インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2007年04月20日

葛根湯の評判

 相変わらず葛根湯使用経験者の体験談インタビューを継続している。
 風邪に素晴らしく良く効いたという印象を述懐される人は、相変わらず稀である。
 引き始めの極初期に使用して良かったと言う人は折々に遭遇するが、それ以上のものではない。

 葛根湯と鋏(はさみ) にもあるように、頚椎症などの様々な慢性疾患に応用範囲は極めて広く、葛根湯証を呈する慢性疾患に対する有用性ははかり知れない。
 ところが、本命の風邪やインフルエンザに対しては、多くの場合、ピンとはずれや空振りに終わることも多い現実がある。

 それらの理由は、これまでにもこのブログ内で縷々述べてきたはずである。
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2007年04月05日

タミフルの使用を控え、かわりに麻黄湯が注目されているといわれるが・・・

 タミフルの使用によって異常行動のみならず突然死の事例も多いと噂されることから、タミフルの替わりに麻黄湯を処方する医師が増えているという。
 合成医薬品におけるタミフルに代わるものは、リレンザかアマンタジンであるが、吸入薬である使用の不便さのあるリレンザ、中枢神経系の副作用の心配があるアマンタジンは敬遠されることが多いと言われる。

参考文献:http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200703/502873.html

 このようにタミフルの代替としても麻黄湯は、解熱作用においてタミフルを上回るというデーターもあるらしいが、今度は麻黄湯の乱用によって、証を間違って投与された場合の虚証患者に対する副作用の出現が心配である。
 発汗過多による心臓衰弱など、適用を誤ると漢方処方の中ではかなり作用の激しい部類に属する麻黄湯である。
 明らかな傷寒として発病した場合、強い悪寒とフシブシの疼痛や頭痛が顕著で無汗など、条件がしっかり揃った表寒・表実証であれば副作用は生じる可能性は極めて少ない。

 ところが、昨今しばしば見られる悪寒よりも熱感が目立ち、咽喉腫痛を伴って、最初から汗ばんでいるような風熱表証を呈する場合に、誤って麻黄湯を使用するとかなり危険である。発汗過多によって一気に体力を消耗する恐れが強いのである。この場合は明らかに誤治であるから麻黄湯を即刻中止しなければならない。
 実際にはこのような咽喉腫痛を伴う風熱表証では銀翹散製剤を用いるべきである。
 高熱を早く下げたければ板藍根と地竜を加えれば速効が得られることも多い。

 タミフル騒動のお陰で、今後、医療界では保険漢方による麻黄湯が乱用される恐れ無きにしも非ず。くれぐれも弁証を誤らないことを祈るばかりである。
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