インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2006年03月12日

傷寒論・金匱要略が大切なのは当然だが『温病条弁』に見向きもしない日本漢方に明日はない、といったら言い過ぎだろうか?

小生は長州生まれの長州人。

長州に生まれたことを誇りに思うように、日本人であることにはもっと誇りを持っている。

それだけに、日本が多くの点で日本人特有の勤勉さを発揮して、様々な分野で西洋文明に追いつき追いこせを実現してきたことにも誇りを持っている。

ところが、有形の目に見えるものには特異な能力を発揮する日本人が、こと無形の哲理になると、カラッキシ弱いことにどうしようもない歯がゆさを感じるのである。

哲学の領域にしても、極論すれば西田幾多郎以外には誰もいないのじゃないかと思われるほどである。多くは西洋哲学の紹介者にとどまっているように思えて仕方がない。

まあ、専門外のことだから単なる憶測に過ぎないのかもしれないが、専門の漢方薬の分野においては、日本の伝統医学といわれる「漢方医学」は、中国の古代医学の傷寒論・金匱要略ばかりをバイブルとするばかりで、清代にかけて急速に発達した温病学のバイブル『温病条弁』をまったく無視し続けているのが日本古方派や医療用漢方の現実である。

漢方の世界は、日本人の弱点である哲学理論と科学理論(構造主義科学)が融合した医学・薬学であるから、傷寒論や金匱要略に比べて、複雑な論理で構成される『温病条弁』を避け続ける日本漢方の不甲斐なさを感じないわけには行かない。

哲理に弱い日本人の弱点が漢方研究においても顕著に見られるのである。

さいわいに日本では唯一と思われる本書の解説書が、医師薬出版株式会社から出版されている。
神戸中医学研究会編著『中医臨床のための温病条弁解説』(1998年発行 定価19,950円)である。

原書に関しては、燎原書店さんや東方書店さんでかなり安価で容易に入手できる。

さきほど、テレビを見ていたら医療用漢方のコマーシャルで、漢方薬はインフルエンザにも使用されているように宣伝していたが、傷寒論医学主体の漢方処方のどの製剤がインフルエンザにそれほど有効だといえるのだろうか?

ブラックユーモアとしか思えない。

呉氏の『温病条弁』に記載される三焦弁証や衛気営血弁証なくして、漢方薬方剤としても「銀翹散製剤」なくして、どのようにして漢方薬でインフルエンザに対抗しようというのだろうか?

葛根湯や麻黄湯が、マウスなどの実験ではなくて、人間様の実際の臨床上で、本当に有効なものかどうか、もう一度検討しなおすべきではないだろうか?
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posted by ヒゲジジイ at 15:30| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする