは、参蘇飲や銀翹散を主体に、参蘇飲+銀翹散など、上記の感冒治療の方法がそのまま通用することも多い。蓄膿症などでは、銀翹散+辛夷清肺湯や、銀翹散+葛根湯加辛夷川キュウなど、銀翹散の応用範囲も広い。

 参蘇飲は、皮毛より寒邪を感受した一般的な風邪に適応者が多く、水様性の鼻汁を伴うクシャミの頻発などの鼻炎症状には特に著効がある。銀翹散を併用すれば、外は風寒に侵襲されて口鼻からは温熱の病毒(流感ウイルス)の吸入を伴った流行性感冒に適応する。さらには、他方剤の併用により、喘息やアトピー性皮膚炎にも応用できることを経験している(参蘇飲+辛夷清肺湯など)。また「肩が冷える肩こり症」にも単方で著効を得ることが多い。

 銀翹散は、口鼻から温熱の病毒を吸入して発病する流感のみならず、急性および慢性扁桃腺炎・化膿性皮膚疾患・花粉症・急性結膜炎・アトピー性皮膚炎などに適応があり、抗生物質的な使用も可能である。
 従来、日常的によく見られる急性疾患には葛根湯が代表的な方剤であったが、現代は参蘇飲と銀翹散の有用性が目立ち、これら三方剤の時代と言えそうである。

 現在からみれば、たとえば参蘇飲のところで「水様性の鼻汁を伴うクシャミの頻発などの鼻炎症状」とある部分は、むしろ「カッコウ正気散」のことではないの?と言いたくなるところである。

 胃腸虚弱な人のアレルギー性鼻炎や花粉症では、小青竜湯が強すぎて胃障害などを生じる人には断然「かっこう正気散」の方が無難である。
 但し、かっこう正気散は胃腸によくても、小青竜湯と同様に乾燥させる作用が強力なので乱用は慎みたい。

 肺は嬌臓(きょうぞう)であるから、つまりとてもデリケートな臓器であるから、偏った刺激は好まないということである。

 過ぎたるは及ばざるが如し、って〜〜〜こってす。
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posted by ヒゲジジイ at 16:20| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする