「白衣を脱いだ漢方と漢方薬のヒゲ薬剤師」の、若い頃は漢方専門薬剤師のプライドにかけて自分の子供の病気はすべて漢方薬で治して来たものだが・・・ より、
漢方を専門とする薬局を経営する薬剤師であるから、子供の病気はすべて自前の漢方薬で治してきた。
親が虚弱な部分があったから、子供も決して丈夫ではなかったので、しばしば病気をして、吐いたり下したり、高熱を発したり、あるいは頻繁にトイレに行く膀胱炎というよりも発熱を伴って腎盂腎炎らしきものに罹ったり、二人の子供の病気をことごとく漢方薬で治してきた。
愚息の高校受験の時には寸前から高熱を発してハラハラしたが、受験中に熱が引きはじめて、午後からは調子がよくなったというので安堵の胸を撫で下ろしたり、漢方専門の薬剤師としてのプライドにかけて、西洋医学の世話には絶対ならないという信念でやってきた。
ところが、休日を利用して小児科医の義弟の家に遊びに行っていた最中、同じ開業医仲間の外科医の先生の奥さんから義弟に電話があり、ご子息が風邪を引いたので特別に診てもらえないだろうかとの御問合せであった!
何が驚いたかといって、薬剤師の小生でも子供のあらゆる病気を自前の漢方薬で治して来たのに、外科が専門とは言え、お医者さんは御自分の子供さんの病気すら、専門外だからと小児科医師の友人に依頼するお気楽さ、といおうか、プライドのなさと言おうか、本当に愕然としてしまったのだった。
いまだにその時のショックを思い出しては、一人ニンマリとするのはナゼだろうねっ
とは言うものの、二十数年前?自分自身では大失敗をしていたのだった。
このことはどこかのブログで書いた記憶があるが、寒い2月に既に7度4分の発熱があったにもかかわらず、寒風をおして海に釣りに行ったのだった。
帰宅して風呂に入る頃にはすでに39度近かった。翌日は完全にダウン。
40度を越えていたか?
麻黄湯も大青竜湯などもビクとも効を奏さない!
重度の急性疾患には、古方派漢方、傷寒論医学がいかに無力であるかを思い知らされた。
二十年以上前のこととは言え、あまりにショックが大きかった。
急性感染症を漢方で対処するなら、傷寒論に頼っていてはダメなのである。
完全にダウンして恥も外聞もなく近くの内科医に往診してもらって解熱剤の注射で一息ついたのであった。(何とナサケナイ!)
中国清代に書かれた呉鞠通の『温病条弁』なのですよ!しかしながら当事はまだ日本には銀翹散製剤は輸入も製造もされてなかった時期だから、煎じ薬で作るという手もあったが、その気力も中医学に対する信頼も自信もないまま、虫の息で床に臥せっていたのだった。
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