インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2007年02月25日

10日分のカッコウショウキサンで止まった水様性の後鼻漏

 先日書いた八ヶ月前からの水様性の後鼻漏の人、前後10日分のカッコウショウキサンでほぼ完璧に消失して以後二週間経つが、廃薬後も今のところ再発は見られない。
 後鼻漏に限らず水様性の分泌物を止めるのは比較的容易なものである。

 まだ咽喉の違和感が残っているので、銀翹散製剤の微量を継続中で、この咽喉部の炎症の原因が逆流性食道炎かもしれないと外科医の指摘があり、逆流性食道炎によく効く「オルスビー」のブログの記事、
http://murata-kanpo.seesaa.net/article/33761244.html
を御覧になって、昨日三度めの来局があったばかりである。
posted by ヒゲジジイ at 01:31| 山口 | 風邪やインフルエンザの後遺症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月21日

項背部の凝りがあれば葛根湯証、とは限らない。

 感冒初期の悪寒と同時に項背部に凝りがあれば葛根湯証というのが通り相場だが、その時期を逃して寒気と同時に明らかな熱感が生じ、同時に咽喉部が怪しくなった時点では、たとえ咽喉腫痛がなくとも、多くの場合、銀翹散証に移行している。
 このことは既にシバシバ述べたことであるから、今回書こうとすることは、このような感冒やインフルエンザ初期の問題ばかりでなく、慢性的な肩凝りや項背部の凝りをともなっている場合の他方剤との鑑別である。

 項背部に凝りがある場合は太陽膀胱経に位置することから、葛根湯証や独活葛根湯証など以外にも桃核承気湯証や五苓散証などの場合があるが、やはり何と行っても葛根湯証や独活葛根湯証の場合が最もよくみられる。
 やや特殊なケースでは桂枝去桂加茯苓白朮湯証ということもある。
 また熱証では葛根黄連オウゴン湯証というケースも、それほど珍しくはない。
 
 ところで軽度の慢性的な副鼻腔炎がある場合、項背部に明らかな凝りを伴っていることも多い。この場合、直ぐに葛根湯加川芎辛夷が適応するように見えても、実際には辛夷清肺湯証だったということが日常茶飯事である。
 つまり項背部の凝りを目標にした場合、日本人の肩凝り症に最も多い独活葛根湯証ということになるが、寒熱の把握を間違えると、葛根湯や独活葛根湯で一時効果があっても次第に効力を失ってしまい、そのまま続けていると熱邪を助長する様々な不都合が生じる事だって珍しくない。

 その場合の多くは辛夷清肺湯証であったわけで、方剤を切り替えると覿面、治療効果が復活して項背部の凝りは再び次第に緩解し、それに連なる諸症状も軽快することとなる。

 病名的には蓄膿症関連の人ばかりでなく、しばしば高血圧患者さんの中に多いことを長年、これまで多くの人で確認してきた。
 たとえばもっとも多いのが肺肝腎陰虚体質者の辛夷清肺湯に杞菊地黄丸を土台すべき高血圧患者さんが最も多かった。現在もその典型的なタイプ(さらに釣藤散に地竜を加えている)の方がおられる。

 また、脾肺病としてのアトピー性皮膚炎皮膚炎にも、しばしば辛夷清肺湯を主軸した配合が適応することも多く、適切な弁証論治によって応用範囲は意外にはかり知れない方剤なのである。
posted by ヒゲジジイ at 14:23| 山口 ☀| お茶でもどうぞ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月15日

咽喉が弱い人には銀翹散製剤の錠剤の少量継続がもっとも有効のように思える

 長期間に亘り、多くの人に試みて評判がもっとも良い方法である。
 文字通り、咽喉の弱い人には銀翹散製剤(天津感冒片など)の少量継続がもっとも安上がりで有効な方法のように思える。咽喉のカサカサかんやヒリヒリ感、あるいは違和感でさえ、そのような咽喉の異常を訴える多くの人に高確率で有効である。

 その具体的な使用方法のコツは、たとえば天津感冒片を用いる場合、その1〜2錠をガジガジと噛んで一口ほどの水を含み、咽喉にまぶして留まるような、あるいは、うがいするような感じで飲み込む、という方法である。(あと味が悪ければさらに水を服用すればよい。
 毎回1錠を用いるなら、必要に応じて1日かなり頻繁に繰り返すことが出来る。(たとえば1回1錠なら1日8回など
 もう一つのコツは、就寝前にも1錠を上記の方法で服用しておくと起床時の咽喉の調子が良いと喜ばれることが多い。

 職業がら声を頻繁に使用する人から、おしゃべりが趣味の有閑夫人だかセレブだか知らないが、多くのおしゃべり好きな人の咽喉の異常には、日本古方派時代には麦門冬湯が有効で、多くの人に喜ばれてきた実績がある。

 しかしながら時代が変わって、中医方剤が日本に流通し始めた頃から、次第に朝鮮人参の配合された麦門冬湯が適応する人よりも、銀翹散製剤の少量が有効な慢性炎症性の咽喉異常を訴える人が増えているように思われる。

 おしゃべりや演説が好きな人は麦門冬湯もいいけど、節約可能な銀翹散製剤(天津感冒片)の少量を用いれば、風邪や流感予防にもなって一石三鳥となるはずである。
posted by ヒゲジジイ at 02:39| 山口 ☀| お茶でもどうぞ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月05日

前回の後鼻漏問題で小青竜湯を提案する某薬剤師さん

 風邪の後遺症による後鼻漏で、原因が副鼻腔炎ではないケースで、しかも極めて粘稠な痰状の後鼻漏ながら、黄濁することはない無色透明なケースに小青竜湯を提案する同業の薬剤師さん(某製薬メーカーのベテラン)が直接訪問された。訪問の目的は小生のブログ類やHPのファン?だということで、以前から一度来局を約束されていた方である。

 この小青竜湯は、個人的にはあまり高く評価しない、様々な個人的な見解(偏見?)を持っている方剤である。
参考文献:http://m-kanpo.ftw.jp/u43713.html
 ところで、この小青竜湯こそ、水溶性の後鼻漏が八ヶ月続いていた人こそ自己治療で小青竜湯製剤を購入して服用されており、一時は効いたが直ぐにぶり返して無効となったので、ネット上で小青竜湯を調べていたら、小生が各所で小青竜湯の使用上の注意点を書いていたサイトを発見して、それで当方の薬局に来られた人なのである。

 この方には前回のブログで書いたとおり、カッコウショウキサンと銀翹散製剤で即効的に後鼻漏が止まっている。このような水溶性の後鼻漏ならまだ小青竜湯証を考えるのは理解できないでもないが、かなり粘稠な後鼻漏の場合、肺寒停飲があるとはちょっと考えにくい。
 勘ぐれば、水液が長期停留したために寒飲が粘稠に変化することは当然ありえるが、四ヶ月で諦めた人の場合は、明らかな黄膩苔があり、むしろ地元の医療用漢方で、
まず麦門冬湯により3日も経たずに咽喉部や奥歯などにも炎症が広がって堪らず、次に柴胡桂枝湯が出されたがピンと来ず、次に出された麻杏甘石湯では顔面が火照って腫れてしまう。最後に止めを刺してくれたのが葛根湯加川芎辛夷によって、炎症が激しく再燃したので、もう我慢できずに転院した。
という経緯があるだけに、小青竜湯では却って事態を悪化させるのは必定である。

 また、14年来あらゆる治療が無効という方も、過去に様々服用された漢方処方は不明であるが、少なくとも当方で小青竜湯よりも優れた乾燥剤であるカッコウショウキサンでは、早朝の口中の不快感がやや軽減する程度の効果に終わっている。
 それゆえ、古方派漢方や医療用漢方でやや乱用気味の小青竜湯はほとんどあり得ない問題である。
 このレベルの漢方で治るものなら苦労はないよ、と言いたいくらいだ。

 やや難航しているくせにこう言うのも何だが、当方で相談に乗るケースというのは、西洋医学はもとより漢方治療を含めた様々な治療を経て無効だったケースを主な御相談対象としているものである。
 さらには、世間様の医療用のみならず漢方専門薬局で出された小青竜湯の乱用によってこじらせた呼吸器系統の人々の相談をしばしば受ける機会が毎年かなりな人数にのぼり、そのすべてを当方の中医漢方薬学論によってスムーズに解決して来た実績がある。
 小青竜湯も正しく使用すれば、素晴らしい効果を発揮するものの、やはり対症療法的な麻黄剤であることを忘れてはならない。もっと詳しく言えば麻黄や細辛、および蒸して製した「日本の乾姜」の問題など、これらの配合薬物には注意要する点を忘れてはならないということである。

 ところで、相談者が熱心に頑張ってくれる限りは解読仕切れない部分も、次第に判明してくるもので、折々の詳細な報告によって「気虚水滞」の体質がほぼ明らかとなっている。
 それゆえ、急がば回れで五苓散製剤を主体に補中益気丸(党参使用)を基礎として、必要に応じて温胆湯あるいはハンゲビャクジュツテンマトウ、あるいはカッコウショウキサンなどの痰濁を排除する方剤が考えられる時点まで到達している。
 このように、弁証論治にもとづくイメージ的な解明がほぼ得られるつあるところであり、遠方であってもこちらの指示通りの詳細な報告を怠らずに送ってくれる限りは、不可能はあり得ない。
posted by ヒゲジジイ at 22:45| 山口 ☁| 風邪やインフルエンザの後遺症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月03日

風邪が治った後に生じる頑固な後鼻漏にも様々なタイプがある

 風邪やインフルエンザが治ったあとの後遺症として、急性期に副鼻腔炎を併発し、その後遺症として後鼻漏が持病となってしまう人もかなり多い。
 病院治療でもなかなか治らずに漢方治療を求めて来局する方が以前からとても多く、副鼻腔炎を伴う後鼻漏の場合が最も多い。
 多くは黄色の鼻汁と黄色の後鼻漏であるから中医学的には肺熱を伴っていることは明らかだから、辛夷清肺湯を主方として適切な方剤を併用することで、たとえ根治は無理でも8割程度の緩解は得られるものである。(真の意味での根治といえる段階まで継続服用する人は比較的少ないからである。

 同じ後鼻漏でも西洋医学的な耳鼻咽喉科における診断では副鼻腔炎が確認されず、軽度の鼻炎程度の診断でありながら、頑固な後鼻漏に悩まれて様々な治療を試みても一向に治らずに困惑されて漢方治療を求めて来られる方もおられる。
 原因が副鼻腔炎ではないから簡単に治るかと言えば、意外にそうでもなく、後鼻漏の性質が粘った痰状を呈して西洋医学治療はもとより、漢方治療も一筋縄では行かない面がある。

 ところが、先日扱った例では、同じ後鼻漏でも水様の後鼻漏で、一年前の風邪の後遺症として頑固に続き、その後鼻漏の刺激で咽喉がしばしばいがらっぽく痛くなる。
 カッコウショウキサンと銀翹散製剤の併用一週間で殆んど後鼻漏は止まった。同じ後鼻漏でも粘度の高い痰状の後鼻漏ではなく、水溶性の後鼻漏であるからカッコウショウキサンのような乾燥剤で簡単に反応してくれたわけだが、重濁粘膩な後鼻漏の場合、原因が蓄膿症ではないだけに、温胆湯やハンゲビャクジュツテンマトウ、カッコウショウキサンなどを中心に、痰証を改善する方剤を様々に工夫しなければ、一筋縄では解決出来そうもない。

 現在進行形で副鼻腔炎が原因の後鼻漏の人にはのろのろながらも比較的順調な人ばかりだが、副鼻腔炎ではない鼻づまりの全く伴わない後鼻漏の人達が三名おられる中で、速効が得られたのは先に述べた水様の後鼻漏の人のみであり、粘稠な後鼻漏で捉えどころのない二名うちのお一人は、4ヶ月目を過ぎたところで、とうとう愛想をつかされたか音信が途絶えてしまった。
 ほんの一時的には3〜5割改善したかに見えたこともあったが、4ヶ月経過した頃の最後の通信では、結局は1〜2割の改善しか得られなかった(これでもお世辞が含まれているのかもしれない)ということであった。
 東北からワザワザ来られた人であったが、綿密な報告が次第に途絶えがちになり、他の人のように臨機応変の中医漢方薬学特有の小細工が出来なかった歯がゆさがあるものの、病歴が一年以内という短さを考えれば、当方の敗北として慙愧の念に耐えない。

 ところで、同じ頑固な後鼻漏の方がもう一人おられ、こちらは十数年以上の病歴で、これまで受けた治療で一度も効果があったタメシが全くないといわれる人で、後鼻漏に付随する不快な症状も極め付きである。
 現在二ヶ月目となっているが、少なくとも今のところ綿密詳細な報告が得られているので、根気が続いてくれる限りは、遅かれ早かれピントが合って来るに違いない。

 それにしても同じ後鼻漏であっても、原因疾患と体質によって様々に異なるのだから・・・・・一週間前にカッコウショウキサンと銀翹散製剤で、緩急ありながらも八ヶ月続いた後鼻漏も水溶性であったがゆえに一発で止めることができたのだが・・・

【2月24日の追記】 上記の水様性の後鼻漏の人は、前後10日分のカッコウショウキサンでほぼ完璧に消失して以後二週間経つが、廃薬後も今のところ再発は見られないという。何せ、水溶性の分泌物(後鼻漏)を止めるのは比較的容易なものである。
 まだ咽喉の違和感が残っているので、銀翹散製剤の微量を継続中で、この咽喉部の炎症の原因が逆流性食道炎かもしれないと外科医の指摘があり、逆流性食道炎によく効く「オルスビー」のブログの記事、
http://murata-kanpo.seesaa.net/article/33761244.html
を御覧になって、本日三度めの来局があったばかりである。
posted by ヒゲジジイ at 15:59| 山口 ☁| 風邪やインフルエンザの後遺症 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする