十数年前の入社当時のこと、5月の連休中に激しい運動をして発汗した後、咽喉腫痛をともなって、少し寒気がして風を引いたようなので、風邪にいいと言われる葛根湯を服用した。
ところが大発汗が生じて、身体がグッタリと来て動けなくなった。
手元に牛黄(ごおう)があるのを思い出し、それを服用することでなんとか明くる日に出勤することが出来た。
今から思えば、あれは銀翹散製剤を服用すべきだったんですね、と感慨深げであった。
不適切な使用をすれば、葛根湯でも発汗過多により、体力を極度に消耗してしまうことだってあり得ることである。
葛根湯は発汗時に使用すれば、ますます発汗の度を強めるので、発汗時の使用は禁忌である。
無汗でなければ使用してはならないのである。
つまり、葛根湯は一種の発汗剤であるということをよく覚えておいたほうがよい。
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