インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2006年03月08日

抗癌剤の点滴治療入院中からはじまった激しい咳嗽に銀翹散製剤で著効?

某悪性腫瘍の肺転移に対する二度目の抗癌剤による点滴治療で入院中、風邪を引いてしまって葛根湯やルルなどの市販薬を服用するも、治癒しないまま一ヶ月半が経過し、ますます激しく、腹痛や頭痛を伴い、あまりの苦しさに当方の薬局へ訪れた。

病院での諸検査では、薬物性の間質性肺炎は否定され、一般の肺炎も見られず、当初あった微熱も消退しているので、風邪や咳嗽関連のお薬は出してもらえないので、葛根湯などの市販薬を購入して、入院点滴中の合間に適当に服用していたという。

隠れてこそこそしていたわけではなく、公然と病棟に風邪薬関係を置いて服用していたといわれるので、ハテナという感じもする。

抗癌剤の点滴治療も終えて退院後も、頑固な咳嗽が止まらず、いよいよ悪化し、咳き込むと腹痛や頭痛、昨今は頭痛がたまらなく苦しくなった。

来局時も盛んに咳き込んで苦しそうであったが、小生は常連さんの電話でのお問い合わせに応対中だったので、その間、スタッフの女性薬剤師が詳細に病状をお聞きしていたところ、咽喉の疼痛を伴った乾燥性の激しい咳嗽で、咳の発生源は胸部ではなく咽喉部であるとのこと。

すなわち初期の肺衛が犯されて肺気の宣発と粛降が撹乱された状態がそのまま継続していると判断し、銀翹散製剤の天津感冒片をわずか1錠だけをトローチ替わりに直ぐに使用してもらったのだった。

常日頃から話術の巧みな病人さんは、その間もおしゃべりし続けていたが、ピタリと咳嗽が止まって、その後30分以上、帰宅するまで一度の咳き込みも無いので、この方剤で間違いないだろうとて、エキス散になった「涼解楽」を4日分をお渡しした。


追記: この方の原発の問題など詳細はここで記すことは出来ないが、折々の当方の漢方薬の愛用者であったからこそ、かなり詳細な前後の病状を把握出来ていたからこそ、即座のご相談に応じることが出来たのである。
 もしもこれが初対面の新人さんであったら、前後の複雑な事情を把握するのに相当な時間を費やさざるを得なかったかもしれない。
 また、これが二十数年前の吉益東洞流の古方派時代であったなら、つまり日本漢方の考え方で、中医学方剤もほとんど輸入されていない時代であったら、大逆上気・咽喉不利の麦門冬湯(ばくもんどうとう)を呉投与していた可能性も大きいのである。
 麦門冬湯証にしても、銀翹散証が消退後に出現することも以前はよく見られたが、それも昨今、あまり見られなくなった。
 治りきる最後まで銀翹散製剤を主体にした方剤で済む場合がかなり多いような印象が強い昨今である。
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posted by ヒゲジジイ at 17:04| 山口 ☁| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする