インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2006年05月11日

13〜14年前のインフルエンザに対する拙論

 以下は13〜14年前、ウチダ和漢薬発行の『和漢薬』誌に翻訳連載していた『中医病機治法学』(陳潮祖著)における「訳者のコメント」の一節である。
 ●流行性感冒に対する経験

 今回は「表衛失調」における表寒証の検討であり、つまり外感風寒に対する七種類の辛温解表法が解説されている。寒邪の侵襲によるいわゆるカゼの初期症状に対する治療方法であるから、よく見られるカゼの初期症状の治療に参考価値が高い。
 しかしながら、冬期の流行性感冒に対しては、たとえ初期症状が傷寒に見える場合でも、温病理論にもとづく外感風熱に対処する治療方法を参考にしなければ治療困難な場合が多い。
 つまり、流感に対しては葛根湯や麻黄湯・大青竜湯などでは治療が困難で、西洋医学的な発想から銀翹散などのように強力な抗箘・抗ウイルス作用のある方剤を必要とすることが多いと考えている。

 たとえば、今年の流感では一般の西洋医学治療では略治するまでに一週間はかかった者が多く、そのために例年になく漢方を求める流感患者が多かった訳であるが、参蘇飲合銀翹散により数日で略治したものが八割以上を占め、そのほかは葛根湯合銀翹散などで短期間で略治したのである。

 訳者が扱った今年の流感患者を分析すると、気虚体質の者や一時的に気虚に陥った者が、皮毛より寒邪を感受して気虚感冒に罹患するのと同時に、口鼻からは温熱の病毒である流感ウイルスを吸入して発病し、悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽痛を生じ、体温も比較的高熱を示したものと考えられる。
 それゆえ、気虚感冒に対する参蘇飲と抗ウイルス作用の強力な銀翹散の合方にて良好が得られたものと解釈している。

 なお、表衛失調には外感風寒のほかに、外感風熱・暑邪傷肺・外傷於湿(湿滞体表)・燥邪傷肺・外中風邪などの病機がある。

 13〜14年前の拙論であるが、昨今は上記の葛根湯の必要性を感じることはさらに滅多に遭遇しなくなっているということは、これまでも本ブログで何度も書いている。
 だから、当時と昨今の考え方の微妙な変化にも注意してほしい。これは、時代的な諸環境の変化に連動しているところが多々あるはずである。

 ところで十数年前に自分自身で書いておきながら、眼からウロコであったのは上記のバックカラーを施した部分、
 気虚体質の者や一時的に気虚に陥った者が、皮毛より寒邪を感受して気虚感冒にかかり、同時に口鼻からは温熱の病毒であるインフルエンザウイルスを吸入してたために、悪寒発熱・頭痛・咳嗽・咽喉腫痛を生じ、体温も比較的高熱発したのであろう
 という解釈の見事さ(笑)であった手(チョキ)
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posted by ヒゲジジイ at 18:15| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする