インフルエンザに麻黄湯と決め込む日本漢方の危うさについて


参考ブログ:風邪やインフルエンザの漢方薬:漢方薬専門・村田漢方堂薬局(山口県下関市)の近況報告

2006年10月29日

しばしば咽喉腫痛を伴う風邪を繰り返す人は、やっぱり慢性副鼻腔炎の持病がある人ばかり

 そろそろ風邪やインフルエンザの季節に入って来た。本日も県外の常連さんのご子息が、咽喉腫痛を伴う風邪を8月から繰り返し、気管支炎を併発しては抗生物質投与を受けるが、一旦、治ったかに見えてまた10月になって繰り返す。実際には8月から完全には治ってないようだということだった。
 案の定、子供の頃から副鼻腔炎で耳鼻咽喉科に通い詰めたことがあり、最近もシバシバ黄色い鼻汁が出ており、僅かな後鼻漏も認められる。

 このように咽喉腫痛を伴う風邪をしばしば繰り返す人の多くは、慢性副鼻腔炎患者さんたちであろうことは、このブログでも再三再四のべた事と思う。
 だから、蓄膿症を徹底的に治せは風邪を引きにくくなるということではあるが、この蓄膿症を根治させるのは容易な業ではないのである。耳鼻咽喉科に多年の通院にもかかわらず、あるいは手術を繰り返したところで、結局は根治せずに、持病となっている人はとても多いのが現実で、だから漢方薬でもということになるのだが、漢方薬の有効性は間違いないにしても、根治となると些か覚束ない。

 現実問題として、現象的には根治したように思える段階まで、正確な弁証論治にもとずく漢方薬の配合によって、長期間、数年に渡る連用によって可能ではあるが、根治となると3人に一人くらいのもので、多くは8割程度の緩解ではないかと思えるのである。
 だから、必然的に副鼻腔炎関連の方剤、辛夷清肺湯を基礎に猪苓湯や白花蛇舌草などとともに必須の中医方剤が銀翹散製剤となる。

 常に水際で咽喉腫痛を伴う風邪を防ぐには、この銀翹散製剤に勝るものはない。三十数年間に、風邪引きの常習者を相当数体質改善に漢方薬を提供してきたが、慢性副鼻腔炎が8割程度治ってからも、予防的にどうしても銀翹散製剤の少量を折々に使用しておかなければならない。
 こうすることではじめて、滅多なことで風邪を引くなくなり、たとえ引いても、銀翹散製剤を中心にした配合によって、速やかに治癒しやすい。

 これは副鼻腔炎患者さんに限ったことではなく、長年の慢性疾患というのは、漢方薬を徹底的に用いても、真の意味で根治するのは一部の人に限られ、三分の二以上の人が8割緩解というレベルであるはずだ。

 慢性疾患の多くが漢方薬で真の意味の根治を成し遂げることが出来るとしたら、理屈上、人間様はほとんど死なないことになるので、真の意味の根治は、風邪や食べ過ぎによる腹痛・下痢くらいの日常よく見られる急性疾患に限られるように思えてならない。

 だから、西洋医学でも不可能だった各種慢性疾患に、漢方薬が優れた効果を発揮することは日常的にシバシバ経験することだが、多くは8割緩解、言い換えれば蓄膿症のように8割緩解であれば、1〜2割の微妙な弱さが残っているのが現実であろうということだ。
 それでも、上述のような蓄膿症の場合でも、結果的には風邪を引きにくくなり、たとえ引いたとしても、すかさず銀翹散製剤で対処すれば、多くの場合、比較的速やかに治るようになり、蓄膿症の8割適度の緩解によっても、明らかな体質改善効果が発揮されるのである。
posted by ヒゲジジイ at 04:03| 山口 ☀| 風邪・インフルエンザに対する漢方薬 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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